お前が神だと? そんな俺は魔王だが? そんなことよりおっぱいだ
「実は私……神様なの」
放課後、同級生の女子から呼び出しをくらった俺。
告白されるかと思うシチュエーション。
しかし、そこで聞かされたのは、彼女からの変なカミングアウト。
期待外れもはなはだしい。
まったく、何を言い出すのかと思えば……
「は? しょっっっっっぼ!! 俺なんか魔王だが?」
そう、俺は魔王である。
神様とか眼中にないレベルに最強。
だから今、見下せている。
……いや、冗談ではないぞ?
マジで普通の男子高校生のフリした魔王だから。
「えっえっ。違くない?」
彼女は戸惑っている。
「何がだ?」
神様だからなんだというのか。
早く本題に入ってほしい。
「いやいや、冗談でしょ? 信じられないかもしれないけど! 私、本気で神様だから!」
「ああ。疑ってない」
いや、冗談だと返すのは、本来こちらの立場じゃないか?
コイツは、少し頭おかしいんじゃないのかと思った。
顔は上出来というほどかわいいので憧れていたのだが。
「いやいや。…いやいやいや。…いやいやいやいや」
否定を強調するように、顔の前で手のひらをすばやく振る彼女(自称神様)。
「いやが多い」
はぁ……呆れてくるぜ。
早く本題に入れ。
マジで。
「私、実は神様で、異世界から勇者を召喚する為にこの世界に来たの! 女子高生に変装して、世界を救ってくれる勇者を探してたの! だからここは、驚いてみせたり、冗談だろ? って受け流したりする冒頭のシーンじゃない!? こっから冒険がテンプレ的にはじまる予定だったんですけど!? それが魔王て!」
台詞を1つ言うたびに顔が迫ってくる。
何でこんなに必死なんだよコイツは。
でもまぁ、本題は分かった。
まーラノベでよくある異世界転移モノね、はいはい。
俺も俺の世界で、何度か経験した事あるよ。
まあ――――――、
全て滅ぼしてやったが。
「そうか。ご苦労だったな。だが残念だったな。俺は魔王だ。ちなみに異世界の勇者とやらも全て返り討ちにしてきた。選ぶ相手を間違ったようだな」
まったく……、こんなしょーもない話に付き合わされるとは。
男子高校生の純情、期待を返せと言いたい。
そんな事より、彼女ができるチャンスの方がよほど大事だった。
ガッカリだ。
「はーーーーーーーーーーぁぁぁあああ!?!?!?」
うるさい彼女の叫び。
その表情は、驚きすぎて、口が大きく開いていた。
目も真ん中の瞳が小さく見えるほど大きく見開いている。
だから顔が近いんだよ。
かわいいからイヤじゃないけど!
また彼女は、何かを訴えるかのように両手を動かしていた。
こう、わしわしと、そこにない何かを掴むかのように。
「もういいか? 帰るぞ。俺はもう普通の高校生になったんだ。そしてかわいい彼女を作る。もう邪魔をするんじゃない」
俺は彼女に背を向けて、軽くさよならの手を振る。
「いやいや、待ってよ!」
「まだ何かあるのか?」
やれやれと、俺は肩で大きく息をしながら返事をした。
「だって、あなたは選ばれし勇者なの。付いてきてくれないと、私仕事できないし困るわ」
「だが俺は魔王だ」
「――冗談ではない?」
「冗談ではない」
「ぬなぁあんでよ! 本当に魔王なら証拠見せてよ」
「お前が言うのか? いいだろう」
俺はポケットに手を突っ込み、
気だるそうに世界の単語をあげていく。
「――アリストティーヤ世界。――――勇者召喚の儀式のあるグランヴェール街。確か勇者の名はリオトと言ったか? ザコだったな。魔法が全属性使えるとか、ステータスカンストとか、伝説のエクスバスターとかいう剣を使ってたが。……流石に勝手に異世界に連れてこられて死んだのはかわいそうだと思って、こっちの世界に俺の友達として再転生させておいた。はじめての憧れの男子高校生活だったからな。色々知識がほしかった為だ。助かっている」
「……………」
黙ったままで固まる自称神様。
話が進まないので、一方的に話を進める方針にしよう。
「まだいるか?」
「……魔王名」
「バリオットグロウ。そんな名をしていた時もあった。だがもう魔王はやめたのだ。今も力は使えるが、俺は今の生活が気にいっている。気が変わる事がなければ、もう世界を支配する事もない。安心しろ」
そう言いつつ、俺は手に黒紫色の火を灯してみせる。
これは漆黒の炎で、魔族にしか使えない技だ。
魔王としては、十分な証拠になるだろう。
「ぬなぁんでよーーーーーーーーーー!」
彼女はやけくそになった。
少し泣きべそっぽくもあった。
「何であなたみたいな人が勇者に選ばれてるの!? おかしいじゃない! 私! 勇者連れていかないと天界に戻れないから! この際、魔王でもいいから付いてきてよ!」
「いやだ」
俺は即答する。
何故、魔王が世界を救う使命を背負わなければならないのか……。
「それは困るのよ! どうしたら付いてきてくれる? あなたほど強力なら、世界救うのなんてちょちょいのちょいでしょ!? 報酬だってあげるわ!!」
「……そうだな。貴様が俺の彼女になって、おっぱいもませてくれたり、えっちな関係になってくれるならば、考えてやらん事もない」
「…………別にいいけど」
キョトンと、
彼女は聞き捨てならない一言を。
「えっ?」
…………今、何て?
付 き 合 っ て も
良 ・ ・ ・ い ・ ・ ・
……おいおい、マジかよ!?
マジでマジでマジでマジでマジでマジで、
マジでマジでマジでマジでマジでマジで、
マジでマジでマジでマジでマジでマジで、
マジでマジでマジでマジでマジでマジで、
マジでマジでマジでマジでマジでマジで、
マ ジ で !?
嘘だろ、おい!
おっぱいでっけーし!
顔かわいいーし!
スタイルいーし!
この美少女が俺の彼女?
女なんて、今までできたこともないんですけど!!
ほら、魔王という体裁があるじゃん?
そらメスなんて自由にできるけどさ?
なんかこう……下品な魔王って思われたくないじゃん?
変な噂、流されたくないじゃん?
で・も・
…もう合法的に、世間の目を気にせず、堂々と。
お っ ぱ い
も め ち ゃ う ?
ドリイイイイィィーーーーーイイム!!!!
ゲッチュウゥーーーーーーーーーーーーー!!!!
心の中で俺は完全勝利!!
「なんなら、おっぱいもんでみる?」
「えっ」
「ほれほれ」
「えっえっ」
「ほれほれほれ」
「えっえっえっ」
「ほれほれほれほれ」
「えっえっえっえっ」
彼女は、両手で両おっぱいの下乳をたぽたぽと揺すっている。
おっぱいドリブル!
俺に迫ってくる!
水風船みたいで、すげぇやわらかそう!
サイコーーーーー!!
――しかし、からかわれているのでは――?
そんな予感が俺の脳裏をよぎる――――
「さわらないの?」
「えっ、いや――――――――――――」
さわりたい!
さわりたい!
さーわーりーたーい!
「おやおや?」
ハッ。
俺が固まっている所、彼女の声色に変化が・・・。
「あれあれェ~~~~~~? 世界でぇ~~、一番ん~~、強い~~、魔王ちゃんは~~~~、おっぱいを~~~~、さわるのに~~~~、びびってぇ~~~~、いらっしゃるぅ~~?」
コ、コイツ……! なめきっている!
なんだその上目づかいは!?
ネコ口なのも微妙に腹立つ!
くそっ! そうだよ!
D・O・U・T・E・I だよ!
さわりたいけど!
いざさわれるとなると、緊張してしまう!
おちんちんは正直なのに!
「魔王なのにィ~~~~、えっちな事にィ、耐性がないんでちゅか~~~~~~? 怖いんでちゅかぁ~~~~~~? 少年~~~~~~? うぷぷぷぷ」
さらに煽ってくる彼女。
ホアアアアアアァァーーーーーーーーッ!
チンコBIN BIN!! オレはBIKU BIKU!!
目の前おっぱいPOYON POYON!!
ちっくしょーーーーーーーー!!
なめられてたまるか!!
くらえ! おっぱい攻撃!
ぷにっ
「あっ♡」
彼女は甘く吐息が漏れた。
(ほっ、やわらかい…)
俺の人指し指は――、彼女のおっぱいを軽く突いている。
これは勃起しちゃう!
なんて心地よさだ!
これが生おっぱいか!
ドリイイィィーーイイム!!
「え、こんだけ? しょっっっっっっっっっっぼ!!!!!!!!」
「うっ!」
「えっ、もっとガッツリいくもんだと思ってたーーーーーーー。はあーーーーーーーーーー。マーーーーーージーーーーーーかーーーーーー!! 魔王ともあろうものがーーーーーー!! こんなーーーーーー!! ドーーーーーーテーーーーーーみたいなーーーーーー!! さーわーりーかーたーをーーーー!! ええ~~~~~~? ださくな~~~~~~い?」
「ううっ!」
この女神! 完全にバカにしている!
思いっきり真下から覗いてくるこの顔!
ムカツクーーーーーー!!
く、くやしい!
俺の童貞力が強すぎる!
もっとガッツリいきたいのにィーーーーーー!!
「もんでいいんだよ? もんでいいんだよ!?」
女神は自分のおっぱいを持ち上げ強調。
さらに顔を接近させてくる。
え? こんな事もできないの?
え? 男でしょ? 魔王でしょ?
普通、簡単にもめちゃいますよねぇえ?
……などといわんばかりの、
顔。
表情!
しかもかわいい!
ゆるせる!
だがしかし!
俺よ!
男を見せてやるのだ!
コイツに!
「くおおおぉぉぉーーーーーーっ! やぁあああってやるぜ!!」
もにゅん
(ここは天国かッ――――!)
や、やった! ついにやったぞ!
もんでやったぜ! 俺のものだ!
感触は、なんていうんだろうか。
プリン?
シュークリーム?
おまんじゅう?
いや……形容しがたい。
期待通り過ぎる気持ち良さだ!
これはもはや、手のひらのスイーツといってもいいだろう!
これ本当にもんでいいんですよね?!
ボクのモノにしていいんですかーーーーーー!?
……今後とも、このおっぱいは俺の好きにしていい。
さ、最高だ――
と、思った瞬間、彼女は両手でガッチリ俺の手首を掴む。
そう、おっぱいもんでる方。
一体なんだ……!?
「ニヤリ」
彼女の顔を見上げる。
口元が緩んでいる!
笑っている!
その目は! 何かを企んでいる顔だ!
「続きは――、異世界で」
彼女は、とても綺麗な笑顔をしていた。
「おい、ウソだろぉぉぉぉぉぉお!?」
そういう狙いかーーーーーー!!
彼女の手は、俺の腕を放さない。
なんて腕力だ! ゴリラかコイツ!
筋力のステータスだけカンストしてるだろ!?
グイグイと綱引きのように異世界のゲートへ引っ張られる。
抵抗してはみるが、ほぼ無意味というくらいのパワー。
俺もそんなに弱い方じゃないが、コイツは別格。
彼女は笑顔のまま苦もなく、どんどんと俺を引きずり込んでいく。
「一名様、ごあんな~~~~~~い♡」
「ぐあああああああっ!! 俺の高校生生活が~~~~~~!! 誰か助けてくれーーーーーー!! ヴオォォオオイ!!」
満面の笑みをした、このあくどい女神に、
俺は異世界へ無理やり、強制的に、連行される事となったのだった。
でもまぁ、おっぱいもみ放題であるなら、悪くもないかも――――
なんて、
まだこの時は、そんな事を、俺は思っていた。
// 〔お前が神だと? そんな俺は魔王だが? そんなことよりおっぱいだ〕 END //
また思いついたので書きました。
寝てると想像力がかき立てられて、筆がよく進みます。