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二日目 午前

「朝だ! 朝食だ! ライラック、食堂行こうぜ!」


 こんな騒々しい朝初めてかもしれない……。


 しかもこんな朝早く……遠足当日に楽しみすぎて集合三時間前から待機してる小学生か。


 寝ぼけ目を擦りながら私が起き上がると、目の前には仁王立ちしている優矢がいた。優矢は洞窟の入口側に立っているから、背後から朝日を浴びてやけに眩しい。


「……今から?」


「今から!」


 優矢は嘗てないほどいい笑顔でサムズアップしていた。肩には「朝食」という言葉を聞きつけたのかいつの間にかウォンが乗っている。


「キュー!」


 テンションが上がっているのか頭に登ったり落っこちたり、肩からもう片方の肩へと移動したりセワしな可愛い。


 藁のベットからよろよろ起き上がってきたヨーデルは、私の足元で力尽きたようにぺたんと伏せた。弱々しい鳴き声も聞こえる。……なるほど、朝が弱いんだな。

 私はヨーデルを片手で撫で繰り回しながら、出発する準備を始めた。






「んじゃ、しゅっぱーつ!」


 なんとも軽い掛け声と共に視界がぐわんと歪んだ。うっ……気持ち悪……いや、でも担がれて運ばれるよりかはマシだ────





 とんっと地面に足がつく。

 目を開くと、目の前には『でんでん食堂』と達筆な筆で書かれた個性的な看板があった。

 一歩下がり全体を見ると、二階建てだが全体の大きさはちいさな小屋のようだった。中に十人も入ればいっぱいいっぱいだろう。



「キュキュキュー!」


 見た目は小さな小屋だが、中からなんとも美味しそうな匂いが漂う。ウォンの目が匂いを嗅いだ瞬間カッと見開かれた。そこまで開けたのか……。


 匂いに刺激され、空腹に耐えかねたヨーデルは私の髪をがじがじ齧り始めた。あー、頭皮が引っ張られる。

 転移する時に抱き上げていたのだ。



「全員着いたな! よし、着いてるな! ……お邪魔しまーす!」


 やっぱりテンション高いな。ゆるキャラ制覇するだけはある。にっこにこしてる。


 扉を開け、身体半分入ったところで優矢は「あっ」と思い出したようにこちらを向いた。


「話は通してあるから、そこのチビちゃん達も大丈夫だぜ」


 その言葉を聞いてさぁーっと血の気が引いた。寝起きだったことと、私にとってはウォンやヨーデル達がこの姿なのは当たり前の上、いつも街に行く時はハルが一緒だから忘れてた。


 見た目魔物のまんまだ……!!


 さっと辺りを見渡すが誰もいない。朝早いからだろうか。(後々聞いたが優矢が人避けの魔法をかけていたらしい。それを掛けるとその周辺にはなんとなく近寄りがたくなるそうだ)


 幻術の呪文はまだ不得意なのだ。繊細な魔法なのか、少しでも気を抜けば蜃気楼のようにとゆらゆら揺らいで消えてしまう。


 ウォンとヨーデルを腕の中に抱き、おろおろ扉の前を右往左往した後、そろりと扉を開けた。



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