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2人きり
私の心は乱れたままだったが、無事に料理教室は終わった。
試食タイムは、いつものように独身さんが長々とお喋りをし、主婦さんの方が早く食べ終わって帰っていった。
ただ、美形くんもゆっくり上品に口に運んでいたから、食べ終わるにはまだ長くかかりそうだった。
先に教室を出たのは、独身さんの方だった。
スマホの着信音に、イラだった顔をする。着信画面には大きく『母』と表示されていた。
私は、独身さんを見送ると、美形くんと2人きりになった。
美形くんはお皿を片付けながら、今日の体験の感想を話してくれた。
とても楽しかった、引きこもりから外へ出るための良いきっかけになりそうだ、入会したい、とのことだった。
次の瞬間、180cm近くある彼の身体が、フラッと私の方へ傾いた。