売り込み②
私自身が甘いものを控えているから、お茶うけは砂糖不使用のチーズバトンだ。いちおう甘いクッキーもどきも少し用意してある。
「好きな味です」
お酒もいける口なのかも。一緒にワイン談義でもしたいけど、なりが幼女だからな。
お気に入りの茶葉と、茶菓子について教え合う。やっぱり、好みが似てるとうれしいよね?
メイドがお茶のお代わりを注いだところで、ワルサさんは襟を正した。いや、これまでだってピシッとしてたけどね。
「キララ様にお願いがあります」
「はい。何でしょう?」
ちょっと期待しちゃう、私。
「第一王女様に、ぜひ、お伝えいただきたいのです」
うわぁ、期待しただけにがっかり。でも、続く言葉にこちらも姿勢を正さずにはいられない。
「我がケセラサ王国国王に、内々に許可を得ております。私は、ヤラレタ王国第一王女様を配偶者ではなく、養女として迎え入れる用意があります。そのこと、内々に妹君から、しかとお伝え願いたい」
第一王女、なにハンストしてるのさ。ワルサさん、めっさいい男だよ!
おかげで、私は心置きなく狙えます。
「はい、伝えることは伝えますけれども」
「やはり難しいでしょうね、心情的に。しかし、これが我が国としては精一杯の譲歩です」
最後は切って捨てるように言い放った。冷たい言い方だけど、それすら妹が姉に伝言しやすくするための気遣いに思える。
アイスブルーの瞳。正妃と同じ色合いだけど、印象は全く違う。まわりの皆は怖がるけど、家族には懐いてるシベリアンハスキーって言ったらわかるかな? 私は断然、こっちの方が好き。思わず、にこりとする。
「私からもお願いがあります。ワルサ様」
「なんでしょうか?」
その眉間の皺を伸ばしてあげたい。
「第一王女ではなく、私、第二王女であるキケイラ・セム・ヤラレタを娶ること、ぜび、ご検討ください」
「は?」
敵国にいる貴族にあるまじき惚けぶり。これは行けるか?
「私を、ワルサ様のお嫁さんにしてくださいませ! よろしいですね?」
「はい?」




