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雑貨屋の主人は錬金術師  作者: 村中 順
アーデル砦 ー王の覚醒ー
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第129話 アーデル砦の攻防(一)

―――多くの骸骨の兵、そしてエルメルシア城では見なかった巨大なキュプロスの骸骨。それらが、魔除けの結界ギリギリのところで、待機している―――


「エルメルシアで、小さい骸骨兵は減ったが、また大きのが出てきた」

とヘンリーは普通を装い、城壁の上から眺めながら呟いた。


「アレは、古代のジャントキュプロスですな。もう絶滅して数百年経ちます。地中深くの古代の地層から掘り起こしたのでしょう」

とマリオリは、魔法望遠鏡を覗きながら答えた。


「聖霊師様とメリルキンさんには奥の塔に入っていただきました。僕たちは右の塔に移動します。それから小ゴーレムを城壁に待機させました」

とジェームズはヘンリーに念を押すように語りかけた。


’先ほど、レオナさんの配下の一人が、レオナさんの槍を抱えて、命辛々駆け込んできた。兄上はそれを無言で受け取り、槍を両手で握りしめていた。平静を装っているが、かなり堪えている様子だ。マリオリさんも左の塔に入るから、兄上の近くにいるのがケイさんだけになってしまう。ケイさんの武術は確かなものだが、兄上を愛しているが故に心配だ’

とジェームズは思いながら、再度確認するために


「では行ってきます。僕たち魔法使いとの連絡は、このブレスレットを使ってください」


とジェームズはヘンリーとケイに渡した。


「うむ」

とだけヘンリーは答えた。


   ◇ ◇ ◇


’あの魔法結界を破るには力押ししかないが、ここの土地もご丁寧に清めてあって、骸骨兵の復活は望めないな。厄介な奴らだ’

とムサンビは思いながらも、先ほどゴブリンロードに命じて、そこらにいるゴブリンや魔獣をかき集めさせている。今回は飛行魔獣も連れてくるよう命じておいた。


’魔物の血で穢すのが手っ取り早い’

とムサンビは思った。


「さて、土の中には思いも寄らない物が埋まっているものだぞ。エルメルシアの王よ」

と少し笑い声が混じった、くぐもった声で呟いた。


   ◇ ◇ ◇


「魔物、魔獣を集めている。多分奴らは、アレらを死に兵にして結界を破るつもりだろう」

と僕はスコープを覗き込みながら、横にいるシェリーに話をした。


「そのようですね。如何しましょうか。こちらに来る前に仕掛けますか?」

とシェリーはいつでも出撃できる体制で答えた。


「いや、アレらは魔法で阻止した方がいいと思う。マリオリさんも同じ意見だ」

と僕はシェリーに返した。


 このアーデルの砦は、城壁が二重に廻らされており、その内側に三つの塔がありある。城壁と三つの塔が相互相乗魔法陣になっていて、魔法使いが相互に魔力補間できる構造になっている。つまり、三人の魔法使いが三塔にいるだけで魔力が増す仕組みだ。これは母上の設計したものと兄上から聞いた。そして、三つの塔の下には、兵舎と指揮所があり、兄上はそこで指揮をとるはずだったが、レオナさんがいなくなった今、ギリギリまで城壁で指揮をとるらしい。

 そして、後ろの山の斜面には掘られた小さな都市があり、ヒーナは市民達と待機している。そこには負傷者を運び入れて応急処置をしてもらう事になっている。


 ブオー、ブオー

―――低い音のラッパの音―――


 夜が更けた頃、魔族軍から軍隊ラッパの音がした。いよいよ敵が攻めてくる。 


 暗くてよく見えないが、魔法障壁と魔法結界に魔族が触れると淡い緑色の光が発生する。飛行魔獣が、空の結界に触れているようだ。


 僕は、アルケミックコンパウンドボーを使って照明弾を発射した。これで数時間、辺りが明るくなる。


 飛行魔獣は、結界に向かって飛んでくるが、それを骸骨兵が弓で射て空中で殺しているようだ。多分魔獣の血を結界にかけて、穢すことで無効化させているだろう。

 そして、地上では魔犬、狼らしき魔獣が多数追い立てられて、結界を突進する。こちらは、清められた大地によって、自ら燃え出し、血を吹き出し死んでいった。


”敵は結界の半分を解除したようです。その解除された場所あたりで、阻止しましょう”

とマリオリから連絡があった。


 僕は、上空に錦冠菊の陣を顕現させて、時空矢を陣に向かって発射した。


―――夜空にいく筋もの光る糸が現れ、地上に向かって降る。その下にいる魔物達はバタバタと倒れた―――


 二つの魔法陣が空中に現れたのが見えた。マリオリさんの魔法陣だろう。

周りの飛行魔獣が吸い寄せられて、団子になって落ちているようだ。

’面白い魔法を使うな’

と僕は思った。


 シェリーに計算してもらった位置に矢を立てて、その土地を水のようにして、地上を這う魔獣を沈めた。


   ◇ ◇ ◇


 城の魔法使いどもが小賢しい真似をしている。それに城壁からひっきりなしにファイヤフレームを撃ってくるのが、非常にうざい。


「構わん、どんどん魔獣を追い立てろ」

と命じていると、地上に魔法陣が現れた。


’なんだ、こんな離れた場所に、こんな正確な魔法陣が描けるのか?’

と俺は驚いたが、すぐに


「下がれ、下がれ。さもないと死ぬぞ」

と命じて、全軍を下がらせた。


 魔法陣の内側に火柱が上がり、逃げ遅れた奴は燃え、粉になってしまった。


 骸骨魔術師に命じて、塔にメテオフォールを落とすように命じた。


 最初は当たらないだろうが、次期に魔法障壁に()きができるはずだ。


「どんどん、打ち込め」

と例え魔力がなくなり、粉になっても、打ち込めさせるつもりだ。


   ◇ ◇ ◇


ド・ドドーン、ドドーン

―――メテオフォールが魔法障壁にぶつかる音―――


”これでは、魔法障壁に亀裂が入るのも、時間の問題ですね”

とマリオリさんから連絡があった。


”いま、敵の魔法使いの位置を探っています。判ればすぐに対処できます”

”それはありがたい。流石ですな”

とマリオリさんと話していると、


「ご主人様、特定できました。今送ります」

とシェリーが計算完了を告げて来た。


 シェリーは敵の魔法陣の角度から、どこら辺に敵の魔法使いがいるかを計算したのだ。


 その位置を教えてもらい、時空矢を使って魔法陣を描き、煉獄の炎で灰にした。

 メテオフォールは止んだが、亀裂は生じた様だ。飛行魔獣が砦に近づいてくる。この数なら、時空矢で落とせる。スコープを見ながらターゲットロックし、弓を弾き落としていった。


 しかし、しつこく、魔獣は突進して来て、空中の飛行魔獣は、亀裂を広げるために殺到していた。そして夜が白けるころには、地上の結界も浄化された土地もだいぶん侵食された。


   ◇ ◇ ◇


「弓隊構え」

とヘンリーは手を挙げた。次の突進で弓の範囲に入ると読んだ。


ドドドドドドド


’来た’


「弓放て」

と叫んだ。聖水に清められた何千もの弓が上がり、一瞬空を黒くし、それが地上に向かって落ちていく。


タタタタタタタ

―――弓が刺さる音―――


 魔獣を刺殺し、小ゴーレムのファイヤフレームで灰にした。


   ◇ ◇ ◇


「次はゴブリンども、行け。城壁に取り付いて来い。中にいる女は好きにしろ」

と仕上げにゴブリンを嗾けた。十万に近いゴブリンが走り出した。


’さもしい、奴らだ。女とやる事しか考えてないのか?’

けしかけたのは俺だが、あまりの醜さに辟易した。


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