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反逆無双の重力使い~『無能』と呼ばれて蔑まれた少年は、封じられた力を取り戻して『反逆者』へと至る~  作者: 久遠
一章・虐げられた少年は反逆者へと至る

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反逆者は成果と共に凱旋し、まず手近な復讐へと手を伸ばす

 



「…………さて、取り敢えず俺の事を殺そうとしてくれやがったからぶち殺してやったが、これからどうするかね……」




 自らが両断したキマイラの前で、そう呟きながら腕を組むシェイド。


 その視線は、目の前に横たわるキマイラの死体(戦利品)をどう扱ったモノだろうか、と思案している事を雄弁に語っていた。



 取り敢えず、倒した以上は持ち帰って換金するのは確定としても、この巨体をどうやって運搬するのか?そもそも、今居る場所は何処なのか?置いて行ったら横取りされる羽目になりはしないのか?等の心配と疑念が残る為に、こうして彼は頭を悩ませている、と言う訳なのだ。




「…………まぁ、心配してもなるようにしかならんか。

 取り敢えず、持ち帰るのは確定としても、先ずはこっちの対処をしないと、なっ……!」



 ゴキャリッ…………!!



「…………ぐっ、ぐぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおっ……!?!?」




 優先順位を決めたらしい彼は、そう呟いてから一つ頷くと、未だに変な方向を向いたままとなっていた足へと無造作に手を掛けると、そのまま流れる様に鈍い音を立てながら足を捻り、苦鳴を漏らしながらも元々在った正しい位置に来る様に調整して行く。



 何故、そんな狂気の沙汰とでも呼ぶべき行動に出ているのか?


 ……それは、彼が得た大量の魔力に原因が在る。



 彼はこれまで、封印の隙間から漏れ出て来ていた『極僅かな魔力』(彼にとっては、である)によって、負傷を治療したりして来た。


 故に、彼にとっては少量の魔力で効率的に怪我を治療する、と言う事は当たり前の行為であり、かつ長くソレを続けて来てしまった結果として、身体に『そうする事』が当然の行動だと言う風に染み付いてしまっているのだ。


 なので、現在手にしている様な、膨大な魔力を無意識に効率的に運用して治癒させてしまうと、現在の形のままで治ってしまう、と言う事も考えられた為に、急いで形を元に戻していた、と言う事なのだ。



 だが、それも強ち悪い事ばかり、とも言えない。


 何せ、彼にとっては怪我が素早く、かつ消費も少なく治るのならば、それに越した事はない。それに、そもそも闇属性である彼には、属性の相性的に怪我を治療する事の出来る汎用魔術を行使する事が出来ない為に、治ってくれるのであれば万々歳、と言った処であったりもする。



 そして、未だに彼が把握出来ていない事柄なのだが、実は彼が人の域を遥かに超える程の魔力量を得た事により、これまで無属性魔術として行えていた『止血』『修復』に加えて、これまでは行う事が出来ずにいた『造血』が可能となり、継戦能力が飛躍的に上昇する事になっただけでなく、それ専用の固有魔術である『再生魔術』でないと不可能と言われていた『欠損部分の再生』まで可能となっている……可能性が在るのだ。


 もっとも、術者本人であるシェイドがそれに気が付き、その上で実際に試してみない事には可能なのか不可能なままなのかすらも不明だし、そもそも試すかどうかもすらも不明なのだが、それはまた別のお話、と言うヤツである。



 そんな訳で、手早く足を元に戻したシェイドは、暫くの間痛みを堪えるべくその場で踞っていたが、魔力を集中させる事で無理矢理高速で治したらしく、こんどは痛がる様に素振りも見せず、自重を魔術で誤魔化す様な事もせずに両の足で地面を踏んで立ち上がって見せる。




「…………うん、我ながら引く程の回復力だな。

 結構深く抉られたハズの肩も、もう傷口が塞がってるを通り越して治ってるみたいだし、これってかなり異常じゃねぇか?

 ……まぁ、治ってたとしても、今までの借りと、さっきのこいつ()の借りはキッチリと取立てさせて貰うけど、なぁ……?」




 聞いているだけで憎悪と赫怒が滴り落ちて来そうな呟きを溢すと、真っ二つにしたキマイラの死体へと歩み寄り、その身体を重力魔術の力にてフワリと浮き上がらせると、大体の見当を付けて森の中を突き進んで行く。



 以前からして何度も訪れた場所であり、かつ身体能力が以前とは比較にならない為に、幾ら浮かせているとは言え、無駄に大きくて移動の邪魔にしかならないお荷物(死体)を引き連れた状態であったとしても、比較的速やかに移動する事を可能としていた。



 その為、そう時間を掛けずに比較的見覚えの在る浅い部分へと到達する事に成功し、木々の梢から漏れ差してくる陽光に思わず口許を綻ばせるシェイド。



 ……しかし、彼のそんな上機嫌さも、森の出口に近付いて人の気配が強く感じられる様になってきた段階にて徐々に薄れだし、森から抜ける時には既に周囲へと振り撒くのは殺気と憎悪と赫怒に変わってしまっていた。




「…………お、おい、アレ……!?」「おい、ウソだろ……?」「何で、あの『無能』が生きてられるんだよ……!?」「……てか、なんか雰囲気変わってねぇか……?」「……え?ちょっ……あの、背後のアレって……!?」「ウソ、だろ……!?」「…………あいつが、倒したって言うのかよ……!?」




 彼が森から姿を現すと、集合場所として指定されていた広場にそれぞれで座り込んでいたガイフィールド学校の生徒達が、それまで疲労やその他の理由にて俯けていた視線を上げ、彼の姿を視認すると同時に口々に驚愕に満ちた言葉を発し始める。


 その中には彼の事を虐げていた者も多量に含まれており、今になって漸く『自分がやり返される事になる』と言う可能性に考えが及んだらしく、恐怖によって顔を引き吊らせていた。



 …………が、当の本人であるシェイドは、そんな背景達(モブ)には目もくれる事は無く、とある一点に視線を固定してしまっていた。



 その先には…………




「…………なん、で……何で、ですか……貴方が、貴方が一緒に居て、なんで……!」



「そうよ!何で……会長が一緒にいて、アンタが無事に戻ってきて、アイツが死ぬ様な事態になったのよ!!」



「…………済まない。

 だが、聞いて欲しい。

 彼は、自ら奥地に踏み込み、その結果あの怪物を起こしてしまった責任を取る、と言って、()()()()()()()()()()()んだ。俺に、君達を頼む、と言い残して、ね……。

 その最後を見届け、かつ君達を託された俺には、君達に罵られる義務が在るけど、君達の悲しみを拭い去らなきゃならない事も、義務として持っているんだ……」



「…………だからと言って……このタイミングで、私達二人を……口説こうとする、貴方の……何を信じろと言うのですか……!?」



「私達の幼馴染みが死んだって言うこのタイミングで、しかも私達二人同時にだなんて、頭可笑しいんじゃないの!?

 少しは、私達の気持ちも、考えなさいよ……!!」



「……だとしても、俺は君達を幸せにする義務が在る。

 ……だから、狡くて空気の読めてない男が、君達の心の隙間に漬け込んだだけだ、と今は思ってくれて良い。だから、俺を受け入れてくれ。死んだ、彼の為に……」



「…………クラウン、さん……」



「……会長……」




 ……と言った具合の寸劇を繰り広げる、今まで彼を虐げていた中心人物であり、かつあの場所に置き去りにしてくれた張本人であるクラウンが、彼の幼馴染みであるにも関わらず彼の話を一切信じようとしなかったナタリアとイザベラの二人の姿に口付けを落とそうとしている姿であった。




「…………なにが、俺に託された、だ……?なにが、俺が率先して残った、だ……?テメェが、囮として残してくれやがっただけじゃねぇか……!

 何、勝手な事だけ、抜かしてくれやがる!この、糞野郎が!!!」




 その姿を目の当たりにした瞬間に、急速に彼の中で赫怒が膨れ上がる。


 その勢いのままに、浮かせていたキマイラの死体を地面へと投げ落とすと、重力魔術を用いて自らに掛かっていた重力を軽減して宙へと浮き上がり、自らをクラウンの元へと引き寄せる力場を生成すると、叫びながら憎きクラウンの元へとかっ飛んで行く。




「…………え……?シェイド、君……?」



「ウソッ!?なんで……っ!?」



「…………はっ?なんで、あいつが…………グベッ!?!?!?」




 ドグシャッッッッッッッッ!!!




 そして、蹴りが炸裂する寸前に自らの質量を操作して増加させ、蹴りの威力を増大させつつ魔術として身体能力を強化し、()()()()()()()()()()()()()()位の心意気にて、無駄に整っているクラウンの顔面へと渾身の蹴りを叩き込む!



 その際に、何かが潰れた様な音がした気もするが、特に気にする事はせず、まともに受けて地面へと転がっているクラウンへと向けて追撃の蹴りを何度も何度も執拗に叩き込む。




 ゴッ!ガッ!ゴリッ!ベキッ!ガンっ!!



「……ギャッ!?ぎっ……!や、止めっ……!?ゲバゥ……ッ!!」




 何発か、人が人に対して与える打撃の音ではないモノも混じっていた様な気もするが、それに一切気を配る事をせず、最初の一撃を加えた時とは打って変わって無言のままに蹴撃を加え続けるシェイド。


 その姿を、クラウンに口説かれて落ちかけていた(シェイド視点)ナタリアとイザベラの二人は呆気に取られて眺めているしか出来なかったが、クラウンが悲鳴を挙げる事すら出来なくなった頃合いにて、クラウンと共に彼を置いて逃げ出した連中が、クラウンを助け出そうとしてシェイドへと襲い掛かって来る。




「……て、てめぇ、なにしやが(グシャッ!!)ゲヒェッ!?」「この野郎!?調子に乗ってんじゃ(ボキッ!!)ああああああっ!?!?!?」「おら、クラウンさんを離しやが(ブチュッ!!)はひょぉぉぉぉおおおっ!?」「…………ちょっ、まっ!?お、俺は、俺は関係無い(ミシミシッ、ビギャッ!!)がぁぁぁぁぁぁああああっ!?!?!?」




 が、その悉くは、そちらに視線を向ける事すらしていなかったシェイドの手により反撃を貰い、ある者は地面にてのたうち回り、ある者は腕をへし折られた。またある者は運悪く身体の一部を握り潰され、ある者は無関係を装おうとして一際手酷く身体を破壊されてしまい、揃って地面に沈む羽目になるのであった……。





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