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反逆無双の重力使い~『無能』と呼ばれて蔑まれた少年は、封じられた力を取り戻して『反逆者』へと至る~  作者: 久遠
五章・得物を手にした反逆者は、試し切りも兼ねて迷宮へと挑む

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反逆者は意外な縁を手繰り、当代の名工へと辿り着く

 



「………………あれ?あんた、あの時の人か……?」




 その声に釣られる形で上げられたシェイドの視界に、何と無く見覚えの在る様な気がするドワーフの姿が写り込む。



 …………特に、変わった風体をしている訳では、無い。


 服装も体型も、道行く他のドワーフ達とそこまで変わるモノでは無いし、髭も男性のドワーフとしては普通な程度にモジャモジャで、一目でドワーフ族であると見てとれる状態となっている。



 何かしらが詰められてパンパンになっている紙袋を抱えた状態にて、この鍛冶屋の集まる地区へと向かう形で足を止めていると言う事は、恐らくは商業地区にて何かしらの買い物をしてから戻って来た、と言う事なのだろう。


 そんな、日常感に溢れたドワーフ族の姿であったのだが、何故か不思議と彼には見覚えが在った気がするのだ。



 …………そもそもの話として、彼にはドワーフ族の知り合いが多く居る、と言う訳では無い。


 隊商に参加して見知り在った彼らを別にすれば、エルフ族程では無いにしても、ドワーフ族の者達もそこまで積極的に外界へと出て行く気質の持ち主、と言う訳でも無い為に、あまりこのレオルクス以外の場所で目にする事自体が稀な程である。



 もちろん、そう言った種族性であったとしても、変わり者として積極的に外へと出て行こうとする者も存在しているし、そう言った者は手先の器用さと一族に伝わる技能にて鍛冶師や細工師として生計を立てるか、もしくは種族特性でもある頑強で屈強な肉体を用いて鉱夫と冒険者となるか、と言うのが大体の行き着く先となっている。


 なので、かつてカートゥの冒険者ギルドに出入りしていた関係上、そこで顔を見た覚えが在る、と言う事なのかとも思ったのだが…………もしそうであった場合、先程の様な反応を示す事はまず無いだろう。顔をしかめるか、もしくは恐怖と共に顔を背けるかのどちらかとなるハズだ。故に、そう言った線での『知り合い』と言う可能性は否定しても良いだろう。



 …………しかし、そうなると極端に候補が少なくなってしまう。


 他に挙げられるとするのならば、彼の父親が生きていた時に懇意にしていた鍛冶屋の関係者か、もしくはクロスロードに滞在していた時の関連か、それか盗賊団を壊滅させた時に保護した人質の女性達の関係者、位のモノだろうか?



 だが、あの鍛冶屋にいたドワーフは親方一人きりであったし、確実にこのドワーフとは異なる。同様に、クロスロードであったとしてもそこまで多くのドワーフを目撃した覚えは無いし、保護した女性の中にもドワーフ族の者は居なかったハズだ。()()()()()()()()()()に付いても同様で、少なくともあの場には一目で『ドワーフ族だ』と分かる様な人もモノも無かったと断言出来る。



 …………ならば、一体何処で……?



 と、そこまで思考を回しながらそのドワーフの事を見詰めていると、不意にその隣にエルフ族の姿を幻視するシェイド。


 何故、ドワーフと根本的に仲の悪いエルフ族の姿を……?と幻視した本人でもあるシェイドが不思議に思っていると、ドワーフとエルフが同時に居り、かつそこに自分が関わっている、と言う場面に一度だけ遭遇した事が在った、と言う事に思い当たる。




「………………もしかして、バザールの?

 一月前位に、アルカンシェル王国のカートゥで開かれていたバザールに参加してた、エルフ族と怒鳴り合いになってた、あの職人のドワーフか!?」



「お、思い出して貰えたか?

 そうそう、そのドワーフだよ。久し振り、って言う様な間柄でも無いかも知れないが、取り敢えずは『久し振り』と言わせて貰おうか」



「………………誰?シェイド君の知り合い?」



「…………一応は?

 以前、開かれたバザールを覗きに行ったんだが、そこでエルフと装備の方向性で怒鳴り合いをしていてな。そこに巻き込まれたんだよ」



「おう!あの時は済まなかったな!

 ……まぁ、とは言え?俺の作品も、あいつのポンコツも、等しくあんたが魔力を流しただけで灰にされちまったお陰で、勝負は流れる事になったけどな!」



「………………あぁ、もしかして、シェイド君に審査員でも頼んじゃった?

 使い手として、優れていると感じるのはどっちか~、みたいなノリで?」



「その通りだよチクショウ!アレは、俺の自信作だったのに!!

 …………で、あんた何でこんな処でそんな事してるんだ?端から見てると、まるっきり不審者にしか見えないんだが?」



「…………おう、実は、理想と現実の差を痛感させられてな……」




 理由を問われたシェイドは、カクカクシカジカと再会を果たしたドワーフへと、こうして項垂れていた事情を説明して行く。



 時折、サタニシスによって横から追加で注釈が入ったりもしたが、概ねの事は過不足無く伝えられて行く。




「…………ふぅむ?で、つまりはアレか?

 得物を求めて来たは良いものの、持ってきた素材が特殊なモノ過ぎたせいで結局依頼する先に心当たりも伝も無いから、途方に暮れて項垂れていた、と?

 なぁ、あんた。実は、とんでもなく頭悪いんじゃないのか?」



「…………現状、否定できる要素が無いのが辛い……」



「……しかし、オリハルコンに世界樹に百年竜の魔石ねぇ……まぁ、俺の処の親方だったら、多分ヤれるとは思うんだが、どうする?紹介だけはしてやろうか?」



「「え!?」」




 偶然にも、言葉が重なるシェイドとサタニシス。


 しかし、そこに込められた言葉の意味は、ほぼ真逆だと言っても良いだろう。



 何せ、シェイドとしては



『え!?本当に良いのか!?』



 と言う純粋な驚愕と歓喜によるモノであったが、サタニシスのソレは



『え!?その親方って、本当にオリハルコンやら世界樹やらの素材をちゃんと加工出来るだけの腕前なの?』



 と言う疑念が大きく前に出てしまっていたからだ。



 彼らの事情を知らない者からしてみれば、ただ単に同行者の装備について心配している風か、もしくは恋人かパートナーが騙されて中途半端なモノを掴まされる事にならないか、と心配している様に見える事だろう。


 …………だが、その実態としては魔族側からの監視者として送り込まれた存在でも在る。シェイドが胸襟を開きつつあり、彼女本人も彼へと心を許しつつ在る状況に在るとしても、やはり彼女は魔王軍に所属する存在なのだ。監視対象の戦力変化には敏感になるし、予想敵国の技術水準はやはり気になる項目なのだろう。



 とは言え、ソレを知るのはこの場ではシェイドしかおらず、親切にも声を掛けてくれていたドワーフからすればそんな事は預かり知らない事でも在った為に、特に気を悪くする様子も無いままに口を開く。




「まぁ、突然そんな事言われても信じられないかも知れないが、嘘は言っちゃいないぞ?

 確かに、俺の腕は大した事は無い。それは、認めるさ。

 何せ、俺にとっての傑作は、例え素材が只の鉄でしか無かったとしても、あんたの込めた魔力には耐えられなかった。そいつは敢然たる事実、ってヤツさ。

 だが、俺の親方なら、あの『名工(マスタースミス)』の称号を持ってる親方なら、例え素材が只の鉄でしか無かったとしても、あんたの魔力を込めたとしても、早々簡単に灰にされたりなんかはしなくなるハズさ!」



「………へぇ?そんなに、凄いものが打てるんだ?その人は」



「おう!ここら辺じゃ、親方の名前である『ギルレイン』を出して知らないヤツは居ない、って程だからな!

 …………まぁ、俺の名前である『ゾンターク』を出したとしても、大体が『ギルレインの弟子の一人』って程度でしか無いけどな」



「まぁ、そのギルレイン親方がやってくれるんだったら、その辺は割りとどうでも良いよ。俺としては」



「………………ど、どうでも良いって、あんた……」




 煽る様な物言いをするサタニシスに乗せられる形で胸を張りながら例の親方について語ったドワーフ改めゾンタークであったが、その辺はどうでも良い。引き受けてくれるのならばどうでも良い、と言う言葉に、唖然としながら肩を落とす事となってしまう。



 が、取り敢えずは工房に対する客である、と言う事がほぼ確定しているからか、直ぐに気持ちを持ち直すと、案内する前に、との前置きをしてから彼へと向けて確認の為に口を開く。




「取り敢えず、ギルレイン親方に製作を頼むとして、これだけは承知しておいてくれよ?

 あんたが魔力の扱いに長けていて、持ち込みの素材にも『世界樹』なんてモノが混じってる以上は、魔術の発動体としての機能も期待してるんだろうけど、俺達はあくまでもドワーフ、鉄叩きだ。エルフの連中が作るヤツ程、繊細な魔力操作を補助してくれる様なモノが出来るとは限らない、とだけ承知しておいてくれよ?」



「…………『名工(マスタースミス)』が造っても、か?」



「だから、だよ。

 親方が造るヤツだからそこまでの性能を乗せる事も不可能じゃ無いだろうけど、普通はそんなの無理だからな?

 他の処じゃ、『世界樹』を組み込んだとしても、精々が得物に魔力を通し易くなる程度にしか出来やしないだろうさ」



「…………ふぅん?そんなモノかね?」



「そう言うモノなんだよ!

 それと、それだけの腕の持ち主である親方に依頼するんだから、それなり以上の値段がする事になるが、あんたちゃんとその辺は考えてあるんだよな?幾ら俺の知り合いだ、って言っても、そこまで派手には値引きしてはやれないぞ?」



「あぁ、その辺は心配無用だ。

 アルカンシェル王国の共通通貨で良ければ、大体白金貨百枚は準備してあるからな」



「………………お、おう……。

 そ、素材の持ち込みはしてくれるみたいだから、よっぽど変な素材が足りなかった、って事で無い限りは、そんなに掛かりゃしないハズだから、あんまり大っぴらにそんな金額口にするなよ?

 余計な面倒事を呼び込む事になったら、俺じゃあ面倒見切れないからな?」




 彼が提示した金額の桁に、思わずドン引きしながら答えたゾンタークは、もしかしてヤバイヤツと知り合ってしまったか……?と若干の後悔を抱きながら、彼らを自身が所属する工房へと案内して行くのであった……。




はい、と言う訳で正解は『バザールの時にエルフと口論していたドワーフ』でした!


覚えていた人っていましたかね?

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― 新着の感想 ―
[良い点] よかった、ちゃんと思い出しましたな。 良縁で名工を紹介されてウッキウキですな! [気になる点] 合作とかはしないのですかな…? ドワーフ作のオリハルコンの刀身や、エルフ作の世界樹の枝の柄な…
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