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放課後レンジャー  作者: kyo
第2章 相棒
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第31話 いくつかのわかったこと

 プペとの共同生活はなかなか良かった。

 まず寂しくないのがいい。

 話しかけると答えてくれるので、とても楽しい。

 何を言ってるのかは、わからないんだけどね。

 プペはきれい好きみたいだ。ホコリとかゴミとか許せないみたいで、家の中を絶えずきれいにしてくれる。自分の中に取り込んでいるようなんだよね。雑巾掛けは面倒なのでやってなかった。それがプペが来てからの何日間で、家の中はいつもきれいでピカピカになった。



 プペと出会ったあの日は、お風呂に入ってから健ちゃんの家にお邪魔した。

 いただいたものだと鹿肉を持って。

 おばちゃんが美味しく料理してくれた。

 お肉にクセはあったけど、お鍋にして野菜と一緒にいただき美味しかった!

 男性陣はスパイスとハーブをきかせたステーキが一押しと言っていた。

 その日はプペが魔物かどうかを調べたくて、和兄のパソコンで魔物を調べさせてもらった。スライムの変種とかも調べてみたけれど、つるんとしたゼリー状の水たまりのような生物はヒットしなかった。

 引き続き調べてはみるけれど、魔物が外に出られるってヤバイことだったらどうしよう。そこが不安だ。




 アキバに通って、ダンジョンのこと、魔物のことを、聞いたり調べたりした。

 魔物はやはりダンジョンの外に出ることはできないらしい。

 ただテイムされた魔物は、テイマーの力により、別空間の移動が可能。

 例えばアキバのダンジョンでテイムした魔物を連れ歩くことはできないが、他のダンジョンで呼び寄せることはできるらしい。


 わたしと健ちゃんは青くなる思いだったが、実験をすることにした。

 プペに頼み、もしわたしたちが打ち仕損じたら、絶対に倒してとお願いして、

スライムを捕まえてダンジョンから出してみた。

 ところが見えない壁があるかのように、スライムも。他の試した魔物も外には出られなかった。

 やっぱりプペは魔物ではないのでは?とわたしたちは思った。



 アリスとクマの謎も解けた。

 休み時間にりっちゃんと芽衣と話している時に聞いてみたのだ。


「アリスといえば、何を思い浮かべる?」


 と。すると2人は


「アリスとクマ」


 と声を揃えた。

 アリスといえばウサギ、を思い浮かべるのはもう古いみたいだ。


「なぁに、それ?」


「動画」


「あ、そっか。優梨はケータイで見られないのか」


 と芽衣がケータイをいじり出した。

 りっちゃんが追加で情報をくれる。


「ラブコメかな。クマはアリスのことが大好きだね」


「だけど、アリスが気づかないんだよねー。でも絶対、両片思いだよね?」


 芽衣がりっちゃんに同意を求める。


「両方思い?」


 とわたしは尋ねた。


「両方ともお互いの気持ちを知らずに片思いしてるってこと。両思いなのにねー」


 ふぅん。わたしはイメージする。

 アリスはやっぱり不思議の国のアリスになる。そのウサギをちっちゃなクマに置き換えて、……アリスを大好きで、アリスもクマを好きだけど、異種族だから好きになってくれるわけないって思ってるのかな? それでラブコメ?


「クマはあんなにわかりやすいのにね」


「だよね」


「あ、これこれ」


 芽衣が動画を見せてくれようとした時、先生が入ってきた。

 後で見せてもらうことにして、急いで席に戻る。



 アキバに行く日も、行かない日も、健ちゃんと一緒に登下校するようになった。実はちょっと嬉しい。

 セイバーの後ろに乗せてもらいながら、学校であったことの話をする。

 わたしは健ちゃんが気にしていた「クマ」のことがわかったよと報告した。


「へー、アリスとクマって動画があんのか」


「そうそう。ラブコメだって。クマがアリスを大好きで、そんな物語らしい!」


 動画を見せてもらうの忘れちゃった。今度、機会があったら見せてもらおう。


「ラブコメ? 人とクマで? それありなのか?」


「芽衣とりっちゃんはハマってるみたい」


「へー」


「クマのバレバレの思いがツボるって言ってた」


「なんか、面白くねーな」


「ん? なんて言ったの? 聞こえなかった」


「大したことじゃねー。それよりおばさんから電話あったんだろ?」


 そうだった!

 朝はその話を始めたところで、学校についちゃったんだよね。


 お母さんから電話がきた。

 宅配便でアキバで買ったポーションを送ったのが届いたよという報告だった。

 飲んで何か変わったことがあったら教えて欲しいと、メモを入れておいたのだ。


 お母さんは言った。

 置いてきたポーションの2本はおばあちゃんの意識がはっきりして、3本は体力が戻った感じだったそうだ。

 そういうと健ちゃんは考え込む。


「2本と3本ってことは、優梨と俺のってことだな。その2本のに変化があったてことは、優梨のは何かがあるんだ」


 健ちゃんは真面目な声を出す。


「ちょっとやめてよ、怖いじゃん」


 あのポーションは同じアキバダンジョンでドロップしたものだ。違いはない。


「俺のと優梨のポーションの違い……そういえば、あの日、ダンジョン入った時、お前ディーバッグ背負ってたな?」


「え? ああ、ウチダンジョンでもダンジョンに入るならと思ってバッグ持ってたよ」


「その中にポーションは?」


 考えるまでもなく言った。


「入れっぱなしだった」


 もしかして? でもそんなわけないよね、とも思う、でも……。


 わたしたちは検証することにした。

 アキバの売店で買ったポーションとドロップのポーションとで。

 それをわたしが少しの間持っていたものと。それからウチダンジョンに入れたものとを用意する。それらをおばあちゃんに飲んでもらう。

 アキバのダンジョンで明日ポーションがドロップすれば、それが検証できる。



 日曜はマイケルさんに同行をお願いされた調査に行く日だ。

 朝の9時にアキバに集合だ。

 前日もウチダンジョンに軽く潜って、コンディションは整えた。

 そして、プペにはアキバのダンジョンの中でも絶対に出てこないように、人に見つからないように言い含めた。

 テイマーがいないのに魔物がフレンドリーという記述は見当たらなかったから。危険だと言われて、プペが討伐されちゃったら悲しすぎるもの。



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