魔法の授業②
ちゃっかり魔法の講義を受ける私。
とにかくあぶないことはさせたくない乳母のユリリアは、渋い顔をしてたけど。べつに攻撃魔法の実践するわけでなし。先生が、やたら私を褒めるので、次第に得意顔。第一王女の鼻を明かしている形だしね。
でも、事態に気付いた第一王女が、授業に復帰してきて、私の魔法学習は一週間で終了。
王妃にまで告げ口されて、叱られはしなかったけど、かえって魔法の発現が遅くなるっておどかされた。優秀な使い手に教わって、無理に発現させようとした結果、一生魔法が使えないなんてことが、過去の一時期にはあったらしい。
魔法の授業はあくまで、自分の魔法の傾向を知り、威力を増大させるためのもの。なんて、もったいない!
言われてみれば、先生は魔法の具体的な使い方については、何もおっしゃらなかった。せいぜい、呪文を唱える目的くらい?
私もあえて聞かなかったしね。表向きは、すでに使えてる第一王女なわけで、なのに魔力の集め方なんて質問したらおかしいでしょ?
魔法って、響きだけでステキ。当然、すぐ使ってみたい気持ちもあるんだけど、いまの私の状況だと、むしろ発現よ遅れろ。
純粋に、おじいちゃま先生の話がおもしろかった。伝説の魔法使いが、魔法の固定化を思いついたところで、これからそれをどうなしていくかって、すっごくいいところだったのに。
ちぇっ、ちぇー。残念だけど仕方ない。また、その辺をうろうろするとしますか。そしてこっそり、図書館で調べてやるんだ!
私は、姫と呼ばれる連中の中では、特に健康だと自負している。なにせ、よく歩き回ってるからね。
ただ、屋外にはたまにしか出してもらえないし、ユリリアが気を遣いすぎるほど遣うから、日焼けはまったくしてない。
バタークリームをごってり塗ったら、逆効果じゃないの? 乳母の執念がこもっているせいか、まあ、極厚塗りとハーブのおかげだと思うけど、透き通るような白い肌を保ってる。そのかわり、あれを塗られてる時は、皮膚呼吸できない感じでつらい。ドレスの襟や袖も、ひどい染みになっちゃうし。出会った人は、ぎょっとする。
でっかい、いかにも重そうな日傘を持たされるハンナにも悪い気がして、よほどストレスがたまってなければ、屋内で過ごすことになる。くっ。これはユリリアの策略?
おかげで城の構造とか、歴史とか、置かれてる美術品なんかにも詳しい私。ガイドツアーができるくらい。




