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反逆無双の重力使い~『無能』と呼ばれて蔑まれた少年は、封じられた力を取り戻して『反逆者』へと至る~  作者: 久遠
八章・反逆者は『精霊国』にて己の現状を知る

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反逆者と監視者は『百年竜』との死闘を制する《後》

 


 口腔へと、身体に巡らせている以上の魔力を集中させ、再び『白焔(はくえん)』を放たんとする『百年竜』。


 既に再生を終えて生え揃っている鋭い牙の隙間から零れ出ている焔により、オレンジから赤、青と色を変えて行く様が否応なしにソレを向けられているシェイドの視界へと飛び込んで来る。



 幾ら彼とは言え、先程放たれたソレを、最終的なモノと同等の威力にて直撃を受ければ骨も残さずに消滅させられる事となってしまうのは目に見えている為に、依然として自身の血にまみれながら、若干顔を引き吊らせつつもその光景を目の当たりにする事となる。


 …………そんな、確実に死が訪れるであろう状況下に於いて、自らの死が目に見えている状態に在りながらも、彼の表情には絶望の色は浮かんでおらず、寧ろ確殺を得た様な獰猛な肉食獣の笑みが口許に刻み込まれていた。



 そして、遂に『百年竜』の口腔内部にて増幅された白熱する吐息が、破滅的な威力を持った『白焔(はくえん)』として解放される、と言う正にその時。




「…………がっ、ぐっ…………るぅぉぉぉおおおおおおっ!!!」



『…………ナ、ナンダト……!?』




 まるで、獅子か猩々か、と言った趣の咆哮をその口から周囲へと響き渡らせたシェイドが、渾身の力を以てしてそれまで自身の得物と拮抗していた『百年竜』の爪を、前足ごと押し返し始めて見せたのだ。


 ソレには、『百年竜』も思わず驚愕の言葉を溢す事となり、同時にそれまで感じた事の無い、一種の予感めいた『何か』が背筋を駆け降りて行くのが感じられる事となる。



 その上、寸前までは正に『死に体』であったハズのシェイドが、それまで全身から吹き出させていた出血もそのままに、拮抗から対抗へと移行した刃をそのまま突き立て、振り抜く事で鍔迫り合いをしていた爪だけでなく、その上の指まで斬り落として見せた。



 流石にその段に至っては、『百年竜』の方も驚愕の忘我に浸っている事は出来なかったらしく、痛みによって跳ね上がり掛けた前足を無理矢理抑え込むと、負傷もそのままに攻撃される事も厭わずシェイド目掛けて振り下ろす!



 …………元より、先程の体勢のままであったとしても、『白焔(はくえん)』を放つ予定であった『百年竜』。


 多少の負傷を受けようが、個々で確実にシェイドの方を仕留めておき、自身の周囲に展開されている厄介な【重力魔術(術式)】を解除してから、残るサタニシスを倒してお終いだ、と考えての組み立てであった。



 故に、元より前足には自傷によるダメージを覚悟していた為に、特に躊躇いを見せる事無く振るわれた刃を受けながら、ソレを気にせずに地面へと目掛けて振り下ろし、轟音を響かせると同時に口腔に蓄えていた『白焔(はくえん)』を解き放つ!




 ━━━━………………シュボッッッッッッッ!!!




 …………先の一撃では彼らの耳を叩くことの無かった音が、周囲へと再び響き渡って行く。


 空気の振動すらも遮断する『空間隔絶』を二重に展開していた為に二人は初めて耳にする形となったが、その気の抜ける様でありながら、思わず背筋が凍えるその音は、(さなが)ら『死神の足音』とでも呼んでも支障は無いであろう様にも思えていた。



 とは言え、その効果は絶大。


 瞬時に膨張した空気によって発生した衝撃波が周囲を薙ぎ払うと同時に、自身の前足ごとシェイドへと目掛けて直撃させて行く。



 初めこそ、『百年竜』の持つ自前の鱗が焔を弾き、火花を散らす事で本体へとダメージが行く事を防いでいた。


 …………しかし、そうして耐えられたのは本当に初めの頃だけであり、あっと言う間に張られた魔力による防壁も貫通し、鱗も焼け爛れて下の肉体迄もが炭へと変わって行く。



 耐え難い激痛が『百年竜』の脳髄を貫くが、それでも、まるで何かしらの強迫観念に迫られている様な鬼気迫る雰囲気にて、『白焔(はくえん)』を吐き出す事を止めずに継続する。


 …………既に、生物であれば疾うの昔に炭化し果てているハズであり、かつて前足であったモノも砕け、焔に晒され続けた地面は溶岩と化して沸騰しているが、それでも『百年竜』の背筋に走る違和感は消えてくれてはいなかった為に、止める事無く照射を続ける。



 暫くの間そうしていると、不意に照射されている中心地点から現れた漆黒の刃が飛来する『白焔(はくえん)』が真っ二つに分かたれる事となる。


 まるで逆流するかの様に『百年竜』へと迫ったその刃は、『白焔(はくえん)』の出力が途中で上昇した事により、一時はその勢いを弱めたものの、結局放たれた吐息の根元である口元迄の進行を許してしまい、そのまま顔面を大きく斬り裂かれる事となってしまう。



 ソレにより、激痛と衝撃とを由来とする絶叫を挙げる羽目になる『百年竜』であったが、ソレを切っ掛けとして溶岩の中から無傷の状態にて姿を顕にしたシェイドが、未だに展開し続けていた【黒球連弾】に対抗するべく行使していた魔力操作に乱れが生じ、防御が解ける事となる。


 そうなれば、当然の様に乱れ狂う重力波に晒される事となり、『百年竜』が忘我の境地から立ち直った時には既に、状況は覆し様の無い程にまで傾いてしまっていた。




『…………ゴルルルルッ!?!?

 オノレ、オノレオノレオノレェ…………ッ!!!』




 下方向に急遽多大な影響を受けたからか血液が脳や眼球から無理矢理引き下げられ、視界や思考力が奪われながらも周囲へと咆哮を轟かせ、手足や尻尾を振り回しつつ魔術をばら蒔いて『百年竜』が暴れ回って行く。


 しかし、視界も遮られ、その上で思考力も低下している事も重なり、その照準は本当の意味で出鱈目なモノとなっており、大半が標的へと向かう事無く明後日の方向へと射出されて行き、残りもその殆どは回避する必要性すらも無い様なモノへと成り下がっている。



 更に言えば、自らの自爆攻撃によって片方の前足を喪ったままであり、かつ周囲の状況を知り得る手段が無くなった、と思考力の低下も相まって勘違いも起こしてしまっており、二人を近付けない様に、とその長大な手足や尻尾を矢鱈滅多に振り回すのが精一杯となっていた。



 そんな『百年竜』に対して、着実に、かつ迅速に距離を詰めて行くシェイドとサタニシス。


 二人程の技量が在れば、明確に自身に対して意識が向いており、かつ下手に踏み込めば何時でも迎撃される、と言う心配事が無くなった上で力任せに暴れまわるだけしか出来ていない相手に対して、攻撃を貰わない様にしながら懐へと潜り込んで行く、だなんて事はそこまで難しい事では無い為に、まるで暴風域に在るかの様な惨状を晒す空間を身一つで駆け抜けて行く。



 片やシェイドは、先程『百年竜』に向けて反撃を繰り出した時には既に貯蓄魔力の解放を行っており、身体能力は当然として副次的な効果にて飛躍的に向上した回復能力にて、少し前に受けた負傷を完全に回復させつつ造血も行って万全の状態へと立ち直りながら。


 片やサタニシスは、恐らくはこうなるのだろう、と言うシェイドの予想によって出された指示に従い、今の今まで高めていた魔力を解放しつつ、彼も見たことの無い形式と複雑さを兼ね揃えた巨大な術式を展開しつつ、その発動を待機させた状態にて、それぞれ『百年竜』へと向けて突っ込んで行く。




「ニース!そろそろヤるぞ!

 タイミング合わせろ!!」



「了解したよ!

 お姉さんに、任せなさい!!」




 シェイドから発せられた掛け声を合図として、この戦闘の詰めへと入って行く二人。


 得物を構えたシェイドが前へと飛び出しながら、とうとう『百年竜』へと肉薄すると同時に、それまで暖めていた術式を解放し、並みの術者では展開する事すら不可能な程に精密で巨大な魔法陣をサタニシスが展開し発動させる!




「おら、もう一丁喰らっとけ!

【黒重裂刀】!!」



「恨みは無いけど、コレで終わって!

『コラプス』!!」




 ゼロ距離まで潜り込んだシェイドが、限界まで腰を捻って繰り出した大振りの一撃と共に、瞬時に練り上げた【重力魔術】によって生成した、荒れ狂う重力場により光すらも呑み込まれ、逆説的に『黒に『何か』が在る様に見える』モノにて拡張した刃を振るい、『百年竜』の身体へと目掛けて斬り付ける。



 それと時を同じくしてサタニシスが発動させた魔法が、『百年竜』の体内へと強引に干渉し、その体内へと強制的に()()()()()()を生成して行く。


 自らの臓腑が無理矢理に歪められる感覚に、咄嗟に『百年竜』も魔力を高める事で抵抗しようと試みるが、まるで洪水に押し流される小枝の様に抗う事すらさせて貰えずに押しきられ、無視できない程の大きさの『虚空』を体内へと植え込まれてしまい、不自然に腹部が膨らむ事となる。



 そして、生成された直後に、ソレが生成された事で周囲へと押し退けられていた『元々ソコに在ったモノ』を巻き込んで虚空が崩壊し、文字通りに周囲の空間を()()()()()()()()



『空間隔絶』と同様に、その扱いの難しさと必要魔力量の多さから『魔術』としての編纂を()()()()()()()の一つである『崩壊』を受け、重要臓器の大半を一撃で奪われる事となってしまった『百年竜』。


 見えないながらもシェイドの接近を察知しており、ソレを迎撃するべく前足を掲げようとしていたのだが、体内より発生した致命的な激痛と共に否応なしに溢れて来る血反吐によって強制的に動きを止められてしまい、無防備な状態にてその身へと彼が振りかぶった漆黒の刃を受ける羽目になってしまう。



 物理的な防御力を無いモノとして扱う、概念としての『力の刃』。


 隔てられた空間にすらも作用し、存在しない虚無すらその支配下に置く絶対の力の具現である刃により、魔力による鎧も、全身を覆う鱗も、強固な筋肉も骨も関係無く、果てには気高き『魂』ですらその巨体と共に両断され、断末魔の叫びを挙げる事すら出来ずに『百年竜』は絶命へと至る事となるのであった……。




これにて対『百年竜』戦終了


次回エピローグ的な話を挟み、その次に閑話を入れてこの章は終わりになる予定です


その次は短めになる予定ですが、皆さんお待ちかねの『進展回』となる……ハズ!多分!(おい?)

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