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《信頼》なんて使えないって、濡れ衣を着せて追放したのはあんただろう?〜俺のおかげで強化されていたクズ勇者たちの転落を尻目に、助けた王女様と《信頼》を集めて真の勇者を目指します〜  作者: ふみきり
第一章 追放された俺と捨てられた王女

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第8話 ☆婚約破棄

 翌朝、エディタが朝食をとるべく、宿に併設された勇者パーティー専用の食堂に出向くと、マルツェルたちが集まって何やら話し込んでいた。


「はっは、みっともなく返り討ちに遭ったのかぁ。婚約者に魔法で殺されそうになるなんて、とんだ間抜けだなぁ、マルツェルよぉ」

「うるせえっ! ったく、とんだ失敗作を押しつけやがって、あの国王め。もっと素直で従順な奴をよこせって話なんだよ!」

「じゃあどうするじゃん? あの王女様を、またデニスみたいに謀って追い出す? で、代わりに新しい王族を送ってもらう? あれって楽しかったから、またやるなら私は歓迎じゃん!」


――なに、なに、何ですの? マルツェルだけではありませんわ。他の二人も、昨日とは何か違う……。


 様子がおかしかった。

 エディタは不安になり、食堂の入口に身を潜め、聞き耳を立てた。


 マルツェルはエディタを敵視しているように見える。一晩時間を稼いだが、どうやらまだ頭に血が上ったままのようだ。


 聞こえてくる物騒な話に、思わず拳をぎゅっと固める。


 昨日の夜の出来事は、明らかにマルツェルが悪い。間違った対応などしていないとエディタは信じている。

 だが、どうやらマルツェルにとっては違うようだ。


 いかにしてマルツェルたちに都合がいいようにエディタを排除しようかと、三人はあれこれと議論していた。


「おぉっと、話はここまでだなぁ。言うことを聞かないわがままなお姫様の、お出ましのようだぜぇ」


 ロベルトが食堂の入口へ振り返り、観葉植物の陰に隠れていたエディタを指さした。


 マルツェルは一瞬顔をゆがめたが、すぐにニヤニヤ笑いを浮かべ、エディタの元に歩み寄ってきた。


「つーわけで、あんた、今日限りで婚約破棄ね」

「えっ?」


 唐突なマルツェルの発言に、理解が追いつかない。


――婚約破棄? えっ? えっ?


「あんたがオレの寝込みを襲い、魔法で殺そうとしたって王家に報告することにした。婚約はこれ以上継続できないし、代わりの王族を婚約者候補として送ってこないと、魔族征伐のやる気も出ないぞーって、国王陛下に訴えるつもりさ」

「なっ!」


 まさか、昨夜の出来事だけでここまでの仕打ちをされるとは思っていなかった。

 お互いの認識がちょっとずれていただけで、時間をかけて話し合えば修復が可能なのではないかとの、淡い期待もあった。


 だが、マルツェルたちはエディタを排除するばかりでなく、王国へのゆすりともとれるような真似までするつもりのようだ。


――本当にこのような人が勇者でいいの? 父様、だまされているんじゃないですか?


 王国の行く末が不安になる。

 これでは、魔族を倒す前に国を内から食い散らかされるのではないか。


「ただなぁ、あんたの器量がいいのは間違いない。魔法の腕も確かだと、身をもって経験した」


 マルツェルたちは顔を見合わせ、笑っている。


――な、何?


 ぞわりと背筋が凍る。

 エディタはたまらず後ずさりした。


「だーかーらっ!」


 わざとエディタを驚かすかのように、マルツェルは大声を張り上げる。


「これが最後のチャンスだ。この所業を国に知らされたくなければ、オレを受け入れろ! 役に立て!」


 マルツェルは腰に下げた魔剣を抜き、切っ先を向けてきた。


 魔剣からすうっと伸びてきた魔力を伴う冷気が、エディタの顔にまとわりつく。


「役に立てば、あとは存分にかわいがってやるぞ」


 マルツェルたちの高笑いが、食堂に響き渡った。

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