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欲深い女

次の日、私は、菅野くんと入念に打ち合わせした。


彼は、私が見落としていたことや、詰めの甘いところをちゃんとカバーしてくれて、サクサクと企画が整っていった。

すごい。美形なだけじゃなく、仕事もできる人だったんだ。


私は、彼の作った企画書を眺めた。

これから彼の会社で決済をもらえれば、予算がつく。

彼の会社は、ウォーターサーバーを契約中の顧客がお友達を紹介してくれたら、紹介者+紹介されたお友達の人数分、私の料理教室体験を無料でプレゼントする。

私の教室には、あとで彼の会社から体験料が入る。


なにより、うまくいけば少なくとも2人以上のグループでお客様が体験に来てくださる!

新規客がたくさん教室に来てくれる……!!!


菅野くん!なんて頭がいいんだろう!


彼の会社としても、そのくらいの経費で新規客を紹介してもらえるなら充分な儲けに繋がる。


一石何鳥だ…えっと。私はロジックに弱い。

あの、『三方良し』ってやつかな?!彼の会社も、私の料理教室も、お客様も得するってやつ!!


あぁ!彼が経営にほしい!


そして、私のものでいてほしい!

彼は、打ち合わせしていたテーブルで、夢中でメモに手を伸ばす私が火傷しないよう、ノールックで紅茶を隅へ寄せてくれた。


その後のベッドは、お仕置きタイムだった。

「ユカはぼくの女なんだから、他の男にこんな可愛い顔見せちゃダメでしょ?」と逃がしてもらえず、何度もごめんなさいをさせられた。

私がそれをモラハラに感じない、むしろ悦ぶタイプだと見抜かれていた……好き。あの時のことを思い出すと、頭から溶けていきそうだ。


出会ったばかりで付き合ってもいないけれど、私は今回のことで彼に本気の恋をしてしまった。


「でも……」


完全を求めてしまう私は、欲深い。


あんなに美形で仕事も…ベッドも完璧にできたら、絶対にモテる。

運良く私が彼と結婚できたとして、常に不倫の心配をしながら生活し、情緒不安定になりそうで怖かった。


美形と結婚するなら、それくらいドーンと構えるくらいの気概が必要だった。

でも、それは私にできそうもない。


「菅野くんが、美形じゃなかったらなぁ……」

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