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十日目 午前九時

 ハルと二人で体操していると、いつの間にか起きていたウォンが私の肩に登ってきた。


 そして定位置の肩に着くと、私達の見様見真似でストレッチを始める。お腹を伸ばしたり、クヌギが入りそうなほど大きな口を開けたり、足をぱたぱた動かしたりだ。

……その口の中にはどのくらい入るのだろう。

 暫く二人と一匹でストレッチを続けていると、ぽふっと足元に衝撃を感じた。


「……ん?」


 足元を見るときらきらした瞳をした『イーグライフ』の雛がいた。なんだこの子物凄く可愛いな。



 朝から元気な雛っ子も加わり、首筋を伸ばし、脇を伸ばし、アキレス腱を更に伸ばす。

 雛っ子も、もふもふした羽毛に砂をつけながらばたばたストレッチ……というより砂をつけて遊んでいる。ストレッチは砂浴びじゃないけど、まあいいか。


 『イーグライフ』の雛がばたばたしているのに気がついたのか、まだ眠たそうな『ヨーデル』やその羊毛に引っ付いたままの『キャルロ』もやってきた。

 その背後の更に背後に小さな針鼠がこちらを見ていることにも直ぐ気がついた。ちょいちょいと手招きしたけど、みっ、と驚いて洞窟の中に引っ込んでしまった。まだ尻尾は見えてるけど。

……なんだあの子も可愛いな。


 『キャルロ』も美可愛いし、ウォンは言わずもがな。……あれ、もしかして皆可愛い? うん、皆可愛い。

ルーも孫も可愛い。可愛いのゲシュタルト崩壊だ。よし、いくらでも崩壊しろ。


 ストレッチをしながら私はそんな事ばかり考えていた。多分ハルも似たようなことを考えていた気がする。





 それは入念過ぎるストレッチを終え、子供達の親を探しに行く準備に入った時だった。

 突然洞窟の周りに濃密度の霧が発生し、その霧の向こうから何かがゆっくりと歩いてきたのだ。


 大きさは大体豹ほどだろうか。


 激しく見覚えのある紫苑色の毛並み。ピンと立った小さな三角の耳。そして額の魔石。



……どこからどう見ても子供『キャルロ』の成長した姿ですね、わかります。


 恐らく他にも何匹か、霧で見えないが潜んでいる気がする。これはもしや、誘拐犯と間違えられてたらもしかしてかなり危ないのではないか。


 冷や冷やする私を尻目に『キャルロ』の子は親の元にも帰らず『ヨーデル』の羊毛を枕にしている。どんだけ気に入ってるんだ……。拘りタイプのようだ。


 『キャルロ』の(恐らく)親はそんな子供の元へと呆れ混じりに近づくと、その体を口で持ち上げた。

 そこから繰り広げられたのは、羊毛から話されまいと優雅さを捨て暴れる子供と、ぐずる子供を家に帰らせようとする親の図だ。ここは幼稚園か公園だったのか。


 その決着は『キャルロ』の小さな爪で引っ掛け掴んでいた羊毛が取れたことによって決まった。


「にぃ、にぃ」


 小さな羊毛を『キャルロ』は頭に乗せ、満足そうに親の元に駆けた。


……あれはもしかしてアフロじゃ……。


 慌てて『ヨーデル』の羊毛を確認したが、どこが減ったのかまるで分からなかった。


 『キャルロ』の親はこちらにぺこりと頭を下げると、アフロになった子供を咥え、霧の中へと消えていった。



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