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競り合い
ぼくは、ぼくの体の中で葛藤していた。
あの黒い霊がこちらの目を凝視してきて数秒後、ぼくは体を乗っ取られたのを感じた。
抵抗しようとすると、ひどく苦しい。
意識を保つのがやっとで、それ以上のことを考えられない。抵抗をやめれば、楽になることはわかっていた。
でも、それじゃダメだ。この霊を好きにさせると、ユカちゃんにも何かしでかすかもしれない。
抗え!ぼくのコントロールを取り戻すんだ!
でも、その意思に反して、身体は全く反応しない。どんどん歩いていって、ユカちゃんの料理教室が目の前に迫る。
ぼくは、精一杯に怒鳴った。
「ぁう…ぁ」
変な声が漏れるだけで、それ以上身体も操作できない。
あぁ、嘘だ。
ぼくがこんな道に反したことをやるから。
これは罰なんだ。でも、周りを巻き込むわけにはいかない!
急に、すごい力で頭を押さえ込まれた。
ぼくは、意識の底へ沈んでいった。




