表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物の守護者 〜もふもふハーレムの同士達~  作者: 流土
一章 ブラットウルフ編
13/106

四日目


……何でウォンとルーが、私の腹の上にいるんだ?


たしか昨日、藁のベッドで寝かせて……ない!

と言うより、「ナハタの実」を二つ程食べてから記憶がない。

ウォンとルーを寝かしつけた記憶も、ない。


……何でだ?


「しかも、喉も痛い……」


 喉が軽い火傷でもしたかのように、ひりひりする。水を魔法袋から出して飲んでみたが、痛みは一向に治らない。


 私はウォンとルーを起こさないよう、藁のベッドに移してから辺りを見渡した。すると、すぐ近くに食べかけの「ナハタの実」が転がっていた。


……何となく嫌な予感がした。

 恐る恐る、齧られた跡のある実を魔法書で鑑定してみる。


「『ドグサの実』

ナハタの実にそっくりな毒性のある果実」


あ、ああああああああああ!!!


コレだぁあああ!!


 寝ているウォンとルーを起こさないように、私は無言で絶叫する。


最悪だ! あんまりだ!

 他の三つの「ナハタの実」だと思っていた果実も調べる。




全て「ドグサの実」だった……。



***


 聞くに堪えない悲惨な事件から、数十分後。まだ心と体の傷が癒えていないが、ウォンとルーが起き出してきたので石臼を引いていた。ゴリゴリ。


「……ドグサ……」


アレは酷い。


 八つ当たりに近い気持ちで石臼に挑んでいると、昨日よりも格段に早く魔石の粉末が出来た。


しかも、結構大量に。


 石臼のお陰か哺乳瓶を振る時には、気分は大分落ち着いていた。余った魔石の粉末は、魔法袋の中に入れておいた。

 絶対に必要になるしな。


 腹ペコ二匹のウォンとルーの腹を満たしてから、私は干し肉を口にした。


 やはりゴムの様に硬かったが、昨日の「ドグサの実」よりずっと美味しかった。


美味しかったのだ……。



***


 体調が優れない事もあり、今日は洞窟の中にいることにした。仕方ない。全てはアレの所為だ。アレが悪い。

 とは言え、確認しなかった私も私なのだが……。


 それと、もう一つ気になる事があったからだ。


「魔石」に関してである。


 銀梟が私の腕を直した魔法を、私も出来ないか試してみたいのである。


試すだけならタダだ。


 魔法を使えるようになったら、今の生活は格段と楽になるだろう。

 それに魔法はロマンだ。夢だ。使えるなら是非使ってみたいという思いもある。


 それに銀梟が、

『これは魔石と言って、魔力エネルギーの塊であり、私の命でもある』と言っていたことも、私が魔法を使えるかもしれないと思った理由の一つだ。




 この世界にとって異世界人の私に魔力があるとは思えない。だが、魔石の中にある魔力を使えばどうだろう。


 もしかしたら、もしかするかも知れない。



 お腹が一杯になって寝始めた二匹を寝かしつけながら、私は内心ガッツポーズをとっていた。




 魔法について事前知識を得る為、魔法書を開く。

「『魔法について』

魔力という高圧エネルギーを使い、超常現象を故意に引き起こす。

魔力は、体の維持の為に微弱に消費され続けており、魔力切れは命に関わる


 ふむ、成る程。でも、私が知りたいのとは少し違うな。

 一度魔法書を閉じてリセットし、再び魔法書を開く。


「『魔石による魔法行使』

魔法は基本的に種族元来の属性しか使用することが出来ない。

だが魔石による魔法は例外で、種族属性以外の属性も行使することが出来る。

また、魔石の中に含まれている魔力を使う為、魔力消費がないのが利点。


魔石は魔物から取れるが、魔物から取れる魔石は一度使えば壊れてしまう。

その為あまり一般的とは言えない



おお…! これだこれ!

これなら私も使えるかもしれない!


 洞窟の奥から幾つかの魔石を拾ってくると、私は洞窟に腰を下ろした。

 行使する魔法を何にするか、探したかったのである。


 私は「初級魔法一覧」を魔法書で引くと、その中から良さげなものを選ぶ。


 その後、その属性にあった色の魔石を手に持ち、魔法書に書かれていた呪文を唱えた。



『我を清めよ スクリアーズ』


 手に持った青い魔石が一瞬強い光を放ち、私の体の周りを透明な膜が覆う。大きなシャボン玉の中に入っているかのようだ。


 ぱちんとそれが割れると、体が風呂上りのようにすっきりする。


 流石に一週間近く風呂に入っていなかったのは、風呂好きの日本人として辛かったのだ。

 初魔法が風呂代わりに行使されたが、悔いはなかった。



 魔法書では魔法を使った後、その魔石は壊れるらしいが、私の手の中にある魔石は壊れる気配が微塵もない。

 僅かばかり色が薄くなった気がする程度だ。


……これは、どういうことだろう。


『魔石は魔物から取れるが、魔物から取れる魔石は一度使えば壊れてしまう』


……魔物から取れた魔石、というところだろうか。

私が使った魔石は、洞窟から手に入ったものだ。


 この世界の生き物は、生命維持の為に常に魔力を使い続けている。

 ならば、魔物も魔石の中のエネルギーを常に消費し続けているというわけだ。

 と言うことは、魔物から手に入る魔石は既にかなり消耗されており、耐久性が減っているのではないだろうか。


 あり得る気がしてきた。


 兎にも角にも、これは嬉しい誤解である。


 私は寝ているウォンとルーにも、同じ魔法を掛けておいた。綺麗になった毛並みを、魔法袋から出した魔物用の櫛で解く。


 これは動物の親が子にする毛繕いのようなもので、ノミやダニ防止になるのだ。

……果たしてこの世界にノミやダニがいるかはわからないが。


 もしかすると、もっと質の悪い寄生虫がいるかもしれない。ブラッシングをしない理由はなかった。


 その日は、簡単な魔法を数種類使用した後、魔石をすり潰す作業に入った。


……残念な事に魔法書の中に、魔石のすり潰し作業を代わりにしてくれる便利魔法は載っていなかった。


 これから先も、この石臼にはお世話になりそうだ。







 その日の晩、魔法で出した火で水を沸騰させ、ゴム肉を茹でてみた。


すると、あら不思議!





味が無くなっていた……。

主人公は魔法が使えるようになった!←new!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ