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魔物の守護者 〜もふもふハーレムの同士達~  作者: 流土
一章 ブラットウルフ編
31/106

四十日目

 ほんのり朝焼けが空を色づける時刻。


 何かが動く音が聞こえ、私は目を覚ました。蠢くその影は、まだ闇が濃厚に辺りを漂っているからか、はっきりと視界に捉えることが出来ない。


 目を細めると僅かにそのシルエットが浮かび上がった。


「……ルー?」


 小さくその影の名を呼ぶと、影はゆっくりと振り返った。暗闇の中、刀の切っ先のように爛々と光る瞳と目が合う。

 ルーは口に何かを咥えていた。



 それは、大きな




ーー芋虫だった。



***



……何か恐ろしい夢を見た気がする。


 洞窟の中に差し込む朝日が、私の意識を覚醒させた。


 体を起こすと何かが腹からごろりと転がった。

 それは夢で見たはずの、バスケットボールサイズの巨大な芋虫だった。


……おおう……。



 額に魔石はついていないのが信じられないぐらい、大きな芋虫は既に絶命していた。魔物じゃないのか……。


 今朝見た夢が現実であったと言うならば、恐らくこの芋虫を仕留め、ここまで持って帰ったのはルーなのだろう。


 私は大型犬程の大きさに成長したルーが微睡んでいるのを見る。

 ウォンはルーの背中の上に乗って寝ていた。暖かそうだと思った。



 ルーはもう狩りを始めたという事なのだろうか。


 ルーが大人になる時までもう時間はないのだと、私は開いた魔法書のページを見て思った。


【ルー】

種族 ブラットウルフ

性別 雄

年齢 約十三歳(成体まで後二十日)





 日課としてすっかり定着したランニングを終え、私は一時期氾濫直前だったあの川に来ていた。

 もう流れは収まり、小川と化しているが中にはきらきらと光る魚が確かに居るのが見える。


 今日の予定は、ルーとウォンと共に魚取りをする事に決めた。


 網なんてものはないので手で鷲掴みだ。


 今晩のメニューは川魚の塩焼きである。

 取り立て新鮮の魚を直火で焼いたら、さぞ美味しかろう。


……川魚の塩焼き……。


 その時の私は完全に煩悩に支配されていた。まともな思考を持っていたら気付いた筈だ。





……全然! 取れない……ッ!


 素手で魚を捕ることの難しさに。



 一度目はこうだった。


水面がきらりと光る。

そこに手を突っ込む。

とんでもないスピードで逃げられる。


 二度目は工夫してみた。


石で簡易な囲いを作る。

魚を見つける。

魚を囲いに追い込む。

素手で魚を掴む。

魚がつるりと手を抜ける。


 三度目は魚が予想外の行動をとった。


魚を発見する。

石の囲いに追い込む。

魚が囲いを飛び跳ねて逃げる。

腕が空振りする。



 大体このパターンの繰り返しだ。

 驚く程全く、微塵も取れない。取れそうな気配もしない。


 野生の世界はシビアだった。



 そんな私の隣でルーが魚を口で挟んでは投げ、挟んで投げてを繰り返していた。

 放り投げられたそれをウォンが抑えているのも見えた。




 自然の摂理、弱肉強食。





 ルーはこの場の「強者」であった。



***


 焼き鳥もどきに使った鉄串を使い、ルーが取った魚に刺していく。


 ルーの戦果、魚十三匹。


 私の戦果、零。



 その差は歴然である。

 ウォンは魚とりに参加していないのでカウントしていない。





 串刺しにした魚を魔法石で焚いた火で焼きなから、次こそは取れるようにならないとな、と考えていた。


 このままでは、ルーに頼りきりになりそうだ。






 日に日に頼り甲斐が増していくルーを見ながら私はそう思った。




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