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そんな出来事があってから、光が駆け抜けるように、あっという間に数日が経った。
あの日のことは、いま思い返しても実感が湧かない。それは幼い頃に布団の中でみた、輪郭が曖昧で、起承転結がバラバラで、理屈を超越していて、しかし、脳の隅に確実に焦げついた、悪夢にも似た夢のごとく、強烈な印象として少女の心に残り続けていた。
だが、残念なことに、人はそう易々と価値観を根底から覆せるものではない。深層心理に固く根付いた思想と思考は、やがて人格と呼ばれる独立機関となり、その人物を完全に支配してしまう。その支配から脱することは、並大抵の努力では叶わない。それが人の強さでもあり、また、弱さでもある。実に、難儀なことである。
しかし……劇的な変化は難しくても、人は『学習』することができる。
そして学習は、成長を促す。
成長を望むあいだ、その人物の未来への可能性は、無限大だ。