十五日目
「数日間世話になったわね」
ありがとう、と微笑む彼女の肩には二ィドーーいや、ロードがちょこんと座っていた。道を意味するその名は昨日二人で夜ふかしして考えたものだ。ハルはロードが明るい道を行く手助けがしたいと言っていた。
「いや、私の方こそ色々助けてもらった」
「そう?」
まだまだ怖がりなロードだが、なんとか魔物と半分同じキメラであるハルと私には少し慣れてきたようだった。
早々に世界を回ることに不安も感じるが、ハルは「世界が怖いものだという思いが固定されるときっと動けなくなってしまう。この子は本当は好奇心旺盛な子だったと思うのよ。……なら私が見せてあげたいの、世界を」と、そう言っていた。そのことをハルとロードのふたりで話し合ったらしく、話し合いを終えたロードは何処か顔つきが変わっていた。
ロードも思うところがあったのだろう。魔物は守られるだけじゃないことは、私も知っている。彼らは人よりもよほど強い。力がではない。自立する心がだ。
それにもし何かあればまたここに帰ってくればいい。ハルがいればそう厄介なことにはならないとは思うのだが。
「また何時でも帰ってきたらいい」
ハルは目を見開くとふふふと笑った。くるりとその場で半回転ターンし、顔が見えなくなる。白いワンピースと透ける桃色の髪がふわりと踊った。
「……意外と悪くないわね、帰る場所があるって言うのも」
そしてハルは転移石を掲げ、その場から転移した。ロードがきらきらした目で転移石を見ていたから転移先で色々あるかもしれないな、と思った。
「キュ、きゅ!」
ぽふっと座り込んだ私の腰に小さな手が添えられた。振り返るとヨーデルの上に乗ったウォンが手を伸ばしていた。ちいさなててが最高に可愛い。
私は笑いながらウォンを持ち上げそっと抱きしめる。片手でヨーデルの頭をよしよしと撫で、ふぅと一息ついた。
すっかり寂しくなってしまった洞窟の中はどうしてか、がらんとしたように見え苦笑する。今までが騒がし過ぎただけなのにな。
余談だが、ほんの少しの未来ではルーが持ってくる巨大芋虫の隣に普通サイズの芋虫がごろごろ付いてきたり、
ある日起きると洞窟の外が見えないぐらい草が一夜にして生い茂っていたり、
どんぐりが添えられていたり、
またたびらしきものが幾つも置いてあったからか、ネコ科の魔物がわらわら集まったりして、寂しいなどとは思えなくなったりするのだが、今はそんなことなどつゆ知らず静かな洞窟でさんにんは微睡んでいるのだった。
パラレプス編完!




