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八日目 午後二時

親子の感動の再会にほっこりしていると、突如背後から足音が聞こえた。

警戒レベルが一気に跳ね上がり、全身の血の気が引く。そうだ、この街に安全な場所なんてなかったのだ。


振り返ることへの躊躇はあったが、このままじっとしていても仕方がない。勢いよく、背後に振り返った。


「え?」


「……ん?」


え、と間抜けな声を上げたのは三歩歩けば忘れそうな特徴のない顔をした、見知らぬ少年だった。

アジア系でもないのに、顔が平たくて少し目が細い。


少年は片手に大量の鍵を持ったまま、ぽかんとしていた。


「え……えーと、お客さん? お茶いる?」


身振り手振りであたふたしながら私に問う少年。固まる私達。……私達は客だったのか。いやいやそんなわけがない。


「と、とりあえず待っててよ!」


ぽかんとしている私たちを他所に、少年は何処かへ駆けていった。



***



気がつけば、お茶会が始まっていた。


部屋はそのままの為、呻き声がBGMという異様な状態の中、即席のお茶会は進んでいた。


「マッチャ、っていうやつで、苦いけど美味しいよ」


のほほんと笑いながら、茶を啜る少年。やたらと様になっていた。


「……あの」


「あれ、マッチャ嫌い?」


そうじゃない。


あのヴァイアスですらどうすればいいのか分からないような、困った顔をしている。少年が余りにも普通で自然体過ぎるのだ。


「あー、何か聞きたいことがあるなら、僕に答えれる限りで答えるよ」


人の良さそうな顔でうんうん頷く少年。少なくとも、外見にはアンフィスエバナの印は見当たらない。


「……アンフィスエバナ、の仲間か?」


聞きたいことは山ほどあるが、とりあえずこれだ。もしかすると、少年はこの街の元々の領主の息子かも知れない。

それにしては街がこんな状態にも関わらず平然としすぎているのだが。


「いやいや、ただのアルバイトだよ。人間だし、僕」


ふるふると顔の前で手を振る。

……ああ、アルバイトか。……アルバイト?


「アルバイト、なのか……」


アルバイトで子供攫われる側の気持ちを考えてくれ。怒りを通り越して脱力しそうだ。


「一時雇いなんだよ。時給良いから、これ」


今のご時世大変だからね、とほけほけ笑いながら、残りの茶を飲み干す少年。……何だろう。危険は感じないが逆にやりにくい。

危険度は高いが、赤髪の女や、影を動かす少女の方が気持ち的には良かった気すらする。


「もう一つ、幼い魔物ばかりを攫うのは何でなんだ?」


それと気になるのはこれだ。

先程までは気付かなかったが、檻の中にいる魔物達は皆一様に幼い子ばかりだ。それになぜ生きたまま攫うのだろうか。


「さあ? 一介のアルバイトには知らされてないけど、抵抗されても大丈夫なようにじゃないかな? どうだろ、あんまり考えたことなかったな……」


うーん、と首を傾げる少年に挙動不審なところはない。実に自然体だ。

ウォンが、あれ? とでも言わんばかりに目を白黒させている。わかる、私もだ。

目線を少し移動させてモナを見ると、ヴァイアスの子供とじゃれていた。お互い白いからまるで兄弟にみえる。

私は少し息を吐き、切り替えるように息を吸った。



「そうか……、彼処にいるヴァイアスが子供を攫われた時に毒を打たれたんだが、解毒剤はあるのか?」



これが一番の本命だ。

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