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月下のRIVINCITA  作者: 祥朋
第1章始まりの戦争
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#4 月夜の空戦

 少し遡り、敵フライトタイプ部隊の方ではヴィル達が応戦していた。

 

「ったく、機動性はこっちが上だが数が圧倒的不利だな」

 

 月面国家軍はR.R.(アールツー)の性能は圧倒的に上回っている。しかし、資源と人員、そして練度が国連軍に比べ圧倒的に下回っている。

 さらに、昨日の作戦の都合上最低限の戦力しか搭載していない上に、半分以上が整備中、艦の防衛に何機か残してきている。性能差だけではどうにもできない。

 

 「エル!リョウ!俺についてこい!後のバステルタ8機は包囲するように展開、絶対ここを通すな!」

 『了解!』

 

 各機指示された通りに動き交戦を開始した。


 ヴィルは先行し、主武装の超振動ブレードとワイヤーを繋げ、それを投げて敵のコックピットを正確に貫いた。

 どれだけの爆弾を積んでいたのかヴィルのリエズが吹き飛ばされ、それなりに距離のあるアイリスにまで衝撃波が伝わった。

 

 「おいおい、なんだよこれ 各機に通達、見ての通りだ 接近戦は絶対避けろ! バステルタなら一溜まりもない!」

 

 フライトタイプの編隊が防御の陣から攻撃陣に変わり、機体同士の距離が縮まったことで、まるで戦艦のようなビーム砲の塊となった。

 そして、一瞬機体が光った。E装甲の起動によるものだ。

 E装甲は単純に装甲の金属の密度を上げるだけだが、その強度はまるで別物に変わったように強くなることから錬金術と言われている。

 

 「厄介な奴が来たな どうするエル」

 「展開しているtype-B(バステルタ)の一斉射撃で撹乱、その後何機か同時撃破で誘爆させるのはどう?」

 

 作戦を開始しようとした瞬間、敵が一斉にビームを放った。

 

 「まだ戦艦を沈める方が楽だぞ!こりゃ!」

 

 エルとリョウ、そしてヴィルは難なく回避するが、まだ新人の多い展開させたバステルタ8機のうち、1機撃墜、3機が戦闘不能になっていた。

 ヴィルは不足した火力を補充するためにアイリスの艦砲射撃による援護を要請するが、正確な位置が敵に知られる危険性があることから却下された。

 

 エルが左右の弾幕が極端に薄いことに気づく。それを伝え、エルとリョウは左右からの長距離射撃攻撃を行おうとした。

 両機はライフルのエネルギーチャージを開始した。完了まで60秒。それまでヴィルと他のバステルタは囮に徹する。


 残り45……44……43……。今は60秒を1時間に感じる。

 早く……早く!と急かす一方、操縦をオートにし冷静に照準を合わせ続けていた。

 

 25……24……23……。チャージは60%を突破。

 

 「(あと少し……)」

 

 残り10秒。

 

 「バステルタは陣形を維持しつつ全力で後退!!俺もそろそろ逃げなきゃな」

 

 「リョウ 準備はいいね」

 「もちろん」

 「5……4……3…… 目標をロックオン」

 「2……1……0 当たれぇぇぇぇ!」

 

 二筋のビームの光が交差し、その地点で暗い海を昼のように照らすほどの爆発が起こった。

 

 「なっなに!」

 「この方角はヴィルたちの 大丈夫か……」

 

 すると映像付きの通信が入る。ヴィルからだ。見る限り心配は無さそうだ。

 

 『死ぬかと思ったぜ そっちは無事か?』

 「ちょっと無理したが平気だ というかなんだ今の爆発!」

 『いやぁ、敵さんが思った以上の爆薬積んでたらしくて、一気に誘爆して全滅したぜ まあ、帰投してからゆっくり話すよ。』

 

 「ねぇ、翔ちゃん 絶対にさ!うち頭数足りないよね!ねぇ!」

 

 

 やがて全機帰投し、機体の損傷具合を見て整備兵が全員怒りと驚きで白眼を剥いていた。

 整備兵一同ハンガーに来ていたアハトワを見つめ、アハトワ無言の笑顔で返した。

 恐らく無言の内容はこうだ。

 

 『隊長!これもしかして……』

 『一晩で頼むよ』

 

 整備兵が嘆き、怒り、唖然している頃、パイロットたちは布団でぐっすりと戦闘の疲れを癒していた。

 

 

 整備は翌日の朝まで続いた。

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