清算
ぼくは、霊と体を共有していた。
ぼくが働いた悪事の、逆の立場を味わっていた。
身体は言うことをきかない。
ただただ、目の前の展開を見届けることしかできない。
この死霊が……ユカちゃんの……お父さん…?
えげつない展開だ。
お父さん初めましてどころの騒ぎではない。
いきなり体を乗っ取られて、お嬢さんをぼくにくださいすらさせてもらえない、絶望感。
ユカは、今までにないような張り詰めた視線をこちらに向けていた。
怒った顔もかわいい。ぼくは、こんな時ですら色馬鹿だった。
どうやら、ユカのお父さんはクズだったようだし、おそらく自殺だったんじゃないだろうか。
ユカは、涙目で叫んだ。
「ママはさ!パパからもらった大鍋を、いっつも大事に磨いて使ってたんだよ!!パパがいつでもシャンとしたシャツを着られるように、クリーニング代も稼がなきゃって!働いて働いて……どこまでもパパに尽くし続けて………」
「あの鍋は……商店街のイチカワさんところで融通してもらったものだから、その、プレゼントとしては……あれだろ?」
「男のプライドなんか知るかよ!!!!」
ぼくもユカパパも、ユカの迫力に縮み上がった。
パパ霊は、俺に意識で呟いてくる
「ほら、うちのユカ可愛いのに怖いだろ……?」
知るかよ!
でも怖いと思ったよ!!!むしろ頼もしいよ!!!
ユカは極道の女と化していた。
「おい菅野ぉ!そこにいるんだろ!顔出してこいやァ!!!!」
ユカちゃん怖い。
ぼくたち、ちょっとちびりそうだった。




