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第十五話 「射的屋『千』」



 一日の授業が終わり、一人帰路に就く智也。

 物寂しさを感じるその時間に頭の中を占めていたのは、昨晩考えていた生活資金についてである。

 文無しの智也にとって死活的であるそれは、多くある悩みの中でも最重要であり最優先で解決すべき問題だ。


 現状、あの下宿屋には無賃で宿泊させてもらっており、寛大な家主様から許しを得たとはいえ、さすがにそのままでいるつもりは毛頭ない。

 その意思を家主に伝えたように、智也は何かしらの方法で資金を稼ぎ、その人に恩を返したいと思っている。


 生憎と趣味を失ったいま、時間ならいくらでも持て余しているわけで、こうした学園の帰りにどこかで働かせてもらうことも不可能ではないはずだ。


 とはいえ口で言うのは簡単だが、社会の社の字も知らない弱冠十四歳の子供には、色々と思うところがあった。


「そもそも働き口が見つかるかも分からないしな……」


 そう独り言ちながら、浮かべた苦笑いの裏に滲み出る感情を隠して。

 ――路地を抜けた先、開けた視界に映ったのは中央広場で賑わう街の人々だ。


 今や智也もその一部に含まれるが、まだこの街のことは何も知らない。

 初めて足を踏み入れたときは既に日が暮れていたし、その翌朝は寝坊して急いでいた。


「今日に関しては神童がうるさかったしな……っと、八百屋と肉屋と魚屋と、あと射的屋? まであるのか」


 他にも色々な店がありそうだったが、特に目を惹いた射的屋の前で智也は足を止めた。


 この街の民家は木の組み方こそ違えど、そのどれもが特徴的な木骨造りという様式で、着色された漆喰が花のような美しさと可憐さを演出している。

 件の射的屋もその例には漏れず、見てくれは普通の民家と変わらない。異なる部分と言えば、壁面に「射的屋『千』」という看板が付いていることくらいか。


「なんだ坊主、てにきたのか?」


「え、いや、お金がないんで……」


 ぼんやりと看板を眺めていた智也に、店の窓から顔を覗かせた強面の男が声をかけてきた。

 見た感じ四十半ばくらいだろうか。その貫禄もさることながら、より重圧を感じさせる赤い髪に、葉巻をくわえた姿が印象的である。

 一見すると怖い組織の一員にしか思えず、智也は無意識に及び腰になっていた。


「ケッ、文無しかよ」


 男はつまらなそうにそう吐き捨てると、少しずつ後退る智也を見て眉をひそめ、


「ちょっと待て。その制服――学園の生徒か」


「そうですけど……」


「寄ってけ。ワンゲームだけサービスしてやらぁ」


 何の気の迷いか、逆に招かれてしまうことになり困惑する智也。

 その厳つい顔面には警戒こそしていたものの、射的には前々から興味があったため、男に招かれるまま店の中へ。


 店内は不要な壁を撤去しており、外装からは分からないほど広々とした空間があった。

 元々そういう作りなのか店用に改装したのかは定かではないが、二階へと上がる階段が見えるところ、おそらくそちらが住居なのだろう。

 そして、一階のほぼ全てが射的用のスペースとなっている。


「その台に上がったらスタートだ」


 贅沢に設けられた的場には、数十に及ぶ的が床や壁に設置されている。

 的場の入口には腰の高さほどの塀があるが、男が顎をしゃくったのは、その手前にある上がり台のことか。


「いいか坊主、ルールは簡単だ。そこにある的が不規則に光る。お前はそれをタイミングよく魔法でぶち抜けばいいだけだ」


「魔法……」


「ただし、使っていいのは十一番の【火弾】だけ。それくらいなら授業でも習っただろ?」


「まぁ、はい。一応は」


 習ったとはいえ、実際に魔法を扱ったのは今日が初めてとなる。しかも智也の技能では半端にしか扱えておらず、それについての不安もまだ拭えてはいない。

 自然と歯切れが悪くなる智也に男は訝しげに眉をひそめて、


「松竹梅福、射的の難易度はこの四つだ」


「一番難しいのはどれですか?」


「そりゃ松クラスだが……いくらタダとはいえ、中々に気概のあるヤツだな」


「……? じゃあそれでお願いします」


 せっかく無料でできるのだからという思いもあったが、ゲーマー魂が疼いたのか、智也は自然と高難度を選択していた。

 そんな智也に男は「腑抜けだと思ってたから驚いたぜ」と、割と失礼なことを言い捨てて、説明を続ける。


「時間制限は特にないが、弾数は十発だ。その全てを光る的に中てることができればお前の勝ち。よーく狙って撃つんだな、ガハハ!」


「全弾ヒットさせろってか」


 さすがは最高難度である。一度でも外せばその時点でゲームオーバーだ。しかしそれ以前に、自分の魔力が持つのかどうかという懸念があった。

 なにしろ今日の授業で、智也はたった六回しか魔法を扱えなかったからである。

 もちろん、休み休みで残滓を絞り出すことはできたが、それが限界であった。


「それじゃあ始めるぜ」


 上がり台に立った智也を見て、男がそう言った。

 次の瞬間、目まぐるしい速度で数十枚の的が光を放ち始める。

 的から的へ移り変わるどころか、ほぼ同時に複数枚が光っているように見える。これではとてもじゃないが、狙いは絞れない。


「なんだよこれ……」


「どうした、もうギブアップか?」


 そう煽られてしまうと悔しくなるのが男の性である。

 智也は唇を噛みながら、どこかに抜け道がないかと考えを巡らせた。

 こうも高速で光るとなると、逆に適当に撃っても当たるのではないかとさえ思えてしまう。だが、試し撃ちするための余裕はない。


 この的当てに成功したところで、何か報酬が貰えるわけではない。或いはお金を賭けていれば、それなりの見返りもあったのかもしれないが。何れにせよ、これはただのゲーム。お遊びだ。

 そう理解していながらも、いちゲーマーとして手を抜くことはできなかった。


 そうして真剣に頭を回していた智也は、あることに気が付いた。

 一見して不規則に見える光の点滅――その一部に規則性があったのだ。


「とはいえこの速さとなると」


 一か八か、タイミングを見計らって撃ち込むしかない。そう意気込んで、智也は頭の中に炎を描いた。

 授業でやったことを思い出しつつ、伸ばした右手に魔力を集める。

 そして球状に固めた魔力を、詠唱と共に手のひらから放出。


「Reve11【火弾】!」


 右手から生まれた火球が、一直線に飛んでいく。

 それが複数枚ある内の一つに当たろうとしたタイミングで、ちょうど的に光が灯った。

 思わず息を呑み、拳を握りしめる智也。


 しかし、的に当たる寸前で火球が霧散して消えてしまっう。


「またか……」


「ガハハ! 残念だったなぁ坊主」


 肩を落とす智也に男が大口を開けて笑う。事情を知らない男は、おそらくタイミングを外したとでも思っているのだろう。

 あのまま消滅しなければと、不満を抱きながらため息を溢す智也。その背後で――大きな音を立てて扉が開かれた。


「千ちゃ~ん、暇してるか~い?」


 店に入ってきた細身の男。呼んでいるのは店主のことだろうか。

 あの強面の男をちゃん付けで呼べるとは、相当親しい間柄なのだろう。


「武ちゃん、今日は営業中だぜ」


「ありゃ!? 珍しいじゃないの。客人かい?」


「ウチだってたまにゃ入んだよ。ま、今回はコレだけどな」


 店の扉を開ければ真っ先に智也の後ろ姿が目に入ったはずだが、それに気付かなかったくらいだ、よほど珍しいのだろう。

 素っ頓狂な声を出す彼に、店主は指で作った輪っかを見せて肩を竦めた。


「なんだよ兄ちゃん文無しか。良かったな~搾り取られなくて」


「酷い言われようだな。流石にガキから巻き上げようなんて思わねぇよ。ガハハ!」


 店主はそうやって笑っているが、実際のところどうだったかは分からない。

 あれほどの難易度だ、もしも智也が大金を持っていたら、それこそ口車に乗せて搾り取っていたかもしれない。

 警戒心の強い智也は、そう店主に猜疑の目を向けていた。


「坊主、なにか言いたそうな面してんな」


「ひょっとして、つまんなかったんじゃないの~? 兄ちゃん、遠慮せずに言ってやんな」


「おい武ちゃん、そんなわけねぇだろうよ。なぁ坊主?」


「最後までやったわけじゃないので言い切れませんけど……」


 言葉の通り、智也は射的のほんの一部を経験したに過ぎない。

 他の難易度がどうなっているのか、あのあとの展開がどうなるのかはあくまで推測の域を出ないが、ただ同じことを繰り返すだけでは終わらないだろうことが、得意気な店主の顔からも察せられていた。

 おそらく本来なら、ワンプレイにいくらかの代価が発生するはず。そういった博打は元の世界にも存在したが、いくらなんでもこれは運要素が強すぎる。


 一概に運要素のあるゲームと言っても、ある程度はプレイヤーの実力でカバーできる部分がある。

 しかし、ことこの店においてはそういった要素が皆無に等しい。「じゃんけん」や「すごろく」といった有名な運ゲーもあるが、あれには身内とやる楽しさと、負けても笑える気楽さがある。

 もしもそれらにお金を賭けていたとすれば、きっと笑えないし楽しくはないはずだ。だからこそ智也は、


「正直、クソゲーでした」


 店主から向けられる威圧に臆せず、智也は正直な感想を述べた。

 怒声か物が飛んでくる恐れもあったが、自分の気持ちに嘘は付けなかったのだ。とはいえ、さすがに今のは言いすぎたかもしれない。

 と、内心で反省していたところで射的屋に軽快な笑い声が響いた。


「ガハハハ! こいつ本気で言いやがったぞ!」


「千ちゃん相手によく言ったよ。肝が据わってんね~」


 中年二人が顔を見合わせて一笑すると、すぐにその笑みを消した店主が、無言で智也に歩み寄ってくる。

 迫り来る強面に身構える智也だったが、容赦なく店主の右手が伸びてきて――頭を鷲掴み。そして揉みくちゃにされた。

 どうやら、機嫌を損ねたわけではないらしい


「紛らわしい……」


「ウチもな、最初からこうだったわけじゃねぇんだよ」


 言葉の真意がいまいち読み取れず、目を丸くさせる。

 そんな智也の頭の上に手を置いたまま、店主はひとりでに語り始めた。


「坊主が苦戦した難易度を、軽々とクリアした奴がいたんだ。俺も最初はまぐれだと思ってたんだが……」


「あれをですか?」


 にわかには信じ難いと、的場の方に向けた黒瞳を見開く智也。

 店主はそれに「ああ」と相槌を打って頷くと、引っ込めた右手で顎髭を触りながら、同じように視線を移した。


「忘れもしねぇ、ありゃ半年前の話だ。あの日、店にローブを着たガキがやってきたんだ。そいつの手持ちはたったの青硬貨一枚だったが、それは特段珍しいことでもねぇ」


「そういうお客さんは他にもいたってことですか」


「へそくり抱えて遊びに来てた連中が結構居たからな」


「なんせ当時は太っ腹だったもんな~千ちゃん」


 話の流れ的に、そのローブを着た子供のせいで射的屋に客が来なくなったのだろうと智也は推測する。

 その確証を得るための質問に、店主が当時を思い出すかのように遠い目をして、細身の男がその補足を入れた。


「前は今ほど難しくなかったのよ。一番簡単な難易度なんか、無料で青硬貨が貰えるようなもんだったしな!」


「つまりそれを利用して、ローブの子供は手持ちを増やしていったと?」


「そんな簡単なことでもないさ」


 そう言って細身の男が店主に視線を向ける。それに倣って智也も首を動かすと、当の本人は二人から離れ、再びカウンターにある椅子にどかっと座り込んでいた。


「上の難易度は当時から難しかったからな」


「そうそう。みんな簡単な方で硬貨を貯めて、それで難しい方に挑戦したり、小遣いの足しにしたりして遊んでたのよ。――けど誰も、一度として最高難度はクリアできなかった」


 カウンターの引き出しから取り出した葉巻をライターで炙りながら、店主が「アレをやるのは物好きくらいだった」と続け、


「なんせ最高難度に挑戦したけりゃ、最低でも金硬貨一枚は必要だからな」


「金硬貨?」


 この世界の通貨で智也が見聞きしたことがあるのは、先の話にも挙がっていた青い色のものだけ。

 おそらく何種類かの色――つまり複数の貨幣が存在することくらいは理解できたが、具体的にそれらがどのくらいの価値になるのかまでは知り得ない。


「なんだ坊主、金硬貨も知らねぇのか」


「……兄ちゃん、青硬貨なら分かるよな?」


 店主が葉巻をふかしながら、無知蒙昧な智也に好奇な眼差しを向けてくる。

 さも当然かのように語られても、と智也は不満を募らせたが、そんな心情を察してか、細身の男がすかさず助け舟を出してくれた。


「金硬貨ってのはよ、その青硬貨の百倍ぐらいの価値があるわけよ」


「百倍って……」


 単純に、青硬貨が日本円でいう百円だと仮定しても、金硬貨は万札と同等の価値があるということになる。

 そこまで賭けて報酬がどの程度なのか分からないが、智也にはワンゲームで一万は高すぎると感じた。


「……なるほど、あの難易度で金硬貨を賭けようなんて普通は思わないか」


「そういうことよ。確かに難易度に比例して倍率も上がってはいたけどさ、あくまで俺らん中では運試しみたいなもんだったのよ。外れて当然当たればラッキーってね」


 細身の男の話に、智也は「宝くじみたいだな」と呟きながら一人納得する。

 確かにそれなら当選したときの利点は大きいが、それで収入源にしようと考える者は数少ないだろうし、現実的じゃない。

 しかし、だとするとローブの子供はただ宝くじに当選しただけの話にも思えるが。


「──ありゃまるで、魔法を操ってるみてぇだった」


 と、しばらく沈黙を守っていた店主が不意に呟いた。


「魔法を……操る?」


「そうさ。奴の火球は光る的に吸い寄せられるように飛んでったのよ。ありゃきっと、火属性の使い手に違いないね」


「それって本当に十一番だけだったんですか? 何か別の魔法を使ってたとか……それだったらルール違反に」


「俺が指定した条件はちゃんと守ってたぜ」


 怪訝に思った智也の問いを「残念ながら」と遮って、店主は陰鬱そうな表情を浮かべた。

 それは半年前の出来事だと語っていたが、そのとき智也はまだこの世界に来ていない。だから現場を見たわけでもなければ、ここでの知識と経験の浅い智也に、いま耳にした情報だけで真実を見極めることは不可能である。

 ただそれでも、あくまで直感でしかないが、智也は店主が騙されているような気がしてならなかった。


「千ちゃ〜ん、そろそろ俺帰るよ。あんまり遅いとまた母ちゃんに怒られるからさ~」


「なんだよ、もう帰るのか武ちゃん」


「あ、じゃあ俺もそろそろ……」


「おう、また来いよ坊主」


 細身の男の背中を追う智也に、店主がそう言って葉巻をふかす。その姿を一瞥して、智也も店を後にした。


 ――扉の向こうは、既に日が落ちて暗くなっていた。

 さっきまで外で賑わっていた街の住民も、いつの間にかその姿を消している。


「というか俺、何しにここに来たんだっけ……」


 ただ暇をつぶすために来たわけではない。智也は働き口を探していたのだ。

 それで興味の湧いた射的屋に足を運んだわけだが、とても人を雇えるような状況ではなかった。

 と、先の話を思い出して複雑な表情を浮かべる智也の顔を、横に立っていた細身の男がじっと見つめていた。


「うわっ、帰ったんじゃないんすか」


「兄ちゃん、ローブの奴についてなにか知ってんのかい?」


 驚きの声を上げる智也に、男は真剣な表情でそう尋ねてくる。


「いや、今日初めて知りましたよ」


「……そうかい」


 何か期待していたのか、智也の返答に男が落胆する。

 それから背後の射的屋の様子を伺うような素振りを見せてから、その緑色の瞳に智也を映した。


「千ちゃんはああ言ってたけどさ、俺はあのローブの奴が何らかの不正を働いたと思ってるんだ」


「じゃあ、やっぱり店の人は騙されたってことですか?」


「……それが分からないのよ。確かに奴は十一番を使ってた、そこは間違いない」


「でも明らかに軌道がおかしかったと」


 その問いに、男は力なく頷いた。


 ――魔法を操る魔法。


 仮にもしそんなものが存在するのならば、的を狙い撃つことなど造作もないだろう。


「あれ以来、千ちゃんは変わっちまった。客のことなんて考えず、店の利益を優先するようになったのよ。――でも仕方ないんだ、店の売上金を根こそぎにされちまったんだからよ」


「じゃあこの店は……」


「臍繰り集めてなんとかって感じだろうさ。こっちが支援しようとしても、一向に受け取っちゃくれないんだぜ」


 つまり、その半年前に現れたローブの子供のせいで、この店はいま破産寸前だということか。

 それも、ただ運の良い客に持っていかれただけなら自業自得だと笑われても仕方がないが、おそらくそこには何らかの虚偽があると。


「ここは俺たちにとって大切な場所なのよ。どこの馬の骨とも分からない奴に、壊されてたまるかっての!」


「……」


 なんとなくの事情を把握した智也は、辛そうな男の顔に釣られて何とも言えぬ表情になっていた。

 それに気付いた男が「悪いね、熱くなっちまった」と苦笑して、


「腹も減ったし帰るとするかね」


「そうですね……」


「もしなんか分かったら教えておくれ」


 そう言って背を向けた男は、手を上げながら闇に沈んだ街へと消えていった。



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