十日目 午前八時
なんだか暖かいなあ……と思い、薄目を開くと薄黄色だけが視界全面を覆っていた。なんだこれ。もっこもこしている。
……ああ、これは夢か。
ならもう一眠りと再びまぶたを閉じる。朝日が暖かくて気持ちがいい。いつまでも練れそうな気がする。
だが、そんな私の後頭部に衝撃が走った。
「うえ?!」
変な声を出して起き上がる私の背後に、何故かひっくり帰った『イーグライフ』の雛がいた。天に伸ばされた足が空中を歩くように、タタタッと回転している。……そうか、寝相だったのか。
そして私の腹の上には『ヨーデル』がすやすや寝ていた。起きた時の薄黄色は『ヨーデル』の羊毛だったようだ。なんて至福。道理で暖かい筈だ。
『ヨーデル』を相変わらず枕替わりにしている『キャルロ』も寝ていると随分幼い。子猫だ。ちょっと触ってみたが、熟睡してるのか身動ぎするだけで起きない。さらさらでふわふわだ。
『ニィド』といえば敷布団ならぬ敷き藁の影に隠れるように眠っていた。寝れていることにほっとする。寝れなさそうだったら白梟のフェリスに相談しようと思っていたのだ。
ウォンは何処にいるんだろうと、あたりを見渡しても何処にもいない。モナの時の事を思い出してパニックになりかけた。
……のだが、『ヨーデル』のふかふかな羊毛の腹あたりに手を差し込むと、ウォンがいた。やはりか。
「んー、みんな可愛いわね」
にこにこ笑みを零しながら、ウォン達をしゃがみこんで見詰めるハル。彼女から伸びる桜色の長髪が地面に広がっていた。
「そうだな。……おはよう、ハル」
頷きつつ、寝ている皆を起こさないようにそっと持ち上げ、移動させていく。にしても、この雛っ子凄い寝相だな。
ええ、おはよう、とハルが返すと洞窟の外へ朝のストレッチをしに行った。朝日は良いものだ。
昨日私達はルーに子供を届け終えると、日も落ちていたこともあり帰宅することにした。
早く親元へ返してやりたい気持ちと、無理を強行することによる疲労、それによる事故の心配を天秤に掛けた結果だった。
すっかり静かになっていた子供たちを起こさないように、ルーにも手伝ってもらい私達は帰宅した。夜空を吸い込んだようなルーの毛並みが素晴らしかったことは最早言うまでもない。
私はハルの後を追いかけると、久々に体操をした。
春の陽気に良く似たぽかぽかした日差しを浴びながら伸びるのは案外気持ちが良かった。これなら毎日やったっていい。




