表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

<中国参戦>

 ユーラシア大陸という広大な大陸の一角で発生したロシア軍とソ連軍の戦い。それは正規軍同士が真正面から衝突した戦いであり戦場を戦車砲や榴弾砲の弾が絶えることなく飛び交い、数えられないほどの爆発音が止むことなく続くというアメリカ本土で行なわれている戦闘とは比べ物にならないほど激しいものとなった。


 ロシア軍の榴弾砲がソ連軍の歩兵を吹き飛ばし、ソ連軍の戦車がロシア軍戦車の砲塔を吹き飛ばす。そんな光景が昼夜休みなく繰り返され、戦場に爆発音や衝撃波が広がるたびに破壊された戦闘車両や兵士の死体が生み出されていくのである。


 だが、そんな激しい戦闘も開始から3日目にしてソ連軍がロシア軍を打ち破る形で決着することとなる。


 ロシア軍が戦ったソ連軍、それは元々アメリカからソ連本土を守るためとして派遣されたソ連軍の精鋭部隊であり、兵器の質や練度においてロシア軍はその足元にも及ばなかったのだ。


 そのうえロシア軍のそもそもの問題としてロシア極東部はモスクワから遠く統制が緩かったことから物資の横流しなど汚職が頻発しており、ソ連軍との戦いの中で燃料や弾薬が枯渇しロシア軍は防衛線の維持ができなかったのである。


 しかし一方でソ連軍はロシアでは極少数しか生産されなかったT-14戦車を冷戦下で大量生産して主力戦車として配備しているうえ、アメリカへの侵攻のためにソ連という強烈な統制下で集中的に生産・備蓄されていた物資が枯渇することはなく最初から戦闘の勝敗は決まっているようなものだった。


 こうしてロシア軍の防衛線は崩壊して極東におけるロシアとソ連の決戦はソ連軍の一方的な勝利で終わり、ロシアは極東で最大の人口を有するハバロフスクをソ連軍に占領されることとなった。


 だがこれによりロシア極東部が完全にソ連軍に支配されたわけではない。


 その後ロシア軍の残存兵力はウラジオストクまで後退し、アメリカがソ連軍を抑え込むことに成功している作戦を参考に陸軍でウラジオストクを防衛しつつその背後のウラジオストク沖から海軍による攻撃で迫りくるソ連軍を撃滅するという作戦を決定したのだ。


 こうしてロシア軍は新たな防衛線を構築し迫りくるソ連軍を迎え撃つこととなるが、ソ連によるロシア侵攻は留まることを知らずソ連によるロシアへの侵攻が本格的に始まってから2か月を前にしてロシアはさらに劣勢に追い込まれることとなる。


 ソ連が侵攻したロシア。


 そこはパラレルワールドという違った世界とは言え同じ世界観だった。


 そのためソ連軍にとってロシア軍の兵器は使い慣れたものと同じであり、ロシアのアムール州にある空軍基地を占領したソ連軍はそこにあったロシア空軍の航空機をロシアへの侵攻に投入し、ロシア軍は完全に制空権をソ連軍に奪われたのだ。


 そしてその後行なわれたソ連軍の空爆によりロシアはウラジオストク市街地だけでなく防衛線を築いていた陸軍やロシア海軍の艦艇にも被害を受けることとなり、ロシア軍は複数の艦艇を喪失した。


 現在アメリカが各地でソ連軍を押しとどめることができているのはソ連軍が地上戦力しか有していないのに対してアメリカは地上戦力だけでなく航空戦力による空爆や海上戦力による艦砲射撃といった攻撃することができていたからこそであり、ソ連はその作戦を参考に防衛を考えていた。


 だがすでに制空権を奪われ、頼みの海上戦力であった多数の艦艇を失ったロシアにもはやウラジオストクを防衛する戦力はない。


 こうなってしまえばロシア軍によるウラジオストクの防衛は絶望的であり、ロシア極東部の存亡は風前の灯火へと追い込まれたのである。



 ・・・だが、そこへ思わぬ救世主が現れる。



 その日もソ連軍はウラジオストクに対して空爆を行なうため、占領したロシアのアムール州の空軍基地から飛び立った爆撃機の編隊がウラジオストクへと向かって南下していた。


 しかしウラジオストクを目前にして突如としてその編隊を多数のミサイルが襲う。


 本来であればミサイルからの防護装置が爆撃機には存在していたが、ソ連軍が使用している機体は元々ロシア空軍のものであり整備がされていないどころか予備の部品もなく、ソ連から部品を持ってくるには時間かかることからそのまま使用されていた。


 そのため攻撃を受けた爆撃機は次々とその身を地上へと落としていきロシア軍を苦しめ追い込んできたソ連軍の航空戦力はほんの一瞬にして縮小、ここにきてロシア空軍の整備不良が思わぬ形でソ連軍に大打撃を与えることとなった。


 そしてミサイルを放ちソ連軍の爆撃機を撃墜した戦闘機の正体、それは中国軍の空軍部隊だった。


 今回のソ連によるロシアへの侵攻は紛れもなくロシアと地続きである中国にとって間近に迫る脅威であり、今後中国の脅威となることは間違いなかった。


 そもそもロシアに侵攻をするソ連側の目的が一切分からず、例え中国まで侵攻せずソ連がロシアを平定して中国と友好関係を結ぶことを望んだとしてもそれは到底信用できるものではなく、この世界に対してパラレルワールドから一方的に侵略を行なうソ連と友好関係を結ぶなど論外だったのである。


 そこで中国はロシアと協力して迫りくるソ連軍と戦う決意を固め、この時から極東におけるロシア軍とソ連軍の戦いに新たに中国が加わることとなったのだ。


 こうしてこの世界におけるソ連軍との戦いは拡大する戦線に増加する参戦国と最初の米ソ熱戦という規模を超えてソ連を相手にした世界大戦という規模にまでに拡大し、ソ連の侵攻によって始まったパラレルワールド間の戦いはさらにこの世界の混迷を深めることとなっていった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ