第85話 ドラゴンと再会
僕たちはサルモスさん、聖霊師様、タン老師と今後の事について話し合っていた。
’兄上はどうしただろう。シン王国に来るとしたら、ここへ向かうはずだけど’
と考えながら会議を行っていた。
すると、ガヤガヤ、ドンドンと皆が甲板に上がっていく音がした。
『ドラゴンがやって来た、ドラゴンの襲撃だ』
と外が騒がしくなった。
トントン
―――会議室のドアを叩く音―――
「なんだ。入って来い」
とサルモスさんがドアの向こうの人属に聞いた。
ドアを開けて、若い将校が敬礼した。
「ただいま、ドラゴンが三体、上空に現れ、旋回しております。被害は出ておりません」
と直立して報告した。
その時、
”大魔導士殿は居られるか? ダベンポート王の王弟の大魔導士殿は”
と強烈な思念が頭に入って来た。
「ジェームズ、お主を呼んでおるようじゃぞ」「じゃぞ」
と聖霊師様が僕に向かって言って来た。
「そのようですね。答えてみます。でも何で、兄上を知っているのかな」
と僕は話した後、
”ここにいるが、何のようだ?”
と思念で返してみた。
”おお、やっと見つけた。ミソルバで助けてもらった、竜です”
と答えて来た。
僕たちは外に出て、ドラゴンを見上げていたら、村の入り口の広場に舞い降りた。
兵士たちは迎撃の体制を取っている。
”まあ、まあ、攻撃はしませんよ”
と思念で言って来た。
僕たち三人は、船から降りて、馬に乗り、ドラゴンのいる所に向かっていった。
「主、なんか、あいつ、のりが軽くなってねぇか」
とアーノルドは言いながらも、大剣を背負い、いつでも抜ける体制をとっている。シェリーも同じで、髪の毛をすでに束ねて、戦闘体制になっている。
”シェリー、一応、グラビティホールの錬金陣を張るための矢の位置を計算しておくれ”
とドラゴンには、分からないように魔法通信で指示した。
シェリーは頷いた。
◇ ◇ ◇
「さて、何のようだ。変なことをしたら、また、拘束するぞ」
と警告した。
僕たちは馬から降りずに、ドラゴンに対峙した。
ドラゴンは、自分を水竜と言った。他の2体は土竜と火竜ということだ。ミソルバで見たときは、どれも黒っぽいドラゴンだったが、今はそれぞれ鮮やかな色で、姿も少しづつ違っている。
竜たちの話では、聖魔の堰が崩壊し、魔が聖に襲いかかるが、約定により、聖に加担するとのこと。それにアルカディアでも、仲間の竜が兄上に助けられ、恩返しに魔族に追われていた兄上を助けているらしい。ただ、相手がデーモン軍団の一匹なので、かなり手こずっている言うことで、僕を探し出して連れて来いと言うことらしい。
「おい、ドラゴン野郎、主だけを連れては行かせねぇ」
とアーノルドは警戒して竜に凄んだ。
”もちろん、お二方もご同行いただきたい”
と赤い火竜が答えた。
「おう、じゃあ、馬で追いつく」
とアーノルドが言ったら、
”それでは遅いので、我らが乗せていく”
と土竜が答えた。
「えっ、あなた達に乗るのですか?」
とシェリーが少し驚いて答えた。
”そうだ。我らは本来、人属など乗せないが、大魔導士殿方々であれば、喜んで乗せよう”
◇ ◇ ◇
”まだ、生臭いのが、口に残っている。実に不愉快だ”
とキュプロスに噛み付いた水竜が思念で言って来た。
「ありがとう。礼を言う」
私とケイは間一髪のところで、この水竜に救われた。
”王よ、私に乗れ、そうすれば此処から脱出できる”
と水竜は勧めてくれた。
マリオリもそれに同意して首を縦に振っている。
「いや、私の兵もそして此処の市民達も置いておくことはできない。もし私たちだけ逃げたら、私の王道は王道で無くなる」
と私は拒否した。
私は、胸にうずくまっているケイに
「済まぬな」
と謝った。
ケイは首を横に振った後、両手を私の背中に回し、ギュッと抱きしめて来た。
ドドーン
―――他の竜達のブレスが魔族を吹き飛ばす―――
”判った。王の王弟が来るまで、保ちこたえよう”
と思念で伝えて来た。
そして、凍結ブレスとフロストスパイクの魔法で、キュプロスを凍らせて、バラバラにしていった。
しかし、
「ドラゴンめ、また人属に味方するか。良かろう。共に滅ぼしてくれる」
と言いながら不気味な魔族は、右手の掌に魔法陣を出し、地震を起こした。
土竜が地に立ち、魔法で揺れと地割れを防ぐが、なかりキツイようだ。
風竜達がサンダーレインを発して、不気味な魔族に当てる。
しかし、不気味な魔族は左手を少し上げると消えてしまった。
さらにキュプロスが谷の向こうから、流れ込んできた。マリオリが魔術を使いキュプロスに雷を当てて、何とか足止めをした。
生き残った騎士達とレン老師は、馬上からゴブリン達を次々倒し、私もエルメルシアを振って、氷の剣を飛ばした。
水竜が周りのゴブリン達を尻尾で一掃して、
”王よ、エルメルシアを谷を渡ってくるキュプロスに方に向けよ”
と水竜が行って来た。
私は剣先を渡ってくるキュプロスに向けた。
”我、聖水竜がエルメルシアに力を与える。その剣先より力を放ち敵を射て”
と魔法を掛けた。
すると巨大な樹状の氷が鋭い棘と共にエルメルシアの剣先から発生し、岩の橋を渡ってくるキュプロスを全員串刺しにした。
◇ ◇ ◇
シェリーは、持ち前の気を運用して、土竜の翼と翼の間あたりで立っていた。それに物凄い風を受けているはずだが、髪の毛はわずかに揺れているだけだ。恐らく玄武結界で、影響がないのだろう。その姿は、草原に佇んで、そよ風に吹かれているようにしかみえない。
僕は、空気壁を前に作って、水竜の肩の辺りに跨っている。
アーノルドは、
「おーい、助けてくれー」
と火竜の首にしがみついている。
”ふふ、アーノルド、情けないですよ”
とシェリーが、挑発している。
「うっせ、オメェは結界で風の影響ねぇけど、こっちは、そうはいかねぇんだ」
”アーノルドとやら、儂、聖火竜に乗るものが、ちと、みっともないではないか。あの女人のようにとは言わないが、大魔導士殿程度には、乗ってくれぬか”
と火竜が抗議した。
「仕方ねぇだろう。風で飛びそうなんだから」
”しょうがないのぉ”
とちょっと、右手を前にして、呪文らしき物を唱えた。
するとアーノルドは楽になり、何とか座れるまでになった。
「ふぅ、あんがとよ」
しばらく飛ぶと、
多くのゴブリンやキュプロスが谷の向こう側にいる。
”あれだ、そして、あの魔族はモーンだ”
と水竜が言った。




