表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

最強(怖)ママ友参上!

橘京花(たちばなきょうか)


彼女を一言で例えるなら『女傑』だろう。


学生時代に、夫である橘陽仁(たちばなはると)と出会い、意気投合(・・・・)して、大学卒業と共に結婚。

研究者肌の旦那の代わりに自社である橘工業の経営に携わり、当時町工場に毛が生えた程度の弱小企業を僅か10年で誰もが知る大企業へと急成長させた。

その後も、コンスタントに発表される新技術を元に各分野へと手を広げ、今では一部上場も目前と噂されている。


その全てを牛耳っているのだから、凄まじい。


本人曰く、「陽仁が思いつきで作り上げる理論を実践できるようにお膳立てしてたらこうなっただけ」との事だけど、そんな軽いものじゃ無いと思う……。


あ、ちなみに陽仁さんの専門はバイオ化学?っていうの?らしいけど、好奇心のままにいろいろな分野に手を出してるそうなので実際のところは私にはよく分からない。というか、説明されたけど多分10分の1も理解できなかった。

とりあえず、今は砂漠でも作れる植物の研究を主にしてるそうだ。


話を京花さんに戻そう。

性格は竹を割ったような……と言うか、素手で断ち割った挙句に火にくべてキャンプファイヤーした挙句その周りで高笑いすると言うか………。

身内には優しいんだよ。身内には………。

身内認定されたらされたで、別の苦労があったりもするんだけども………。

いやぁ、イロイロお世話になりましたよ?イロイロ……。


論理よりも自分の気持ち優先で、やりたい事のためなら骨身を惜しまず、手段も選ばない。

手が後ろに回るようなことだけはしてない!と胸を張っていたけれど、限りなく黒いグレイゾーンには足を突っ込んでるとおも……ゲフゲフ。


そして、本来なら雲の上の人なくらい生きるフィールドが違うはずの彼女と、自宅を訪ね会うような気安い関係になったかといえば、答えは簡単。「ママ友」である。


当時既に大企業と呼ばれるほどの会社の経営者一族になっていたにもかかわらず、なぜだか普通の保育園に預けられたのが、忘れた頃に出てきた三男の琉唯君で、意気投合した子供達の縁で、なんでか私まで仲良くなり、さらに気に入られてしまい、今に至る………。


と、いう、過去の徒然を思い出している目の前で、当の女傑様が大爆笑しております。

えぇ、現実逃避してましたが、何か?


だって、扉蹴破られそうになって慌てて扉を開けた私をみて、一瞬真顔になった後、無言で玄関の中に入って、次の瞬間から大爆笑だからね?

しかも、人を指差して、崩れ落ちて、地面叩いてと大暴れ。

そういえば、笑い上戸だったわ、この人。


もういいや。

放っておいてお茶でも入れよう。そうしよう。






「いやぁ、それにしても見事に縮んだもんねぇ」

アイスティーをグビリと飲んで、マジマジとコッチを見つめる京花様。

唇の端がまたヒクヒクしてるけど、もういいから。

本当に、何が笑いのツボだったのかがさっぱりだよ。


「琉唯が珍しく自分から連絡してきて、とにかく顔を見に行ってくれって言うから、何かと思ってたら、こんな楽しいことになってるんだもの。なんで教えてくれなかったのよ?」


なんと、琉唯君リークとは。

まさかそこから売られるとは思ってもみなかったわ……。ヒドイよ、琉唯君。

それはともかく。


「絶対ネタにしようとするから」

思わず、キッパリと言い切れば、心外だと言わんばかりに目をパチパチされたけど、騙されるもんか。

過去の実績が全て物語ってますから!


「いちおう、10日くらい様子見て、それでも変化がないようなら連絡しようとは思ってたんだよ?」

何しろ橘工業改め橘コーポレーションは製薬部門まで持ってますしね。

一般では知らない珍しい症例の情報も持ってるかもだし。


「遅い!いい?この手の訳わからない症状は初動が大切なのよ?悠長に構えてて、取り返しのつかない事にでもなったら、どうするつもりだったの?」


ピシリと叱られて息をのむ。

その表情に、先ほどまでの転げ回って笑っていた面影はどこにも…………いや、目の奥が笑ってるな?


「で、その心は?」

「こんな楽し珍しい事、仲間外れにしようとするなんて、ひどい!」

叱られて一瞬感動した私の心を返せ!


不満が思いっきり、顔に出てた模様。

ニヤリと綺麗に整えられた顔が歪んだ。

「私につく?それとも、陽仁と遊ぶ?」


うわぁ、オモチャになる(きょうかさん)か、実験体になる(はるとさん)か、究極の選択突きつけられてますよ?私。

どっちも嫌です、って言ってもいいかな?

ダメかな?やっぱり………。


取り敢えず、命の危機(はるとさん)は避けよう。

あの人は、たまに振り切れるからマジで危ない。マッドななんかなので、ヤバい。

いや、普段はおっとりとしたいい人なんだけどね……。たまに目の色変わるから。


「わぁい。オネエサマダイスキ」

いえ、現在の私の目も死んだような色してるとは思うけどね。アハハハ………。


そんな私の顔色など気にもとめず、京花様は走り出したのです。

自分の趣味(たのしみ)に向かって。


泣くもんか〜〜〜!!





読んでくださり、ありがとうございます。


さりげなくお気に入りです。

京花さん。

仕事的には非常に優秀な方なんですよ?ええ。たぶん……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ