作戦通り
ぼくは、心の中でガッツポーズしていた。
ても外面は崩していない。
これでも役者の端くれだ。
自分を客観視して役を演じきるのには長けている。
先生は、赤面してオロオロしていたかと思えば、目を潤ませてぼくの腕の筋肉を眺めている。
本当にエロい。
だが、そろそろ魔法のタイムリミットにも気をつけなければ。
美形ダンディの魔法が解けるまで、あと2時間とちょっとしかない。
ぼくはこれからどうベッドに誘おうか迷ったが、Aプランで行くことにした。
「本当に……楽しい体験でした。家に帰ってもひとりなので、先生とお別れするのが名残惜しいくらいですよ」
「ご家族は…」
「妻には早くに先立たれました。子もいません。ずっと仕事一筋できましたが、そろそろ定年ですから、寂しくて」
やった。計算通り。
先生は、ほうっと熱を帯びた目をした。
「通常レッスン以外にも、こうやってプライベートレッスンも承ってますから、もしまた良かったら…」
「それは、今から受けられますか?」
ぼくは、あえて目線を外してつぶやく。
そして、優しく先生の腕をつかみ、懇願するような目で見つめる。
「レッスン代をお支払いすれば、今夜の先生の時間をいただくことはできますか?」
我ながら、攻めた。
でも、ワインで酔いが回った2人なら、こんな陳腐なセリフでも、恋を始めるには充分だろう。




