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魔女の使い猫が聖女の使い猫を嫁にする物語

_魔物と人間が対立している時代。

魔物を統べる王、魔王は聖アベリーリャ王国を滅ぼそうとしていた。

聖アベリーリャ王国は魔王を倒す為に腕を磨いたので、魔王が大量にけしかけてきた魔物の大群を捌き切れず、滅亡の危機に迫られていた。

『もう駄目だ』と誰もが諦めた。そんな時、光が差しその中かから“聖女”が現れたのだ!

聖女は手を組み神に祈りを捧げただけで、魔物の大群を全て消し去った。

後にその聖女は異国から来た『アン』と言う名前だと言う事を我々は後に知った。

魔物を退けたアン様は『魔王を倒す為に旅に出る』と言い残し直ぐに何処か遠くに消えてしまった。


(と言うのが聖アベリーリャ国に伝わる話だ。

オレはその聖女の使い猫に恋をした…! 

可愛らしいメスで白色の長い艶がある毛並み、澄んだ湖をそのまま入れたような綺麗な青い瞳。それを見た瞬間に胸がズキューンとにゃったからこれは恋だと思う!だが…)


「ニャン男〜!魔王様がお怒りになっているの!どうしよう!?」

 長い黒髪、紫色の瞳の我が主が泣きながら抱き着いてくる。

「うに゙ゃおぉ(いきなり抱き着くな)!!!!」

「どうしよう!どうしよ〜う!!」

「に゙ぎゃあお(力を強めるな)!ゔに゙ぁ(潰れる)!!」

「あ、ゴメン!!!強く抱き過ぎた…」

 激しく謝りながら謝る我が主。マギア・ネーミングセンス皆無・アイラ(マギア・アイラ←こちらが本名)

ヘッポコ魔女とはコイツの事だ。だが、そんなネーミングセンス皆無魔女でも魔王チーム。

つまりは、聖女の敵だ。

不味いのはオレが好きになった猫の飼い主が聖女だと言う事だ。

何が不味いって?それは…


(愛しい白猫を妻に迎えられにゃい!!!)


「ニャン男〜!」

「涙を付けるにゃ!!!」

 そうこのオレは猫語もニンゲン語も喋れる。

ハイパースゴスゴ猫なのだ!!《ドドン!!》

「ニャン男、私が聖女御一行を奇襲出来なくて、魔王様が怒ってるの…。どうすれば良いと思う?」

「聖女御一行て事は聖女以外に誰か居るにょか!!?」

「居るよ?」

「一体誰にゃんだ!?」

「金髪碧眼のザ・王子様の勇者と、ローブを深く被ったミステリアス系の魔法使いと、オレンジ色の短い綺麗な髪に全ての万物を吸い込む様な緑色の瞳、素敵なムキムキな体、それにぶ厚い胸板の戦士様…!ああん♡想像しただけでヨダレが出る〜!あれこそ、私の運命のお方よ!!」


(そういえば、コイツ筋肉があるオスが好きだったにゃ…)


「それと、白猫ちゃんが一匹」

「猫は一匹にゃんだな!?ホントだにゃ!!?」

「えぇ、ホントよ。猫どころか動物はあの白猫ちゃんだけよ」

「その白猫のにゃまえは?」

「エリザベス?だったと思うわ」

「ふむふむ、エリザベスか…!」


(可愛らしいにゃまえだ!!うちのネーミングセンス皆無魔女マギアとは大違いだにゃー!!)


「よ〜し!今直ぐ会いに行ってくるにゃ!」

「誰に!?まぁ、いってらっしゃ〜い!」

 森の中にポツンとある(オレのテリトリー)から出た。

   ◇◆◇◆◇◆

ガサッッ!

「!敵襲かもしれない!アン!下がれ!!」

 野営をしていた聖女達が武器を構え、音がした茂みに近づく。

「ここか!」

 勇者は剣を茂みに振りかざす。

「居ない!!?」 

「一体何処に行ったんだ…?」

 勇者と魔法使いは首を捻る。

「フシャアアア!!!」

 黒猫が違う茂みから出て威嚇する。

「「なぁんだ、猫か…」」

 

(何処にいるんにゃ!オレの愛しのメス猫!!)


 茂みから出てきたのは黒色の短い艶がある毛並み、金色の瞳のオレ、ニャン男だ(因みに少し遠かったので結局、マギアに転移魔法で送ってもらった)。

「エリザベス、お友達だって」

 青い瞳をこちらに向ける。

「にゃあ(誰よ、アナタ)」

 綺麗で心に温かく染み渡る声だ。

しばし、うっとりと聞いていた。

「にゃあ(アナタ誰)!!」

 ハッと我に変える。

「オレはニャン男だにゃ」

 ここでキリリと自己紹介(ニンゲン語を喋れるアピールもしておく)

「ひ、」

「「「人の言葉を喋った!!?」」」

 聖女達が驚いている。

「フフン、オレはニンゲン語も猫語も喋れる!!スーパースゴスゴ猫とはオレの事だにゃ!!!」

 《ドドドン!!》


(決まった…!エリザベスの様子は…!?)


 目をガン開いていた。

 

(なんか恥ずかしいにゃ…)


「この猫、魔物か!!?」

「魔物じゃ無いにゃ!!心外だにゃ!!」

「「「じゃあ、何なん(だよ)!!」」」

「ヘッポコポコポコ魔女の使い猫にゃ!」

「「「ヘッポコポコポコ魔女!!?」」」

「オレは、プロポーズをしに来たんだにゃ。邪魔するにゃ」

 一本の薔薇(マギアに貰った)を咥え、白猫の前に置く。

「エリザベス、オレの妻になって欲しいにゃ!!!」

「いいわよ。面白そうだし。けど…」

「やった〜〜〜にゃ!!」

 『けど』が聞こえずはしゃぐ。

「「「エリザベスが喋った!!?」」」

「今はそんな事どうでも良いでしょ?」

「「「良くない!!!」」」

「じゃあ、オレん家に行こうよ!!あっ…にゃ!!」

「ん?何で『にゃ』を付けるの?」

「マギア、オレの飼い主がそれを付けてたほうが可愛いって言ってたにゃ!!それより、早く行こうにゃ!!」

「それは駄目よ。私は魔王を討伐するまで自由になれないの」

「え…!?に、にゃんだって〜〜〜!!?」

「だからアナタが魔王を倒してちょうだい?私を妻に迎えたいなら、ね」

「分かった!!その後に迎えに来るからにゃ!!待ってろよーー!!」  

 茂みの中に入っていった。

「も〜〜!一目惚れした素敵な方からプロポーズされたのにーー!!何で意地悪を言っちゃったのかしら!!!私!!」

「え、エリザベス?」

「短い漆黒の輝く毛並み!宝石の様にキラキラしている瞳!!それにイケメン!!!」

「エリザベスー?」 

「あぁ、この世にあの方以外素敵な方はいないわ!!」

「エリザベーース?」

「ニャン男様!本当に甘美な響き。次会う日までに、ニャン男様の匂いを覚えたい…。そうだわ、ニャン男様が咥えていたこの薔薇の匂いを覚えれば…!」

 スンスンスンスン

「エリザベス?変態の様に見えるわよ」

 スンスンスンスンスン

「いい匂いだわ…!」

「ホントに変態に見えるからやめな?」


_これからニャン男によるエリザベスを妻に迎える為の魔王討伐が始まる!!

果たしてその間までにエリザベスは素直になれるのか!!?

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