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王女の願いと迫る脅威

5話に変身後のマリエル

10話にアピサルのお。○○の画像をUPしました

せっかく作ったのにUPし忘れていましたorz


他にも普段がPCの為気が付かなかったスマホでの読みにくさを解消するために細かい修正を多々入れております。

ここまで読んでくださっていた方に支障が出るような変更はございませんので、変更内容は割愛させていただきます

今後ともよろしくお願いいたします



視点が変わります

 ##ヴァイオレット



 武王丸が冒険者ギルドにたどりつくすこし前、王国内部に潜入していたヴァイオレットは、眼下に広がる景色を見ていた



(まだ昼前なのに...もう聖騎士の支度が整ってる)



 オルトレーンの魔法でヴェルディア王国に来てからすぐに影に潜り偵察に着たというのに聖騎士はすでに出撃する直前だった



(爺の予想より敵の到着が早いかも)


「ガルバート団長!出撃準備が整いました!」


「よし、目的地は大草原。敵国の神話級存在・または魔王級の存在が潜んでいる可能性がある、即時戦闘に入るつもりで行軍せよ!」


「はっ!」


「では、各自騎乗!」


「「「「「「「「「「召喚」」」」」」」」」



 聖騎士が叫ぶとそれぞれの足元から召喚陣があられ、そこから炎の鳥や羽の生えた馬等様々なエレメントが召喚される


 召喚から騎乗までの一連の動作はその高い練度を証明するように規律正しく揃っていた


 戦争とは兵がすり減り、長期の戦争になればなる程、育成が間に合わず教育が行き届かなくなり、兵士の練度は下がっていくものだが、この国では長期の戦でも兵士の練度が落ちない程の国力とシステムを構築しているらしい



(10人くらい特に強いのがいるけど、その中でも群を抜いて強いのが一人)



 ヴァイオレットは団長と呼ばれた男の強さに警戒を強める


 暗殺であれば可能性があるが、真っ向勝負ではヴァイオレットをしてまず勝てないと思える相手



(あのバカ侍よりも強いかも...)



 ヴァイオレットはオルトレーンにこの情報を伝えるべく再び影に潜り移動を開始する



「また、今回の敵は陽動で、その奥に灰の平原を狙う部隊がいるやもしれん、その場合は隊を分け敵本体を叩く」


「はっ!」


「では行くぞ!愚かな敵にガルド=イグノア様の鉄槌を!」


「「「「「ガルド=イグノア様の鉄槌を」」」」」



挿絵(By みてみん)



 背後で聖騎士が飛び立つ、その速度は想定よりも遥かに早い



(私達の帰り間に合わないかも...でかい二人なら余裕だろうけど...力、隠し通せるかな?)



 ヴァイオレットは早々に訪れるであろう神の介入の予感に表情を険しくした






 ###主人公





「うわあああ!」



 俺の目の前で、大の大人によって蹴飛ばされ、地面に叩きつけられるボロボロの服を来た小さな子供



「やめろ!」



 俺は反射的に飛び出していた



「子供に何するんだ!」


 俺は子供をかばうように立つ


 戦争があり、全てが人力だだからか、この世界の人間は総じて屈強だ


 例にもれず目の前の二人も前世であればプロレスラーかボディービルダーのオフシーズンなんじゃないかと思えるほど体がでかい



「あん?何だお前は」


「みねぇ顔だな。部外者は引っ込んでな」


「ふざけるな!子供にこんなことするのを放っておけるわけないだろう!」


「ガルド=イグノア様に不敬を働く餓鬼を庇うとは、お前には天罰が必要そうだな」


「子供を傷つけることを認めるのが神だっていうのか!?」



 信仰は人々を救う者、大人は子供を守る者、どちらも断じて子供を傷つける者じゃない


 信仰を理由に子供を痛めつける目の前の男たちに激しい怒りが沸き起こる


 仮に目の前の状況がこの世界の常識なのであれば



(そんな常識クソくらえだ!)



「主様ご無事ですか!」


「ちょっとアンタ何してんの!」



 そこに、マリエルとキューレが追いついてくる


 次々と裏路地にやってくる乱入者に驚く男たちだが、マリエル達の美しさには更に驚き、そして次の瞬間その顔を下種にゆがめる



「なんだよ、随分かわいい御供がついてんじゃねぇか」


「ガルド様の為に戦う俺たちに神がご褒美を用意してくれたらしい」


「はは、そりゃいいや」



 男たちは俺を威圧するように近づいてくる


 マリエルとキューレが腰を落とす



「マリエル!キューレ!手を出すな!」


「何言ってんだアンタ!?」


「そうです!主様」



 マリエルとキューレが声をあらげるが、どうしても俺が自信であいつ等に立ち向かいたい


 子供の笑顔と声援は、前世で挫ける俺を何度も救ってくれた


 世界は違うけど、俺は子供たちから目を背ける生き方だけはしたくない



「......頼む」



 俺の思いが通じたのか、2人は警戒しながらも後ろに下がってくれる



(ありがとう)



 危険でくだらないわがままなのに、尊重してくれるのがうれしい


 この世界での初めての戦いに高ぶる鼓動を、息を深く吐くことで強制的に落ち着かせながらゆっくりと前に出る


 相手は男二人


 俺は少し斜めに進みながら、一人の男の間合いに先に入るように動く


 狙い通り、片方の男が射程に入るや否や俺に殴りかかってくる


 二人に比べて貧弱な俺の姿に油断しているのであろう男は、無造作なパンチを打ってきた


 当たれば一発で終わりだろうが軌道が見え見えのパンチ


 俺は鋭く踏み込みながら、もう一人の男と逆側に出るようにくぐって躱す


 狙い通り間合いが開いたことでうまく連撃が出来ず、雑なケリを放ってくる


 男の前蹴りを両手で叩き落としながら、その反動を利用してバックステップを踏み倒れた子供の横に着地する


 俺はすかさず背負っていたリュックを子供の横に卸す


 後ろに守るべき弱者がいる限り鉄壁の防御を誇るピー助が子供の傍にいてくれれば何があっても子供は安心だ



「ピー助、子供を守るんだ」

「ピィッ!」



 リュックから俺に光が降り注ぐ



(バフをかけてくれたのか...情けないけど助かるよ、ありがとう、ピー助)



 不安要素の無くなった俺は目の前の男たちに集中する


 二人を連携させない事を最優先に立ち回っていく



(攻撃が荒々しい...やっぱり鎧相手の戦いに慣れてるんだな)



 俺はアクションの技術を深める為に様々な格闘技を学んできた


 その中でも重厚な相手有効なのは——



(ジークンドーだ!)



 固い地面での2対1、ボクシングスタイルではタックルに対応できず危険だし、空手スタイルではフィジカル負けしてしまう


 フットワークが軽く、スポーツ化された武術とは違い、急所を狙う技が多彩な戦闘技術を駆使して男たちを翻弄する



(足を止めず!緩急をつけて!フェイントで崩す!)



 目の前の男を狙うと見せかけてもう一人に、あるいは逆を



(上と思わせて下、下と思わせて裏!)



 俺の狙いを絞らせず翻弄しながら


 ラッキーパンチを貰わないよう徹底したフットワーク



(そして隙を見つけたら迷わず――)



 男たちの大振りを見切る


 その瞬間、手を振り子のように降り一気に加速した拳で




(――急所!)




 チーン




 二つの玉をダイレクトに撃ち抜いた


 競技であればファールカップで手を痛めたかもしれないがこれは実践


 何とも言えない感触が手に残る


 男の急所を撃ち抜かれた男は白目をむいて倒れる


 その様子に思わず動きを止めた男が、ハッとして、俺につかみかかってくる



(そんなに手を伸ばしてくれるなら!!)



 そこで俺は今までのジークンドーの動きを一気に捨て、伸びてくる腕を巻き取るように体を旋回させ



(日本男児の一本背負いじゃぁぁぁ!)



 柔道に意識を切り替え、体幹で男の体を救い上げ放り投げる


 地面に背中からたたきつけられた男はその衝撃に意識を飛ばしかける


 しかし悪魔で広い面での攻撃、相手の防御力が高ければすぐに復活するかもしれないと意識する武術を少林寺拳法に切り替え


 男の手を取り、手首関節を極め、強烈な痛みを与えたうえで



(鼻を撃ち抜く!!)



 淡く握りとがらせた拳で相手の鼻を打つ


 鼻は柔らかく、折れやすい急所だから仮にVITが高くても破壊できると踏んだ


 更には鼻の大量出血は相手の呼吸を妨げ、戦意を喪失させるのにぴったりの急所だ



「シューーッ」



 敵を倒した瞬間の油断を消すため、鋭い呼吸と共に残心を行いながら息を整える


 そして改めて周囲を観察


 俺の望みを察したであろうマリエルは、子供に治療を施しながらこちらを見て、頬を赤らめている


 リュックからはピー助のはねがグッジョブと言わんばかりに飛び出しており


 キューレは無言で構えを取り、油断なく男をにらんでいた


 恐らく俺に何かあったらすぐに割って入るつもりだったのだろう


 人間嫌いのキューレが俺を助けるために構えていてくれる事をうれしく感じて、もう大丈夫かと、気を抜く



「ふぅ...何とかなったな」


「すごいです!主様本当にすごいです!」


「こいつ等アンタよりステータス上だったろうに、よく勝てたね」



 マリエルとキューレが褒めてくれる



「ピー助のバフが無かったら危なかったかも」


「ピィ!」


 武術において、相手の戦術を知ってるのと知らないのでは実力に天と地程の差が生まれる


 戦争による殺し合いで荒々しい力の古い型しか知らなかった男たちと、理論が精錬された格闘術を知っていた俺に在った差


 しかし、それを言うのであれば――



「この男たちが俺を舐めずにスキルを使ってきてたら結果は反対だっただろうね」



 今日は勝てた、守れた。しかし、慢心してはいけない


 この世界の戦い方について俺はまだ何も知らないのだから



「わかってるっていうのに、よく挑んだね」



 俺の言葉にあきれるキューレ



「まぁでも、怪我はマリエルが治してくれるし、いざとなったらキューレも守ってくれただろ?」


「まぁ、一応はアンタのお守りなんだからね」



 そんな俺の言葉に照れ臭そうにするキューレ



「ピィピィ!」



 僕も僕も!と言いたげに、リュックサックに入ったまま、俺の足元ではねるピー助



「はは、そうだね、ピー助は勇者だから、どんな敵からも守ってくれるよな」


「ピィィ!!」



 その様子に笑みがこぼれる




「ガルド様ぁぁぁ」




 突然倒れていた男が叫ぶ


 振り向くと最初に男の急所をつぶした男が身体から炎を噴き上げながら立ち上がっていた



(神の加護スキル!?回復系なのか?)



 するともう一人の男も炎を噴き上げながら立ち上がる


 体中の血管が浮き上がり、体も先ほどより2割増しで膨れ上がっている



「イ゛端ジャア!!」


「主様お下がりください!!」



 マリエルとキューレが俺と男たちの間に立つ


 俺より圧倒的に強い二人が俺より前に立つのは当たり前とはいえ、それがどうしようもなく情けなく感じる



(主役はまだまだ遠いか...)



 戦闘に勝利し、慢心してはいけないと戒めていながらも、どこか高揚していた気持ちが一気に冷静さを取り戻す



「ステータスは大したことないだろうけど、あの炎はすごく嫌な感じがする...拘束も気絶も難しいとなると殺すしかないけど、アンタはそれでいいのかい?」


「そんな!」


「甘ったれた考えは捨てな!殺しなれてる戦士階級が本気になってんだよ!」


「主様をお守りするのが最優先です!」



 俺は自分の無力さが、日本で培った常識の通じなさがどうしようもなく虚しかった


「なぁ話を聞いてくれ!」


「ガアアアア!!!」



 一縷の望みをかけて男たちに言葉をかけるが完全に章句を失っているのか、血走った目で襲ってくる


 マリエルとキューレが即座に弾き飛ばしてくれるが、男たちは火を噴き上げながら即座に起き上がる


 先ほどまでの普通の殴り合いがおままごとに見える程、炎をまき散らしながら暴れる男たちの暴力は圧倒的だった



(俺の突発的な行動がこんなことに...)



 もしあの時俺が男たちに怒気を飛ばさず最後まで対話での解決を目指していたのなら...



(いや、それでも子供を痛めつける奴等を前に我慢することなんてできなかった)



 オルトレーンの言う通り、俺の思想とこの世界の常識は対立するしかないのかもしれない



(であれば、俺は、どうすればいい)



「さっさと決めな、今こいつらを殺して隠蔽を計れば、アンタの言う聖騎士との対話ってやつの可能性があるかもしれないよ」


「......いや、子供を連れて逃げよう」


「騒ぎになって、ばれてもいいんだね?」


「自分のエゴの為に人を殺しちゃったら俺はあいつ等より低俗な人間になるよ」


「アンタって、ほんと人間らしくないね」


「ピー助!子供を抱えてこっちに来てくれ!キューレは牽制!マリエル、俺達を抱えて逃げられるか?」


「お任せください!!」



 マリエルが幻影を解き、その背中から純白の羽を生やす


 逃げようとした瞬間、遠くから、清らかな声が響いた



「また...また神の力が民を苦しめている...」



 一人の女性が路地の入口に立っていた


 金髪。気品ある佇まい。明らかに身分の高い人物


 王女の表情に深い苦悩が浮かぶ



「この力を使えば...でも、民を守らなければ」



 決意を決めたのであろう女性が、両手を掲げる



「我が血に流れし古き契約により、暴走せし神威よ、静まりたまえ」



神威(ディバイン)鎮静(サプレッション)



 王女の額に、金色の紋章が浮かび上がる


 それは4つの円が重なり合う印


 紋章から放たれる光が、兵士たちを包む


 荒々しい炎が、静まってい。



「アァ...」



 兵士たちは白目をむいて崩れ落ちた


 先ほどまで混乱に陥っていた裏路地に静寂が訪れる



「一体何が......」



 混乱に包まれている俺の元に一人の女性が近づいてくる



「また神の力が民を...早く何とかしなくては」



 美しい金髪の高貴な雰囲気と気品を纏ったその女性は、身なりこそ素朴だが明らかに身分の高い人物だと分かる人物だった



「浄化の光」



 続く女性のスキルが男たちを包み込み、気絶していた男たちはハッと目を覚ます



「あれ...一体...」



 そして女性の顔を見て男が驚愕する



「あ、あ...アリシア王女様!」



 正気を取り戻した男たちが慌てて膝をつく

 しかし正気を取り戻した男たちと違い、今度は俺が混乱に陥る



(王女様!?)



 子供を助ける為に戦っていたら王女に助けられる確率ってどんだろうか等、突然の状況に無駄な事を考えてしまう



(オルトレーン、ごめん、最悪な状況になってしまったかもしれない)



 俺がこの場を何とか切り抜けようと思考を回している間に、王女は男たちの元へたどり着いた



「こんな街中で神の加護を願う等何を考えているのですか」


「あれ...俺は...」


「ガルド様の...加護を...!?」



 どうやら加護を発動している最中の記憶は明確にはないようだ


 しかし周囲を見れば、壊れた壁。



「すごい!これを俺やったのか!?」


「違う俺たちだ!俺達ガルド様に選ばれたんだ!」


「おぉぉ!」



 喜ぶ男たちを悲しそうに見つめながら王女が静かに言う



「神の加護はそう簡単に願うものではありません」



 男たちが顔をしかめる



「し、しかし...これは光栄なこと...」


「ガルド様に選ばれた証...」



 王女は悲しそうに首を振る



「あなた方は神の力を使い神の家を壊したのですよ?それが神に認められた者が行う行為だと本当に思うのですか?ガルド様がお喜びになるとでも?」



 その言葉で男たちは途端に青ざめた顔になる



「罪を認めたのであれば神殿へ行き、懺悔をするのです」



「「はい...」」



 男たちは困惑したまま、逃げるように走り去っていった。



「大丈夫ですか」



 王女は少年に数枚の硬貨を握らせた



「王女様、俺の父ちゃんは、何で俺の元じゃなくて、ガルド様の元へいってしまわれたのですか」



 少年は、目に涙をためながら言った言葉に王女は目を伏せ



「あなたの居る国を守りたかったのでしょう。その方法でしか貴方の暮らすこの国を守る方法が無いと思ったのです」


「神なんていなければいいのに......」



 少年は悔しそうに顔をゆがめて、走り去っていく


 それをとても悲しそうに見つめていた王女が、俺を見た



「ガルド様の加護が発動したとなると...貴方はガルド様を信仰していないのですか?」


「い、いえ...そういうわけではないのですが...」


「隠さなくてもかまいません、であれば傭兵国家トラガルの者ですね」


「トラガル?」


「違うのですか...?」



 そこで王女はマリエルの姿をしっかりと見た


 逃走準備を済ませ背中から隠しようのない神聖を帯びた羽を持つマリエルを


 その瞬間王女の顔が盛大に歪む



「天使召喚!?あなたはセルディア教国の司祭!?」



 俺に敵意をむき出しにしながら慌てて距離を取り、魔力を練り上げる王女


 しかし、バックステップをし着地するはずだった足がギュンと宙に引っ張り上げられる



「きゃあああああ」



 あっというまに上下がひっくり返る王女



「なっなにが!?」


「アンタってホントトラブル体質でいい迷惑」



 キューレの糸魔法が王女を中空で縛り上げていく



「ん~~~!!」


「加護を願われるとまた手に負えなくなるから先手撃たせてもらったよ」


「ちょっとキューレ、いきなり縛るなんて」



 俺の言葉に盛大にため息をつくキューレ



「攻撃されるそぶりが見えたのにいきなりなんてホントあアンタ平和ボケした阿保だね」



 鋭い眼光で俺を睨むキューレ



「いいかい、アンタがどんだけお優しくてもかまわないけどね、いざという時の判断だけは間違っちゃいけないよ、たった一度の無責任で一方的な信頼が全てを壊す、それが弱肉強食の世界なんだから」



 キューレの言葉が俺の心にグサリと刺さる


 先ほど自分の対応を間違えたせいで望まぬ結果になったばかりだったからよけに心に刺さる



「キューレ!あなたは主様に対して無礼すぎますよ!」


「何が無礼だ脳みそ花畑天使」


「脳みそ花畑天使!?」


「アタイ等はこいつの下に付くって決めたんだろ、だったらアタイはこいつが間違った方向に進みそうになるのを止める義務があるだろう」


「何が正解か間違いかは何一つ決まっていません。主様はそれを見極めるために行動を起こしているのです!貴方の言う正解はあなたにとっての正解でしかありません、それを主様に押し付けるのは間違いだと私は思います!」



 マリエルとキューレの言い合いは加速する


 異世界に転生して、ガチャを引き、皆に認められ、俺にも何かできるかもと足掻いているけど、結局俺はまだまだ皆に心配されるダメなやつなんだと自覚する



「...っ」



 二人が二人とも俺の事を思ってくれているのがわかるからこそ、仲裁したいのだが、俺にその資格があるのか、その選択がまた間違ってしまうのではないのか、それを思うと声が出ない



(なんて、情けないんだ、俺は)



「ピイイイイイイイイイイイイイ!!!!」



 突然俺たちを優しい光が包み込む


「大丈夫、そんなに悩む必要はないよ、僕たちと一緒に歩いていこう。ずっと一緒に支えるから、安心して」


 ネガティブな気持ちに引っ張られていた俺の心にそんな想いが染み渡る


 光の先に目を向けると小さな勇者が、そのつぶらな瞳を俺に向けながら、そのふさふさの羽毛を俺の足にピトリとくっつけていた



「ピィ...」



挿絵(By みてみん)



 そんなピー助の頬をなでるとさらに心が落ち着いてくる



「ピー助、お前は本当にすごいな、こんなに小さな体で、何度も俺の心を救ってくれて」


「ピィ!!」



 俺が大丈夫だと悟ったピー助は続いて鋭い目つきを浮かべてマリエルとキューレを睨む



「ピッピッピ!」



 そしてまるで二人に説教するかのように鋭くもかわいらしい鳴き声を鳴らしながら身振り手振りで感情を表現していく



「...すまないね、ピー助。つい熱くなりすぎたよ」


「私もです、勇者ピー助。主様の前で言い合いをするべきではありませんでした」



 キューレとマリエルはお互いを見やり



「主様を思っての発言だったというのに、頭ごなしに否定しすぎましたすみませんキューレ」


「アタイの方こそ、花畑天使なんて煽って悪かった...どうにも前世の記憶に引っ張られてるみたいだ...判断を誤りそうなあいつを見てると、カッとなって歯止めが利かなくなった......」



 二人は俺にも謝罪をしてくるが、そもそも俺が未熟すぎるのが原因だ


「有難う、二人が俺を思って発言をしてくれる事、俺はそれが何より頼もしく、うれしいよ。まだまだ未熟な主だけど、これからもよろしく頼む」



 二人に頭を下げる



「ピィィ~~」



 ピー助の本当に世話が焼けるぜと言いたげな鳴き声が聞こえ、俺達は笑ってしまった





「っぷはぁ!あの!!私!放置されてるんですけど!?」




 あ、王女のこと忘れてた




 俺達は王女にトラガルだの何とか教国だのという海外勢力ではないことをしっかりと伝え、理解してもらった後に拘束を解いた


 どうやら理解してくれたようで、又、俺たちがいったい何者なのか、王女の方でも興味を持ったようで、話を続けてくれた


 俺も知りたいことは沢山あったので、改めて自己紹介をした後、オルトレーンがしっかり調べてから話す、と口を濁していた事も、早く知るべきだと、沢山の質問をする



「あの、トラガルとは?」


「ああ、ご存じない?傭兵国家です。 神を捨て、人間の力だけで生きる道を選んだ国」


「神を...捨てた...?」



 アリシア王女が頷く。



「ええ。そして貴女の召喚する天使から、 てっきりセルディア教国の刺客かと...」


「セルディア?」


「南方の神権国家です。 秩序の女神ルーメリア様を信奉し、天使召喚でゲリラ戦を仕掛けてくる厄介な...」



 アリシア王女は言葉を止め、再びマリエルを見る


 天使といえば神聖というのが俺の中の常識だが、この世界では天使はやっかいな存在らしい



「...失礼。敵国の話をしてしまいました」



 物騒な話が多いのに、この王都は随分と開放的に作られてるなと思い聞いてみる



「過去の歴史において、それぞれの王都を滅ぼし、敵をせん滅してから灰の平原を狙おうとした国がありました。しかしその国の者たちが敵国の王都に踏み込むと王都を守護する神が顕現し、攻めてくる軍を瞬く間に滅ぼしたことがありました、それ以来神の陣地に進軍するのはタブーになったのです」



 神は己の陣地を守護し、戦場は住処から離れた灰の平原に限定される


 神の庇護を受けた土地にはモンスターも入ってくることも殆ど無いらしく、王都=平和という図式が世界で成り立っているそうだ



(そこらへんは神様って感じなんだけど......)



 その話を聞いて俺が思ったのは、ボードゲームだ


 前世で重ゲーと呼ばれる世界侵略系のゲームに、皆が最後までゲームを楽しめるように、本拠地は攻め滅ぼされることはなく中央の土地の資源を取り合い、その為に戦争も起こせるものがあった


 決して終わることの無い戦争世界


 オルトレーンの言っていた有史以来途切れたことの無い戦争の原因を知ったような気になり、改めてそんなことをしている神とやらに腹が立つ



「...リュウは私が出会ってきたどんな人とも違う感性をお持ちのようですね」



 この世界では神は信じて当たり前の存在、その存在や考えを疑う事だけで不敬


 俺の様な思考をする人間には初めて出会ったようだ



「あなたは、一体どこの人間なのですか?」



 アリシア王女の疑問は最もで、俺はどんな嘘もすぐ露見するだろうから真実のみを話すことにする



「旅人です」


「一体どちらから?」


「えっと、草原の方から」



 俺のその言葉を聞いた瞬間アリシア王女の目の色が変わる



「昨日草原に現れた神話級存在についてなにかご存じですか!?」


「え!?」



 思わずドキリとする


 間違いなくアピサルたちの事だから


「神が降臨したのであれば私は何としてもお会いし確かめなければならない事があるのです」


「一体何を?」


「戦争を止める方法についてです」


「戦争を止める?」


「おかしなことを言っているのはわかっています、戦争は神の意思。私たちは灰の平原に神の神殿を立てることで、自国の神を唯一神の座に押し上げる使命があります...ですが私は、どうしても疑問なのです、何故、神同志手を取り合う事が出来ないのかと...」



 アリシア王女は悲しそうな眼を浮かべ、それから首を振った



「...本当におかしなことを言ってしまいました。聖騎士が神と敵対する前に話をしたいのですが彼らの行動があまりに早く、途方に暮れていたのです。だから何か知っているならばと思ったのですが...」



 落ち込むアリシア王女


 俺はマリエル達を見る



「主様の決断を尊重いたします!」


「はぁ、ほんとにアンタは...あぁもう好きにしなよ」


「ピッ!」



 それを受けて、俺は決心を固めアリシア王女に声を変える



「あの!」


「はい?」


「誰よりも先に草原に行く方法に興味がありませんか?」


「!?」



 アリシア王女は驚愕の表情で俺を見た

皆さんは小説挿絵、アリナシどっち派ですか?


画像生成AIのプロンプトがまだまだ未熟なのか、1つの画像を作るのに数時間かけてることもザラで、もっと沢山の挿絵を入れたいんですけどなかなかうまくいかず(´;ω;`)特に1度作ったキャラクタ―の雰囲気を保持したまま別のシーンを作るのが難しすぎて挑戦しては失敗を繰り返してます…もうすこし画像生成AIの精度が上がってくれたらうれしいんだけどなぁ

挿絵はイメージなのでちょいちょいキャラのデティール変わるかもですがご容赦ください


私は小説は文字だけでも全く問題なく大いに楽しめるのですが、それでも挿絵があるほうがより楽しめるタイプなので挿絵挿入は続ける予定ですホントは数倍入れたいんだけど時間が許してくれない(´;ω;`)


皆さんが脳内でイメージ固まってきたから挿絵むしろ邪魔!ってなるのであれば己のフォルダだけ、もしくは活動報告などのその他のエリアに投稿するのも考えるのですが...

意見聞かせてもらえたらうれしいです


どちらにせよ月日がたちAIの進歩と共に挿絵の精度も上がる...はず

お付き合いいただけたら幸いです

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