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ダンディズム
私は、やってしまったと思った。
きらめくダンディおじさまこと、美形氏の体験入会の日取りを間違えた。
通常のレッスン日に、主婦さんと独身さんと、最近入った20代の女の子と一緒に体験を受けてもらう予定だったのに……
昔からこうだ。
男性に対してその気はなくても、無意識にラッキースケベフラグを立ててしまう。
いや待って。助平とは限らないじゃないか。
電話で問い合わせてきた美形氏は、紳士的な受け答えだった。
それに、料理教室に来る中高年は独身だなんて、偏見もいいところだ。
愛する奥様のために料理を極めたいのかもしれない!
その予想は全て外れ、私はフラグを回避できなかった。
そう、いま2人きりでラザニアを作っている。
「あっ、チーズをですね……」
言いかけて、美形氏と手が触れた。
美形氏は、私の手をすくいあげた。
「綺麗な手ですね。男はみな狼なんですから…お気をつけて」
余裕のある笑みに、銀幕スターのような渋いセクシーさがにじむ。
もうドン引きとかしている暇はなかった。
ふい、と作業に戻るイケおじに、赤面して動けなくなっている、ただの小娘の私がいた。




