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甘い夜

私は、あの日の夜のことを何度も思い返していた。


細身で色白の美形男子……

たしか年齢は25歳だった。

私より4歳も若い。


肌に残る程度の、ほんのりした男物の香水の香りがして、さらりと艶のある髪が私の胸元に垂れおちる。


もう、たまらなかった。

あの料理教室は先生に問題があると噂されようと、口コミで低評価をされようと、あの時の私は彼の魅力に抗えなかった。


「どうしよう…お料理教室、つぶれちゃう……ぅ」


そう言いながら、私はまた達してしまっていた。



冷静になって、真顔でスマホをいじる。

あの夜、彼はアラームが鳴って我に返ったのか、そそくさと出て行った。


それを思い出すと悲しくてムカつく。

どうせ美女の彼女がいるんだろう。

引きこもりのくせに。


愛は、その大きさの分、ひるがえせば憎しみだ。


私の場合はまだ恋心だったが、やっぱり生徒としては出禁にしようと心に決めた。


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