絶体絶命
ぼくは、ストレスで今にも心身が潰れそうだった。
契約社員の身で、人生初めて賭けた大勝負。
絶対負けるわけにはいかないのに……最大の目的であるユカちゃんとの恋に必要不可欠な、『美形の化けの皮』が消え去った。
「それどころじゃない」
でも気が気でない。
ぼくは独り言が増えていた。
職場の同僚は、みな訝しげにぼくを見る。でもふたりのお局さんたちだけは、ぼくの男としての勝負を快く思って応援してくれているようだった。
ぼくは、デスクに置かれた差し入れのチョコで口を満たし、精神安定チャージする。
どうする、『代わりの同僚』を、また別の美形男子の死霊の姿にするか、それともぼく自身の姿で挑むか……
ぼくは、皆と少しずらした昼休みに、水タンクを保管する倉庫へ向かった。
ダメだ……絶対あいつに関わっちゃいけない
半年前くらいからだろうか、水タンクの積まれた保管所の奥まったところに、真っ黒なオーラを放つ霊がいた。
だいたいの霊は、特に深い未練もなく、こちらに害のないやつばかりだ。ぼくが話しかけるのも、そういうやつに限定していた。
しかし、そいつは違った。
黒いモヤ越しにも、超美形であることは判る。
しかし……
他の霊は数週間もせず、ふっと成仏していくのに対して、そいつは簡単に成仏しそうな気配はなく、目を合わせれば確実に呪われてしまいそうだった。




