式当日
なんだかんだとありまして。
ぼくは、これ以上ユカとのベッドで耐えられる自信がなかったので、早々に婚約した。
順序は守った方がいい。
それに体調万全で、あの細いウエストを絞ったドレスを着てほしい。
ユカは遠慮していたが、姉の最高の晴れ姿をみんなに見せたいという弟さんの強い希望で、小さな式を挙げることになった。
ぼくは、挨拶の数日後、ユカの部屋にころがりこんで同棲を始めた。
ユカの美意識に影響され、ぼくもどんどん健康を取り戻していき、社内でもどよめかれるほどイケメンへ昇格した。
遅れて来た青春。ぼくはモテにモテたが、これまでの仕打ちを忘れるはずがなかった。
ぼくの気持ちはユカ一直線だ。
今日は、とびきり早起きだった。
ユカを起こし、陽の差し込む天気を喜び合う。
しんとした、白く明るいリビングで向き合い、ぼくは改めてユカにプロポーズした。
「これから、よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします、かずきさん」
ユカの花のような笑顔が、朝日に透き通ってとても美しい。
ユカはヘアメイクのため、先に会場へ入った。
ぼくは、しばらく車でボーッとしている。
これから、たくさんのことが起こるだろう。
でもぼくは、頑張りたかった。
何か打ち込めるものをずっと探していた。
半端な仕事で劇団員をしていたのも、夢中になれるものにしがみつきたかったからだった。
でも、それが高じて変な魔法を手に入れたことすら、今は馬鹿馬鹿しい。
どんな大魔法使いでも、自分の人生を生きていくことにおいては、丸腰だ。
ぼくらは、欲しいもの全てを手にして何もする必要がなくなれば、幸せになれるだろうか。
いま頑張りたくないものを、頑張る必要がなくなることは、幸せかもしれない。
でもぼくらは性懲りも無く、また必死になれる何かを探すだろう。
頑張りたくないんじゃない。頑張りたくなるものが見つからないだけなんだ。
ぼくは見つけた。
周りは、こんな美人すぐ浮気に走るとか、結婚に夢を見るなとか言って引きずり下ろそうとしてくる。
でも僕が求めてるのは、ユカちゃんを守り愛するぼくの姿なんだ。
ユカちゃんがそれを許してくれる限り、ぼくは揺るぎないヒーローとして戦い続けられる。
ぼくをヒーローにしてくれて、ありがとう。




