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泣きたい夜もあるんです。

予約投稿、忘れてました(汗

焼肉はたいそう美味しゅうございました。

お値段もなかなかのものでした。

まぁ、たまにはいいさ〜〜。

お仕事は、こんな時のために頑張ってる!


あ、ビールはさすがに自重しましたとも。

そもそも、コーヒーも美味しく飲めなかった前例がある以上、ビールだって不味いに決まってるし。


泣きそう。


だって、楽しみにためた日本酒もワインもその他諸々も死蔵になるって事だよね。

ワインやウイスキーは保存きくとして日本酒は………。

血の涙流しながら、友に譲るか。

…………とりあえず一月は様子見よう。







おうちに帰り着いて、たわいのないやり取りの後、悠理が寝るために部屋に引っ込む。

しばらく、やる気なくパソコンに向かった後、そっとお風呂に入った。


浴室の鏡に映る裸の自分をまじまじとながめる。


頼りないほどに細い小さな体。


もう朧げな記憶の中にあるままに幼い子供の体に途方にくれる。


こんな小さな体で、どうやってこの日々を守っていけば良いんだろう。

元のままでも頼りなかったってのに。

息子よりも小さくか細くなったこの腕で、私は悠理を守ってあげれる?


湧き上がる不安に唇を噛みしめる。


頼りにしてた旦那が居なくなって、それでもどうにか立ち続けられたのは、大切な宝物がこの腕の中にあったから。

それなのに……。


1人になれば、押し込めて居た不安はどうしたって湧き上がってくる。

それを相談して分け合える存在は、今の所私には居なかった。


ポロリポロリと涙が溢れて、反射的にシャワーを全開にしてその下に入り込む。

打ちつけるお湯が、漏れる嗚咽も涙も全部流してくれるから。


幼い息子に見せれるわけもない。

不安にさせるだけと、分かっていたから。

息子の前では、道化を演じてでも笑っている強い母親であろう。

そう決めたあの日から、この場所だけが私が弱音をこぼせる場所になった。


今だけ。

ここでだけ。


明日にはきっと、いつものように笑ってみせるから。


温かい雨の中、溢れそうな嗚咽を必死で嚙み殺しながら、私は溢れる不安を水に流した。









微かに聞こえる水音に、眉をしかめた。




深夜に風呂場にこもる母さんの行動に気づいたのは、情けない事につい最近。

たまたま起きた時に、喉の渇きを覚えてキッチンに行ったのがキッカケだった。


微かに聞こえた水流に珍しいと感じて(母さんは勿体無いと小まめにシャワーを止めるんだ)、水を飲んでも止まないそれにもしかして倒れてるんじゃないかと不安になった。


だけど、勘違いなら恥ずかしいしと、そっと足を忍ばせてたどり着いた脱衣所で、俺は別の意味で固まることになる。


薄いアクリルの扉の向こう側。

水音に混じって微かに聞こえるのは、抑えきれない嗚咽だった。

聞いているだけで、胸が痛くなる程の、悲痛な声。


その日は、父親の命日だった。




元々、感情が豊かな母さんが、負の感情だけ見せなかったことに、もう少し早く気づいたって良かったんだ。

だけど、いつも笑顔の母さんに騙されて、思いつきもしなかった。

母さんが、泣くことがあるなんて。


でも……。


気づいたからって、どうする事も出来ない。

だって、母さんは隠したいって思ってるんだ。

俺に心配かけたくないって、そう思ってる。


唇を噛み締めた時、そっと肩に触れる手があった。


「琉唯……」

「ん………」

同じ気持ちで、耐えている存在があるってのは、ある意味救いだ。


頻繁にうちに泊まっていく琉唯が俺と同じように気づくのはきっと必然だった。

いや、聡いこいつの事だから、もしかしたら、俺より先に気づいて居たのかもしれない。


「不安、なんだろうね」

「そんなの、感じなくて良いのにな」


14ってそんなに子供じゃない。

だけど、親ってのはいつまでも子供は子供のままに感じるんだってさ。


「大人には大人の、プライドがあるんだよ」


自分に言い聞かすようにつぶやく琉唯の言葉に、ギュッと目を閉じながら、俺は少しでも早く母さんの悲しみが落ち着く事を祈った。





読んでくださり、ありがとうございました。

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