第六話 感情がない痕跡がないpart2
登場人物
【第3課資料保存室】
●山崎正一 (ヤマザキ)
主人公。謹慎3ヶ月の処分をくらい、県警のゴミ箱、第三課へ飛ばされる。
●江口さん
資料保存室最年長。
●樋口ルリ(ルリ)
生意気な資料保存室最年少
【捜査一課】
●原田
ヤマザキが最も信頼する同期
●茂山
エリートが集まる一課のエース
捜査に感情を混ぜないように、か……なんかそう言った時の江口さんはいつもより冷たい感じがしてしまった。
俺たちは現場に到着した、そこはなんてことは無い閑静な住宅地の中にある比較的新しい一軒家だった。しかも俺の家から意外と近い。そうなんだよな、この仕事についてから知ったけど、こういう事件って意外と身近なんだよな……
「まだ規制線張ってますね…」
江口さんはそう言うと家の扉の近くに立つ捜査員に声をかけに行った。
しばらくすると
「おーい、許可でたよー、」
と声が聞こえた。
警備してる捜査員はなんか江口さんを怪しい目で見ている。そりゃそうか、捜査一課じゃ無いヤツがいきなりココに来ても戸惑うだろう。
俺は家の中に入る。ルリもそれに続く。
事件現場とされるリビングはきれいな状態に保たれていた。
ルリが話す。
「……なんか被害者が激しく抵抗した形跡がないですね」
……ん?俺に対して話しかけてんの?しょーがねー返してやんよ!
「そうだね、」←人類史上最悪のコミュ力
多分コイツと会話成立するのはこれが2度目かな?
「いや、江口さんに話してんだけど」
…………デスヨネー、ま、まぁなんとなく分かってたんだけどさ…………
気を取り直して、
「江口さん、被害者はどういう状態で発見されたんですか?」
「えーとね、ここのリビングの床に倒れ込んでるところを発見されたんだよ。伝え忘れていたけれど、被害者の性別は女性だ。だから被害者は小学生女子って事になるね。」
「死亡推定時刻は?」
「16時20分くらい、両親は共働きで被害者は、この時間は家に一人だった」
ルリも質問する
「今のところ被疑者は浮かび上がってますか?」
「うん、そうだね。3人程度。」
江口さんによると一応は犯人の絞り込み作業にまでは入っているらしい。
「一人目は隣の女性住人。こことは何回か殺害された被害者の事で揉めた事があったらしい。つまり騒音問題ですね。被害者はピアノを習っていたらしく、その騒音を注意したが改善されないと近所の人に漏らしていたらしい。」
「2人目は地域の見守り隊参加者の男性。遺族によると以前被害者は遺族に対し、この男性が自分をつけているような気がすると相談していたらしい。」
「3人目は女児の元担任の男性教諭。この男は女児とは関係ない事件で先日逮捕された。別の学校で猥褻行為を働いたんらしい。」
「江口さん、その話を聞くと犯人は動機から絞り込んでいっている感じですか?」
「そのようだね」
江口さんら続ける
「ヤマザキ君の言う通り、この家に上の3人が忍び込んだ痕跡はまだ見つかっていない。そして女児が暴行を受けたような痕跡もないんだ。」
「発見当時、玄関の鍵は空いていたんですか?」
「いや、それも空いていなかったみたいだね」
ルリが質問する
「窓や通気口からの侵入はできたんでしょうか?」
「そこも調べたらしいがやはり同様に鍵がかかっていたみたいだね。後狭い窓や通気口から侵入すると服の繊維が必ずこびりつくもんだが、ソレも発見されなかったらしい。」
「つまり、密室状態だったという事ですか……」
「そう考えていいと思うよ。」
そうして俺たちは現場検証を終えた。
………………………………………………………
「ウッ」
車に戻る途中嫌なヤツに出会ってしまった。
向こうもこちらのことに気がついたらしい。
「おっw」
捜査一課時代の元同僚である。しかもコイツ、嫌なヤツで元から仲もよくなかった。うわぁー、こっちをニヤニヤしながら見て来てるし……一体、今一課では俺はどう言われてるんだろうか。
「よおwww」
チッ、声かけて来んなよ。コイツ……心の中で俺が一課追放になった事、ザマァとか思ってんだろーな
「………………よぉ」
「意外なとこであったなwww どおよ第三課はwww」
「なかなか悪くねえよ」
「やっぱり!前からお前は3課似合ってると思ってたんだわwww」
言っちゃいけない言葉がもう喉まで出掛かっている。
「てか、なんでヤマザキ、お前ココにいるんだよwこれ『一課』管轄の事件だぜ?」
「さあな、お前に言う必要ねえだろ」
「ヒー!キビシーwww。あ、そういや資料読んだか?被疑者さあ俺が絞ったのw頑張ってるだろw」
「お前が?」
「そうそう、俺この事件の担当主任なんだよねー。最近事件任してもらえるようになっちゃってさーw」
何自慢しちゃってんの?行き詰まって茂山に事件回してんだろ。
………………と言おうとしだが、ギリギリの所で押し止まった。江口さんと茂山のつながりがコイツにバレる可能性がある。江口さんに迷惑をかける訳にはいかない。
「ふーん、あなたがこの被疑者を絞り込んだんですか。」
「!…………江口さん聞いてたんですか」
「うん、ごめんねー」
「?ヤマザキ、この人誰?3課の人か?」
コイツ……ルリに劣らないくらい失礼だな。江口さんは年上だって事くらいわかるだろ。敬語使えねえのかコイツは
「初めまして、江口といいます。そうですねヤマザキ君と同じく3課に所属しています。」
「ふーん…………まぁよろしくお願いしますね」
生意気に応えてやがる、コイツ一課だからってチョーシ乗りすぎだろ(あ、俺も調子のってたか)
「こちらこそよろしくお願いします。ところアナタはこの被疑者の中で誰が一番怪しいと思っているんですか?」
「うーんw僕はやっぱり2人目の見守り隊の男かと」
「それまたどうして?」
「理由はたくさんありますけどwww、俺はぁー(説明が長すぎるかつ無価値なので省略)」
江口さんは、うんうんとうなづく。話終わるとこっちの方を振り返って来た。
「ちなみにヤマザキ君はどう考えてますか?」
いきなりの振りに少し驚く俺
「え。僕ですか?うーん、まだなんとも言えないんじゃ無いですかね?絞り込んだ被疑者も、動機にだけ基づいた物ですし……」
ここでアイツが割って入る。
「おいおいwだからお前はダメなんだよw動機だって立派な証拠に……」
しかし!さらに江口さんがアイツの話を遮った。
「素晴らしいですよ!ヤマザキ君!」
……え!?褒められたんだけど……
「そうですね、おそらくこの中に犯人はいないでしょう。すぐにこんなリストの中から答えを出そうとするのはバカですよ」
「は?アンタ何言ってんだよ?」
アイツは慌てふためく
「時間をかけて、絞り込んだ被疑者がこれとは……給料泥棒もいいところです。オラウータンにやらせたほうがよかったんじゃ無いかな?」
「おい!さっきから聞いてりゃ……!」
「アナタ、こんなクソみたいな仕事しかできないんだったらさっさと警察から去るべきです、酷すぎます、パチンコ打ちながら捜査指揮したんですか?」
うお…………なんだ、こんな口調強い江口さん見たことない……(出会ってからまだ5日目だから全然見てなくて不思議じゃない)
やばい空気が立ち込めてる。
と、その時
「ねえ、はやく戻りましょうよ。」
ルリの声が車のそばから聞こえる。
ソレを聞いて江口さんも元の温和な表情に戻った
「ヤマザキ君、行きましょうか」
俺たちはそこを後にして車に戻る。
ルリは何があったんだと聞きたそうだ
結構衝撃だった、江口さんがあんな顔するとは……
明日は更新できないかもなので今日中に2つ更新しておきます。




