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魔物の守護者 〜もふもふハーレムの同士達~  作者: 流土
一章 ブラットウルフ編
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二十六日目 午後一時

*暫く街のターンが続きます。

「ライラック、もしかしてお金ないの?」


 ハルが魔法袋の中身を見て絶望する私にそう問いかけた。ウォンとルーは私の服を引っ張るのを中断し、じっとこちらを見ている。

 尋問されているかのようだ。


「全く無いな……。まず、お金を見たことがない」


 そう言うとハルは呆れたのか顔を抑え、溜息を吐いた。


「い、今までどうやって生きてきたのよ……」


 ハルが信じられないものを見る目で私を見た。

 確かに、私が元いた世界で『お金を見たことないです。』と言われたら、どこの箱入り息子や娘かと思われるな。


 とは言え、私は異世界転生してからハル以外に人間との交流はないし、仕方がない。


「アタシが出しても良いけど、それじゃあ将来困るものね……」


 ハルは暫く考える素振りを見せると、ぱっと笑顔を浮かべ私を見た。

 売店は諦めたのか、私に抱き上げるのをせがんできたウォンとルーを持ち上げる。



「……そうだわ! ギルド! ギルドに行けばいいのよ!」


 ハルがさも名案とばかりに、街の中央に位置する時計台を指差す。


……ギルド……って、ネットゲームとかにでてくる、あの……。


「……ギルド?」


「キュ?」「クゥ?」


 私達は揃って首を傾げた。



***


 私達はハルに連れられ例の『ギルド』と呼ばれる場所にやって来ていた。


 一見した雰囲気は、日本で言う役所のような感じだ。違うのは、建物がコンクリート製ではなく、煉瓦造りだということぐらいだ。


 ちらほらとギルド員らしき人や、門の前で見たハンターだろう人がいた。



……何か、こう、イメージと違うな。



 何故だろう。夢が壊れた気がした。


「二階に酒場があるわ。後でそこで食事しましょ。そこそこ美味しいわよ」


 ハルがギルド内をきょろきょろ見渡す私に、茶目っ気たっぷりの笑顔を零す。その台詞を聞いて特に喜んだのは腕の中の二匹だ。


「キュー!」

「クゥ!」


 片腕を上げて半身を乗り上げる二匹を落ちないように抑えながら、私は苦笑した。


勿論私も嬉しい。

 干し肉より美味しかったらもう何でも良いのだ!


 殆ど干し肉頼りの生活は、私に相当の我慢と根気を強いらせていた。


「じゃあ、ギルド登録しましょうか」


 ハルは受付の所まで歩き出したので、私もその後ろをついて行く。

 受付の人は、明るい茶髪のすらっとした綺麗な女性だった。


「ギルド登録しに来たわ。後ろのこの子だけどね」


 ハルが後ろの私を指差しながら言う。受付嬢はハルと私を見ると頷いた。



「わかりました。では此方をどうぞ」


 抑揚のない声で受付嬢が、硝子のプレートの様なものを私に渡した。


……何だ、これ?


 訳が分からず混乱する私にハルが「強く握ったら良いのよ」と小声で囁いた。

そうか、強く握ればいいのか。


 十秒程強く握ると受付嬢が「もう放してください」とまたしても抑揚の全く無い声で私にそう言った。

 抑揚が無いことと整った容姿のせいで、随分人形めいた雰囲気を持つ女性だと感じられた。


 受付嬢は私からプレートを受け取ると、微かに目を見開いた。

 それが私が彼女の初めて人間らしい反応を見た瞬間だった。


「……本当に混沌の森に住んでいるのですか?」


 思わずといった様子で、ぽつりと受付嬢が言葉を零す。

 初めて会った時にハルにも言われたが、そんなに珍しいことなのだろうか?


「……一応、住んでますが」


 何でも「一応」や「多分」を付けがちになってしまうのは曖昧、なあなあが好きな日本人の性格がここでも出ているからなのか。



 本当はがっつり住んでます。



「……そうですか、あの森に……お強いのですね」


 それだけ彼女は言うと「ギルド登録完了しました」と私に先程の物とは異なる白いプレートを手渡した。



……全くもって強くないのだが、私はそれを訂正することはなかった。


 男は見栄張りなのだ。

 綺麗な女性にはよく思われたいのは至極当たり前である。



 それから随分後に私はそれを訂正しなかったことを後悔することになる。



*次回はギルドの説明や、通貨の説明に入ります。


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