表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/20

夏といえば旅行でしょ①

「おめでとうございます〜〜。1等の国内旅行、大当たり〜〜!!」


カランカランとけたたましく振られる鐘の音に顔をしかめる悠理君。

色々必要な物を買ってたら期間限定の福引券が結構たまったから、何気なく引かせてみたんだけど。


「お兄ちゃん、すごいね〜,良かったね〜〜。家族で海に行っておいで〜〜」

ニコニコ笑顔のおばちゃんが、私の頭を撫でながら熨斗のついた封筒をくれる。

おそらく中には旅行券。

固まる私の手を引いて悠理がその場を離れる。

少し離れた場所で立ち止まって、私は悠理と顔を見合わせた。


「…………どうする?これ」






昔っから、悠理(むすこ)はやたらクジ運が良かった。

商店街の福引きや懸賞ハガキなど、当てたモノは数知れず。


だから、今回の旅行券(コレ)だって、その確率からいえば、そう珍しい事じゃない。

今までは、その恩恵をありがたく預かっていたんだから。


ただ、今回に限り、問題発生だ。


もらった物は2泊3日の近場のリゾートホテル宿泊券。

ホテル内には大きなプールあり、外にはプライベートビーチありのなかなか人気な物件だから、うちの近所の商店街にしては張り込んだ方だと思われる。


ちなみに特等は隣の国への旅行券だった。

そっちじゃなくて心底良かった。

この体じゃ、パスポートなんて無理すぎる。


いや、国内旅行も微妙なんだけどね。

何しろ我が家は母子家庭で、現在は見た目的には子子家庭なのである。

保護者不在でホテルって泊めてもらえるもの?


「大丈夫だろ、多分。4人までOKだし、琉唯も呼ぼうぜ」

悠理は簡単に言うけど。

せめてあんた達が高校生なら、だけどまだ14じゃん。

見た目的には高校生でも通りそうだけど、流石に無理じゃん。


かといって、折角の旅行券(ただ)

流してしまうのは勿体無い。


「京花さん達は忙しいから無理、だし………。まぁ、とりあえず声かけてみるか」


現在の私の状況を知る数少ない人たちの顔を思い浮かべると、自ずと道は決まってくるというもので。


「もしもし〜〜安達君?○○日から3日間、休み取れないかな〜〜?」






「お〜〜、部屋広い〜〜。なんか、ココに住めそうな気がする」

チェックインした部屋はリビングに寝室2つのスイートルームだった。

上階にあるから窓からの眺めも良いし。

まぁ、海辺のホテルなのに山しか見えないけどね!


「確かに、ミニキッチンまでついてるし、お風呂はジャグジーつきだし。凄いですね〜〜」

ここまで車で連れて来てくれた安達君も疲れ知らずのニコニコ顔だ。


「なんか、お金持ちキャラ書くときのネタにできそうですよね!チョット写真撮って良いですかね?!」

と、思ったら、まさかの仕事根性だった。

すごいね!プライベートでも仕事を忘れないその根性。社畜っぽいね!!


パシャパシャと写真を撮り始める安達君をよそ目に、琉唯君がお茶を入れてくれる。

うん。

車内がクーラー効いてたから、あったかいお茶が美味しい。


「おーい、まったりしてないで、プール行こうぜ。ウォータースライダー、色々試したい!」

と、姿が見えなかった悠理が寝室から顔を出した。

すでに水着着用だ。

いつの間に!


「若者は元気だね〜〜。ホテル内のプールなら先行ってて良いよ〜〜。パスと携帯はちゃんと持ってくんだよ〜〜?」

おばちゃんはもう少し部屋でまったりしてから行くよ。

ヒラヒラと手を振ると、ガシッと悠理に手を掴まれる。


「何行ってんだよ。体的には1番若者じゃん!ほら、早く着替えて」

「ええぇぇ〜〜。中身はアラフォーなんだよ。精神的にクタクタなんだよ〜〜。ホテル内なら子供だけでも大丈夫だって。なんなら安達君もつけるからさ〜〜」


引っ張られてイヤイヤと抵抗するも、ヒョイっと後ろから抱えられた。

「そんなこと言って、それ完全に部屋から出ないフラグじゃん!イイから、は・や・く!」

問答無用で使用予定の部屋に放り込まれた。

むぅ。ちっちゃくなった体が憎い。

ベッドの上にはご丁寧に水着までだしてあるし!


思わず、ふてくされながらベッドへダイブすれば素晴らしいスプリングが心地よく受け止めてくれる。

おお!コレは気持ちよく寝れそう……。


「あと5分経っても出てこなかったら、強制的に着替えさせるから!」

「ひい!」

ついついクタリと体から力を抜いたところを見計らったかのように、扉がノックされた。

息子のエスパーが怖すぎる件について!




さてさて、当然ですが。

突然縮んだ私が子供サイズの水着を持っているはずもなく、当然買いましたよ。

と、言いたいところですが、買ってません。

正確には買おうとしたところでプレゼントされました。

京花様から。


何故に。


「さて、どっちかな〜〜?」


ベッドの上にはワンピースタイプとビキニタイプの2種類。

ちなみにワンピースはピンク系のフリフリでホルターネック。甘ロリ?

ビキニは水色系三角ビキニのトップに下はショートパンツが付いてます。お子ちゃまのへそ出しに果たして需要はあるのか?!


ちなみに当然広がる大平原、というのは付け加えておこう。イカバラじゃないだけマシか?


悩んでる暇もないし、ま、どっちでもいいや。

なぜならさっきからカウントダウン、されてるからね!

親を脅すとは、何事だ!








読んでくださり、ありがとうございました。


駆け込み駆け込み。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ