第32話 2つのローデシア帝
―――寝室にしては広すぎるその部屋は、昼間でも分厚いカーテンで遮られ、何時も漆黒の闇にあった。中央には十人は寝れるのではないかと思わせるベットが一つ置かれているが、他には何もない場所であった。掃除は週に一度、ノアピ・ルーゼン・ローデシア帝が執務室に行っている僅かな時間で何十人もの掃除夫達によって清掃することになっていた。そのとき、獣の匂いがすることを、決して口外する者はいない。口外したら、処刑される―――
ノアピは、この二十年間、殆ど執務室と寝室の間しか移動していない。今日もヌマガーと謁見した後、すぐに寝室に戻りベットに座り、闇を見つめている。
‘予の……予……の……体……から……出てい……け’
‘良いではないか。もう少しでアルカディアを落とし、この大陸を統一できるぞ。お前の念願だろ?’
‘予の……出て行け’
‘まあ、統一した後の大陸を支配するのは、この俺だがな、人属どもは家畜にして、食料に取っておいてやる。聖素を抜くのは手が掛かるがな。’
‘…………’
‘おお、そうだ。あのヌマガーにはバレたかもしれないな。でもまだ使いみちがあるから、しばらく手駒にしておいてやろう。裏切ったときは、バラバラにしてやればいい。’
‘…………’
‘どうした? 楽しいだろう。俺など、ここ数百年の中で一番ワクワクしているぞ。
ハッ、ハハハハハハハ‘




