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十一日目 午後二時

 そろそろ動かなくてはと動き出したのは、日も傾き始めたころだった。


 外は分厚い曇が広がっており、ざーざーと大粒の雨が降っている。この数時間で急に天気が崩れたのだ。


 寝ているフェリスの羽根がぶわっと広がったり、同じく夢の国へ旅立っている『ヨーデル』の羊毛がやけに湿気たりはしたものの、日本の雨の日よりは幾分か過ごしやすかった。


「雨ねえ……。ライラックは雨飲んだことある?」


 ハルが降り注ぐ雨を頬杖をついてじっと眺めている。『ヨーデル』や『ニィド』の親を探すにも雨では外に出るに出れない。魔法で代用しているそうだ。


「顎が痛くなったから、あんまり量は飲めなかったな……そういや雪も齧った」


普通にカキ氷の方が美味しいが、好奇心がスパイスになって謎の美味しさがあった。……確か一人じゃなかった、誰かと食べたような……。


「雪! 一度でいいから雪景色を見てみたいわね」


 ふかふかしてそう! と笑うハル。ふかふかしてる時もあるが、やっぱり雪は氷だ。ふかふかはもふもふじゃない。

 決してスキー初心者なのに、上級者向け急流コースを滑らされて一人ジェットコースターしたことを根に持ってる訳じゃないぞ。……あれは怖かった。でもまあ、雪景色は確かに綺麗だった。


「きっと何処かにあるんだろうな」


「その何処かにある雪景色を見つけたら、たくさん雪だるま作るわ」


 地面に雪だるまの絵を書きながら楽しそうに笑うハル。その様子が気になったのか、ウォンがわくわくした顔をしている。藁で身体を隠している『ニィド』も絵をきらきらした目で見ている。


……これは、あれだな。


 雪景色がないなら作ればいいじゃない、ってことか。




***



『我願う 汝の姿を変えよ』


 水と風の魔石をそれぞれ左右に持ち、地面に魔法書を開きながら、呪文を唱える。

 すると洞窟の中に直径一メートルほどの氷塊が出現した。違う、これじゃない。


 そろっと氷塊にウォンが触れて、飛び跳ねていた。


 飛び跳ね、こちらに逃げてくるウォンの身体を撫でながらぺらぺらと魔法書を捲る。お、一ついいのがあった。


『我願う 塵と舞え』


 次は風の魔石のみで唱える。


 すると手から無数の風のカッターが飛び出し、氷塊を切り刻む。氷のチップの山が出来、空を舞った。


……雪というより、ヒョウだな。


 こつこつと頭にぶつかり雹を払いながら思案する。


「外の雨を雪には出来ないの?」


……その手があった。




『我願う 舞い散れ 凍えよ』


 今回使うのはのはいつもより高度な魔法である。まだまだ不慣れな部分も多いが、なんとか発動出来た。


 水滴がふわりと花開く。


 雪の結晶に変わった水滴はみるみる降り積もり、辺りは一面真っ白に染まった。


 不慣れな魔法のためどっと疲れが来るが、はしゃぐハル達を見ていると、そんなことなど気にならないぐらい、幸せな気分になった。

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