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反逆無双の重力使い~『無能』と呼ばれて蔑まれた少年は、封じられた力を取り戻して『反逆者』へと至る~  作者: 久遠
四章・自由を手にした反逆者は得物を求めて国を渡る

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反逆者は監視者と共にギルドを目指す

 


 無事(?)アルカンシェル王国からクロスロード国へと足を踏み入れたシェイドとサタニシスだったが、当然の様に代わり映えする事も無く街道を移動し続けていた。



 一応、国境の関所が在る場所、と言う事もあってか、諸々の所用を満たすだけの規模を持った村モドキが間近に設えられてはいたのだが、未だに時刻は昼を少し過ぎた程度であり、かつ食糧の類いも互いに余裕が在った為に、ソコで足を止めて暖かい食事や柔らかな寝床を……と言う事にはならなかったので、そのまま通過して移動を続ける事になったのだ。



 ついでに言えば、移動手段は揃って徒歩だ。


 コレは、互いに単独であればもっと楽で速度も出せる移動手段を確保してはいるものの、互いにパートナーが居る状態でソレを使う訳にも行かず、かと言って互いを置き去りをする事を良しとはしていない為に、こうして普通に歩いている、と言う訳なのだ。



 もっとも、シェイドの方は、常に身体から溢れ出す魔力によって意図的に身体能力強化を使用せずとも強化されている様な状況に在るし、サタニシスはサタニシスで、種族柄人族とはかけ離れた身体能力を保持している為に、見た目の通りに可憐で非力なお嬢様、と言う訳では無いので、とても徒歩で移動しているとは思えない程の速度による移動を可能としているのだが。



 そうして歩いている(二人の主観ではそうだが周囲からは全力疾走に見えている)と、不意にシェイドに対して隣のサタニシスから声が掛けられる。




「…………処で、こうして移動しているけど、どうするの?

 直ぐに、目的地のレオルクスまで抜けるのかしら?

 でも、ソレにしてはちょっと方向が違う様な気もするのだけど?」



「まぁ、そう出来るのなら、俺もそうしたい処なんだが、な……」



「……?『そう出来るのなら』?

 じゃあ、レオルクスに直行出来ない事情が在る、って事なの?」



「……あぁ、そう言う事だ」




 羅針盤を取り出して向かっている方角を確認していたサタニシスは、レオルクスに対して直行する為にクロスロードを横断するつもりであれば、今向かっている方向では少しずれている事に気が付いたらしく、シェイドに向かって質問を投げ掛けて来たのだ。


 ソレに対してシェイドは、さも面倒臭い事情が在る、と言わんばかりに顔をしかめつつ、彼女から寄せられた質問に答えて行く。




「…………とは言っても、多分お前さんだけなら、普通に無視して行ける様な事情の類いだと思うぞ?

 仮にもとは言え、お前さんが持ってるソレはこのクロスロード国の国民証明書なんだから、俺がやろうとしている事は多分必要にはならないハズだが、それでも聞いて同行するつもりなのか?」



「当然!

 だって、そうでなきゃ監視役の意味が無いじゃんね!

 ソレに、お姉さんは君の事を個人的にも気に入って来ちゃってるから、お姉さんにとっては少し遠回りになったとしても、気にしないで着いて行くから教えてくれないかな?ね?」



「………………まぁ、良いか。

 さっき、俺が使ってる身分証は見せただろう?」



「アレ?冒険者ギルドの、ギルドカードだよね?

 それが、どうかしたの?」




 その言葉に応じる形で、懐から一枚の銅の様な色をしたカードを取り出すシェイド。



 外見の通りに金属質な触感と重量とを伝えて来るそのカードには、彼の名前である『シェイド・オルテンベルク』の文字と共に、出身地と階級、主なポジションが刻み込まれている。



 渡されるままにソレを不思議そうな視線と共に弄り回していたサタニシスであったが、だからどうした?と言わんばかりの問い掛ける視線と共に、手にしていたギルドカードをシェイドへと返還して行く。




「…………見ての通り、さっき馬鹿にされた通りに、俺はまだ低級冒険者な訳なんだ。

 そして、低級冒険者のままだと、俺はレオルクスまで抜ける事が出来ないんだよ」



「………………へ?何で??

 ソレさえ在れば、身分証としては十分に使えるハズでしょう?」



「本来なら、な。

 ただ、ギルドカードで身分保証する場合、低級冒険者だと出身地の隣の国までしか、国境を一つ越える事までしか使えないんだよ」



「………………いや、何でそんな、面倒臭い仕組みになってるのよ、ソレ?昔は、そんなの無かったと思うんだけど……?」




 呆れた様な、理解不能なモノを耳にした、と言わんばかりの様子を見せるサタニシスに対し、苦笑を溢しながら説明を続けるシェイド。




「そう言う仕組みになってるんだよ。

 まぁ、なら『低級は国外への身分保証は無し!』ってしても良かったんだろうけど、そうすると低級冒険者が長期・長距離の護衛依頼だとかを受けられ無くなる場合が出るからな。

 それと、身分証としての機能目当てで登録する、ってパターンも無いじゃあ無いし、そうした場合でもカードを発行する際の手数料はギルドに入るから、やっぱりそう言う小金稼ぎが出来なくなるのは困るんじゃ無いのかね?」



「…………ふぅ~ん?人族って、面倒な事ばかり考え付くのね。

 私達魔族の方が、よっぽど簡単な仕組みで動いているし、余程生き易いと思うんだけどね~」



「まぁ、そう言うモノだと思って諦めろ。

 それで、俺が何処を目指しているのか?だけど、取り敢えずこのクロスロードの首都に在るクロスロード本支部に行って、ソコで昇格試験を受ける予定だ。中級まで上げておけば、移動制限は無くなるからな」



「へぇ?そうなんだ?

 ……でも、その試験って『今受けたい!』って言って『じゃあやりましょう!』って事になったり出来るモノなの?

 そう言うのって、ある程度の人数を纏めて試験して~、って感じにするのが普通じゃない?少なくとも、私のイメージとしてはそんな感じになってるんだけど?」



「そう言う、定期的な昇格試験もやってはいるけど、一応規約や建前として、ある程度以上の大きさの支部であれば、本人の意思さえ在れば試験は何時でも受けられるって事にはなってるからな。

 合格出来る自信さえ在れば、受けるのは何時でも構わないんだよ。一応ね」



「………………へぇ?ふ~ん?ほ~ん??」




 なにやら奇声を挙げながらも、その表情をニマニマとしたモノへと変化させて行くサタニシス。


 そんな彼女の表情に対し、ソレまでの女性と接した際の経験則から碌でも無い事を考えているな?と推測を立てるシェイドであったが、同時にソレを口に出す事で自身へと降り掛かるであろう災厄を予期した為に、敢えて口にする事無く街道を進んで行く。



 関所を抜けた当日を含む数日間を移動に費やして行く二人。


 急いではいないとは言え、だからと言って宿場町の類いに差し掛かる度に足を止める程時間が有り余っている訳でも無いシェイドと、本来であれば人類の敵対種族であり、かつ何かあった際に正体がバレる可能性を低くしておきたいサタニシスが素直に宿に泊まるハズも無く、基本的に街道沿いの空き地で野宿を続ける日々を送って行く。



 ある程度打ち解けているし、向こうからの敵意の類いも感じないとは言え、流石に出会って間もない相手(しかも異性)と隣り合って寝る、なんて言う事を、必要に駆られた訳でも無いのに行えるハズも無く、夕食等に使用する竈はともかくとしても、互いに寝る時の寝床はそれぞれで結界を張った上で使用している為に、互いに夜這いの類いをされたりだとか、寝ている間に暗殺されたり、と言った類いの心配を、付近に出現する有象無象の魔物と共に閉め出して防いでくれていた。



 かつての幼馴染み達よりは余程親しみ易く、接する事に対してもストレスの類いを感じずに済んでいる為に彼にとっては非常に有難い事なのだが、やはり相手は異種族にして彼を監視する役割を帯びた存在なのだ。


 流石に、同じテントで寝起きをし、同じ食器を使って共に食事を楽しむ、と言った様な間柄になれるかは未だ分からないし、なれるとしてももっと時間が経ってからの話しになる事だろう。少なくとも、今すぐにそうなる事は不可能に近いのだと、悲しいが彼の本能が告げていた。



 何せ、互いに文化も種族も異なる存在同士。


 どうしても、物の見方や扱い方、考え方にズレが生じてしまうのだから、長く行動を共にするつもりが在るのであれば最初にこそそれらのすり合わせを行いつつ、互いの考え方を理解する事に努める事こそが一番の近道となる、と言うモノなのだ。



 そんな試みのお陰か、互いに気まずい事になる事も、大きないさかいを起こす様な羽目に陥る事も無く、初日よりもより深く打ち解ける事に成功した二人は、目指していたクロスロード国の首都である『ウィアオドス』へと到着する。



 そこまで潔癖と言う訳では無いシェイドも、流石に十日も碌に身繕い出来ずにいれば色々と不快になってくるし、一応は異性であるサタニシスもここ数日は身を清める事を諦めざるを得ない行程となりながら隣に居た為に、互いに暗黙の了解として首都の門を潜り抜けると、まず何をするよりも先に手頃な宿へと向かい、部屋を取って(当然二部屋)から街に建てられている公共浴場へと向かって行く。



 念のため確認しておいた処、角が生えている事と瞳と髪が紫色をしている以外は人類とそう変わらない姿をしているらしい(変な紋様が刻まれている、触手の類いが生えている、腹に顔が着いている等々の奇怪な特徴は無いとの事)し、そもそも人類では魔族についての情報は只でさえ散失している事も在り、角さえ適当に言い繕えれば例え公衆の面前にて服を脱いだとしても、彼女の場合は特に問題は無いのだそうだ。



 そうして、シェイドは男湯にて同じく湯に浸かりに来たむくつけき漢衆から驚愕と羨望の視線を一身に集め、サタニシスも女湯にて嫉妬と憧憬の視線を一身に浴びた後、両者共に身を清め、旅の埃で汚れた衣服を取り替えてから合流し、共にギルドを目指して進んで行くのであった。




ちなみに、サタニシスは肌も綺麗でスタイル良いタイプの美人さんです

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― 新着の感想 ―
[良い点] シェイド氏は年上に弱いのですかな? 唯一繋がりを断たなかったナタリア氏もそうである上に、古巣のあのギルドマスター(実年齢は考えない!)からの向けられた感情に対しても狼狽していましたし…。 …
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