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46話  ドムルの再生

最近、さくさく読めるけど、背景描写が少ないとの意見が多いので、この話から1イベント2~3話で進めていきます。

私が慣れない内は、上手く行かないかも知れませんが、ご了承下さい。

 犯罪の蔓延していた、ドムル伯爵領都市、ドムルを強制的に支配下に置いてから2ヶ月、曲がりなりにも復興がはじまった。


 このドムルの都市で、犯罪を全くしていなかった貴族は、準男爵のファクト・グンデルさん(48歳)だけでした。

 逆に、こんな都市で真っ当にしていた頑固者のファクトさんの家は、とても貴族と言えないほど貧しかった。家族5人で2Kのアパートに住んでいたし。


 ただ、そういった生活をしていたので、今回のような時は助かるのだけどね。


 お宅に伺い、ファクトさんと面会してます。


 「お初にお目にかかります。皇国全権大使のライトと言います。今回伺ったのは、ファクトさんに私の補佐役を引き受けてほしくてまいりました。

 皇国からの了解は受けてますので、御願い出来ませんか。」


 「受けても良いのですが、私の身分では、この都市の補佐をする役職には就けないのですが。」

 

 「そう思って、国皇様に許可を受けて、あなたの爵位が準男爵から男爵にランクアップすることになりました。これで受けてもらえるでしょうか。」


 「それなら構いません。私もこの都市がどうなって行くか、心配ですし。」


 これなら、最低でも真面目に取り組んでくれそうです。


 「では、まず初めにやって頂くのは、この住まいから、元伯爵邸に家族で引っ越して下さい。その方が、執務に無駄がなくなります。」


 取り合えず引っ越してもらい、仕事に専念してもらう事にします。腰を据えて取り組む人が必要になるしね。


 「最初は騎士団の建て直しから入ってもらいます。今残ってる、真面目な方達を中心にして、新規の募集と再編を御願いします。」


 「此方こそ、よろしく頼みます。」


 こうしてファクトさんに補佐に入ってもらいました。貴族が統治に絡む事は、悪い事ばかりじゃないと思う。

 例えば、周辺貴族との調整や、王都との話し合い、商人達との折衝、下に就いた者達の信頼、何より俺は1年したら、この都市を有る程度回復させて、皇国に返還しないとならない。

 その後どういった統治に成るか分からないが、元から携わる人が居たほうが良いに決まってます。


 2日後、ファクトさんと、息子さん2人(22歳と18歳)、お嬢さん1人(20歳)も参加してもらい、新商業ギルド長、新冒険者ギルド長、新騎士団長、警備部、商業部、花町部、カジノ部、情報部、スラム街代表10名で都市計画の修正会議です。


 ちなみに、ファクトさんの奥さんは、屋敷の管理です。


 ファクトさんは騎士団の管理、情報部の管理を兼任してもらい、対処を迅速にしてもらう事にしました。


 息子さんの長男は、この屋敷でライト商会からの、各店への物品の管理を頼みます。


 次男さんは、カジノ部から資金の貸し出し業務を分離して、開業資金などの管理を頼みます。これは、少し心配ですが、ファクトさんに補佐してもらいます。現時点では、圧倒的に物品の方が取り扱いが多いので、長男さんを物品にしました。


 お嬢さんは、この後スラムの子達の工場と隣接させる図書室(後に専門学校にする予定)の、計画と管理を頼みます。


 ファクトさんの家族に、この数々の仕事を割り振るには、それなりの理由が有ります。


 まず、ファクトさんの家族に、各種の報酬や恩賞、都市の為になる良いことの窓口になってもらい、ファクトさん達の名前で行ってもらう。

 断罪や、粛正、その他イメージの良くない事は俺の名前で行う。


 こうすれば、少なくとも復讐等の悪意は俺の方に向くし、感謝はファクトさんに向きます。こうして置けば、2年後、3年後のファクトさん達の統治がし易くなるはずです。


 ここまで決めて、都市の問題点に移ります。

 

 大きく分けて、3つ今浮上してました。


 1つは、領内の各町、村との連絡の不備、2つ目、都市内の悪徳商人の処分、3つ目、物流が外部から俺以外全く入ってこない。です。


 1つ目は、騎士団に5人のグループを作り各村、町に派遣して、伯爵が失脚した事を伝えてもらい、税金が規定の金額に下げられる事を伝えてもらう。ついでに農法の幾つかもファクトさんの名前で伝えてもらう。

 この時商業ギルドに御願いして、職員を1人付け冒険者のグループも1組入れて、各町、村で不正が無いかチェックしてもらう。


 2つ目は、余り問題ないと思う。商業ギルドと法律家の調べで、罰金や刑罰の沙汰が下るのと、住人達が今までの恨みで、不買運動をしているので、その内都市から居なくなっているでしょう。

 薄情かもしれないが、因果応報です。


 3つ目に行く前に、少しでも都市の自給率を上げる為に、都市の外側に幅2kmの農業帯を造る事にしました。これは、簡単に言えば、今の都市の外側に、黒セラミックで外壁を造り、2重の城砦都市にしようという案です。

 開墾は、余りに多くいる犯罪奴隷を使えば、かなりの耕地が出来るはずです。後はそこを、スラムの住人で農業経験者に安く払い下げれば、少しは自給率も稼げます。


 3つ目は正直困った。


 商人達が来る理由と、通過する利点を造らないとならない。


 来る理由は、ズバリ産業です。通過する利点は、利便性かな?


 産業はきつい。未開地が近いので、木材が有るといえば有る。でもこれ位です。


 木で作れる物って何だろう。みんなで意見を出してみると、家、材木、木製食器、木製彫刻、薪、本等です。


 最初の3つは、殆んど各都市で自給していて、あまり実用的でないし、ここから運搬するほど経費を掛けられない。

 木製彫刻は、専用の職人がいて、ものになるまでかなりの時間を必要とする。ものにならない時も多いし。

 薪は論外、で本だけど、紙はどうだろう?


 聞いてみると、紙は大陸西方の帝国からの輸入品で、庶民は余り使用しない、かなりの高級品だそうです。


 後日、試しに作って見る事にした。木の皮を剥いで、本体をチップ状にして煮込み、絞るを3回繰り返し、荒い石臼で、繊維を細かくして、薄い澱粉のお湯に繊維を入れて、紙をすく、水分が少なくなった所まで来たら、熱しながらプレスして乾かしながら平らにする。


 出来たのは、現代の上質紙にはとても及ばない代物ですが、みんなは輸入品より質が良いと言ってた。現物の輸入品の紙を見ると、和紙みたいに繊維がとても粗方ので、これで良しとする。


 鍛冶職人さん達に、機械の製作をしてもらう事に成りました。


 まず木を削るのは、ローラーの表面におろし金の突起を付けたものを1台造ってもらい、煮込み用の大釜を3つ製作してもらう。紙すき用の道具は、昔見た和紙のすき具を20台。職人さん達のアイデアで、乾かす、プレス、平らにするを1回で出来る、火炎魔石使用の2面ローラーの機械を1台造ってもらう事に成りました。


 これらは、全てファクトさんの名で注文して、特許も法外な値段を付けときました。ドムルの特産にしたいしね。


 特産は、これで上手く行けば、年内で軌道に乗るでしょう。


 後は、利用価値。


 これは、以前の都市の悪いイメージ以上の、価値が無いといけないから困った。都市自体はまだごたごたしているし、建物も揃ってない。内需だけは異常にあるけど、ドムル伯爵の悪政の余波でまだ庶民の貧乏のイメージがあるのかな。

 商業ギルドに協力してもらい、復興の噂を流してもらってるけど、反応は今一です。


 都市の地図を見ながら考える。


 農業帯を造ると、この都市はユーノス大河に隣接します。


 ファクトさんに聞いて見ます。


 「都市に、橋を直結した時、そのまま橋の使用者を、都市に強制的に入れて橋の使用料兼で入場料を取ることは出来ますか。

 逆に、都市に入場料を払って入った人を、無料で橋を使用できる様に出来ますか。」


 「河の対岸も、ドムルの領地ですので可能だと思いますが、通常大きな橋を作った時、その橋は単独で使用料が取れますが、宜しいのですか。」


 「今のままでは、この都市の物流がいずれ頭打ちになります。通過してもらうだけでも、付加価値を付けないと、行商人やキャラバンが来てくれないですから。」


 「ライト様が良ければ構いませんが、河に橋を架けられるほどの予算が捻出できませんがどういたしますか。」


 「それは心配ありません。私が魔法を使って架けます。順番としては、都市の外城壁を造ってから、橋の建築、街道の整備でしょうか。

 皆さんには、外城壁が出来たら冒険者ギルドには、新しい敷地内の魔物討伐の大規模クエストを、ライト商会の費用で発行して下さい。それが終わったら、騎士団に内門の開放と外門での警備に変更してもらいます。門と騎士団詰め所の建築を急いで下さい。

 外門での警備が始まったら、全ての犯罪奴隷を使って、開墾して早めに農業希望者に渡してあげて下さい。早ければ秋口の収穫に間に合います。

 時間が有れば、用水路も造りますね。」


 「・・・。」


 「では、時間的に押してますから始めますね。」


 「・・・。」


 さて、何処から黒セラミックの材料を持って来ようかな。この国とエルフの国の間にある、フレート連山の西側、未開地から持って来ようかな。

 

 こうして計画が進んでいく。


 

進行スピードがかなり遅くなりました。しばらくこんな感じでやってみます。

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