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十一日 正午

そこかしこ痛む身体を抑え、洞窟から這い出でる。

太陽を見るともう頂上に来ているようで、ぐぅと腹時計がなった。……もう無理だ。限界だ。お腹も減ったし、体も痛い。




昨日、フェリスにつれられ、私達は『イーグライフ』の親の元に向かった。


ぴよぴよぴっぴっと上機嫌に歌を歌っている雛っ子が落ちないようにしながら、私とハルは二人揃ってフェリスにぶら下げられていた。肩に爪がくいこんでいる。

ウォンもガシッと力強く私の肩にしがみついていた。

因みに『ヨーデル』と『ニィド』が入っている籠はフェリスが咥えていた。



そうして運ばれているうちに、巨大な大木が見えてきた。その頂上には見たことのないほど大きな巣があった、が……見るも無残なほど崩壊していた。


その巣で暴れまわる数羽、ざっと見た限り四羽が私達の方を向いて、森全体に響くほどの声で絶叫した。これは、あかん。

依然傷を負ったイーグライフの近くによってしまい怒りを買ったことがあったが、これはその時の比ではない。



「イーグライフはね。冒険者の中でも『出会った時が最期』って言われるほど恐れられてるのよ」


ハルが遠い目をしながら四羽のイーグライフを見る。……ある意味二度目の私は幸運なのか。

イーグライフは遠目からでもヴァイアスやルーより確実に大きいことが分かる。直で見た時はもっと凄まじかった。羽を伸ばせば十メートルでは到底足りないだろう。


「ぴッ! ピォオオ!」


雛っ子が籠の中から翼をぱたぱたさせているらしい。

それを見て助けを求めているように見えたのか、冷静さを失った『イーグライフ』達が巣を飛び立って向かってきた。じぇ、ジェット機……。


もふもふどころか『イーグライフ』そのものが鋭い矢のように急な緩急をつけて飛び交う。


直接の攻撃がないのは雛がこちらにいるからだろう。


「キュキュ……、キュキュキュー!」


ウォンが肩で何かを叫ぶ。『イーグライフ』達に何かを伝えようとしているようだ。


「ギャギャギャギャァアアア!!」


……うぉ、ウォンに似てる!


迫力は段違いだが起こり方がどこかウォンと似ている。なんだこの親近感。なんだこの親近感!


人知れずテンションが上がっている私の身体がグォンと揺れた。


『落ちるわけにはいかん! 援護しろ! ワシがあやつらを落ち着ける! ……全く、魔物の守護者がわからんとは……』


フェリスが鳴き、額の魔石が輝き出す。

ハルも呪文を唱え、『イーグライフ』の視界を遮るように黒いモヤを発生させた。私も水色の魔石を使い、局地的な霧を発生させた。……覚えて良かった、水魔法。


二人で発生させた目隠しは、直ぐにその鋭い羽ばたきで払われてしまう。

あまりに巨大な羽ばたきから発生した風の剣。フェリスがそれを急下降で避ける。掛かる重量。目玉がとれそうだ。


時々身体が樹木に強打し、『イーグライフ』の鉤爪が掠り、落ちないように肩にさらに強く食いこむ爪。ウォンが飛んでいきそうなので、服の中に避難させた。肩より幾分かマシだろう。




『イーグライフ』達が落ち着いたのは、日が昇り始める頃だった。その頃は魔石も尽き、フェリスから受け取った籠とウォンを落とさないようにただ必死だった。


ハルはフェリスから飛び降り、木の上で器用に戦っていたが、疲労が凄いようで今は荒い息を吐きながらぐったりと横になっていた。


最後に『イーグライフ』の雛はこちらに翼をばたばた振りながら、親達の元へと帰っていった。

フェリスがしたのはどうやら精神的干渉のようで、簡単に言えば気分を落ち着ける魔法らしい。そんな魔法があったんだな。


我に返った『イーグライフ』達は羽根を一枚私達に渡し、ぺこりと頭を下げて雛とともに巣へと戻っていった。人間がお騒がせしました……。お互いにそう酷い怪我は無いようで良かった。






というわけで、私とハルとフェリスは洞窟の中で昼間になってもぐったりと横になっているのである。うう……魔石取りに行くのも辛い。




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