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〜千年光〜鳥取県警事件録  作者: 西崎 正親
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第五話 感情がない痕跡がないpart1

登場人物


【第3課資料保存室】

●山崎正一 (ヤマザキ)

主人公。謹慎3ヶ月の処分をくらい、県警のゴミ箱、第三課へ飛ばされる。

●江口さん

資料保存室最年長。

●樋口ルリ(ルリ)

生意気な資料保存室最年少


【捜査一課】

原田ハラダ

ヤマザキが最も信頼する同期

●茂山

エリートが集まる一課のエース





配属5日目


昨日、第3課資料保存室に帰ると、江口さんは再び数独に取り掛かってしまい、事件に関しては何も取り組まなかった。いったい江口さんが扱っている事件はなんなんだろうか、気になる。

それもあってか今日はいつもより早めに家を出てしまった。流石にまだ誰もいないだろうなぁと思いながら、今日も資料保存室の扉を開ける。


「おはよう、今日は早いねヤマザキ君」


「…………」


無言ながらルリもいる


あれ、もう二人は来てんのか。


「あ、おはようございます。おふたりはいつも朝これくらいには来てるんですか?」


「そうだねー。」


二人ともだいぶ早いんだな。暇じゃないんだろうか?やるような仕事もないわけだし。




………………………………………………………




「ガタッ」


おっ江口さんが立ち上がった。手にはあのファイル。今日はどこに向かうんだろうか?昨日と同じで屋上か?

あー、気になる。ついて行きたいんだけど……邪魔だろうな……


と悩んでいると意外なところから声が……


「江口さん、今日はどこ行くんですか?」


ルリだ。


「今日は、事件現場に行ってみようと思ってるんだよ」


へー、そうなんだ……どうしよう、めっちゃついて行きたいんだけど。邪魔かな?いや、でもここに残っていても暇なままだし……


そう一人で悩んでいるとさらに、ルリから意外な言葉が


「……私もついて行っていいですか?」


ええー!?お前行きたいの!?意外なんだけど!ずっとサボってたいなぁとか思ってるタイプだろがお前は!


「もちろん!ルリさんいっつもありがとうね、今回も僕に協力してくれるかな?」


またまた意外な、ルリは江口さんの捜査にいっつもついていってんのか


「……いえ……そんかお役に立てそうにもないですが……」


…………おい、ルリはなんで顔赤いんだよ、まさかコイツ江口さんの事好きなの?


「いやいや、いっつもルリさんには助けられてるよ!」


「…………\\\\\」


おいおい赤くなりすぎだろ。コイツが朝早く来てんのもソレが理由か、江口さんと二人っきりの時間を1秒でも長く過ごしたいからぁーってか!?

なんかおもしれえ、あの無愛想で嫌なやつのルリが顔赤くして照れてんよ(ニヤニヤ)


あ、ニヤニヤしてんのバレたかな?ルリがコッチすごい形相で睨んできてんだけど、


「ヤマザキ君はどうしますか?嫌でしたらここにいても大丈夫ですよ」


!!!江口さん、ありがとうございます!!!まさかそちらから聞いていただけるとは!


「いえ!僕もついていかせてください!」


あ、ルリの目つきが更に悪くなってる、睨むなよ、ゴメンナサイネー、お邪魔しまぁーすw




………………………………………………………




「……おぉ……」


第三課用の車が置かれているという場所に着き、俺は少し驚いた。そこに止まってたのは多分20年前くらいの形のコンパクトカーだ。あぁー、なんか嫌でも比較しちゃう、捜査一課の頃はクラウンだったのになぁ。


江口さんが運転席に座ろうとしている。


「江口さん待ってください、僕が運転します」


「そう?じゃあお言葉な甘えちゃおうかな」


あぶねー、大先輩運転させちゃうとこだったよ。




………………………………………………………




【車中にて】


「ヤマザキ君、そこを左に回ってくれる?」


「はい」


「あ、間違えた。右だった」


「ええ!?今から修正は無理ですよ!」


「ごめん!えーとじゃあ、そこを右……あれ左か?」


江口さん、方向音痴なんすか……


「貸してください。」


「ルリさん、ありがとう」


ルリが江口さんから道路表をとった。助かった。こちらからもありがとうと言いたい


「じゃあ、そこ右ね」


……方向は正しくなったけど……


「うん、つぎ左」


なんかコレ、俺がこき使われてる感じですっごい腹立つな。



俺は思いだす。


「そう言えばなんですが、江口さん今回の事件の概要を教えてもらっていいですか?」


「あ、すみません。まだヤマザキ君達には伝えてませんでしたね。」


江口さんによると……今回の事件は殺人事件のようだ。マジかぁ……捜査一課にいた時に殺人事件には何回も関わったから慣れてはいるはずなんだけどなぁ。やっぱり気分は下がる。


「被害者はどんな人なんですか?」


「まだ小学生だね、死因は窒息死」


「…………」


やっぱり気分は落ち込む。江口さんは淡々と続ける。


「今回の事件、厄介なのがねぇ被害者を殺した方法がわからないんだよ」


「どう言う事ですか?さっき窒息死って言ってませんでしたか?じゃあ首を絞めて殺害したのでは?」


「うん、死因はわかってんだけど……首絞めたような痕跡がないんだよ」


「……けど、首絞める以外の方法ってあまり思いつきませんけど……そもそも窒息死させるためには気管を圧迫するか塞ぐかして肺と外界の通路を遮断する必要がありますし」


「うん、そうなんだよね……」


江口さんはその後も説明を続けた。


「ヤマザキ君、唐突だけどさ、一課の時代に、事件に関わる際何か心掛けている事あった?」


「えーと、被害者の遺族に寄り添うとかですかね、後はどんな小さな事も見逃さないようにする。」


「素晴らしいですね、…………できればなんですがそこにもう一つ付け加えられますか?」


「なんでしょうか?」


江口さんは少し間を置いた。




「くれぐれも捜査には余計な感情を混ぜないようにね、」




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