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原因を調べましょう①

大変遅くなりました。

さて、現在私はとある研究所の応接間なるものにおります。


何をしているか、って?


橘陽仁様(マッドサイエンティスト)に面会に来てるんですよ。

昨日の京花さんとの話し合いで、私の体が縮んでしまった原因を探ってもらう事になって、急遽アポをとったんだ。京花さんが。

じゃないと、忙しい(であろう)陽仁さんが早々に会ってくれるわけないし。


陽仁さんにとって「研究=京花さん>その他」の価値観は昔っから変わらない。

京花さんは「今の葵ちゃんは研究のカテゴリーに入ると思うけど」って、恐ろしいこと呟かれたけど、聞こえない!ったら聞こえない!!


因みに、両隣には悠理と琉唯君がピッタリとくっついております。

かなり心強い。

1人だと、最悪帰してもらえない危険がヒシヒシと感じられたもんで……。


いや、だって私の現状って、ある意味研究者なんて人種からしたら滅多にないサンプルというか、実験材料というか。


信じてる。

信じてますよ?

陽仁さんとだって短くはない付き合いだし、命を取られるようなことにはならないって。


でも、死ななきゃいいってものでもないし?

人間としての尊厳って大事。

でも、目の色変わっちゃったら、何されるか予測つかないところがあるんだよな〜〜。


本当は、京花さんが付き添ってくれるはずだったんだけど、なんかどこかの部署で深刻なトラブルが起きたらしく急遽呼び出されちゃったんだよね……。

陽仁さんを制御できる唯一の人なのに。


神は無情だ。


まぁ、急遽悠理と琉唯君(ふたり)が来てくれることになったし、良いんだけど。

可愛い末っ子のお願いはきっと聞いてくれる……よね?


隠して、座り心地は良いんだけどなんとなく落ち着かない応接間のソファーの上に座って、大人しく待ってるんだけど。

おっそいなぁ〜〜、陽仁さん。


「待たせてごめんね、父さん、また実験に夢中になってるみたいで」

約束の時間を20分ほど過ぎたところで、琉唯君が痺れを切らして確認に動いたんだけど、直ぐに肩を落として帰って来た。


「いいよ〜〜。突然、予定を空けてもらったのコッチだしね」

気にしないように笑いかければ、ますます下がってしまう眉尻。う〜ん、見事にハの字。


「出直すか?」

出されてたコーヒーとケーキを遠慮なく消費してた悠理が首を傾げながら尋ねる。

ソレ、2個目だから。

もう一個食べるか真剣に悩むのやめて〜〜。

口の端にクリームついてるし!


「ゆう君、これあげるから大人しく。そして、クリームついてる」

私の前にある皿を押しやりながら、ついでにハンカチを押し付ける。


「あの〜〜、所長が動ける様になるまでもう少しかかるので、とりあえず採血と身長や体重なんかを先に測っとくようにとのことなのですが〜〜」

うまく拭けてなくて、嫌がる息子の口を拭いてやろうと(ハタから見たら)可愛らしい騒動を繰り広げていたら、扉の方から弱々しい声が響いた。


どうやら、研究所の職員らしい人が立っていた。

まぁ、陽仁さんじゃなくても出来ることはたくさんあるよね〜、と気楽に立ち上がれば、ピッタリとついてくる2人………。


「1人で大丈夫だよ?」

「や、大丈夫じゃないから。敵はどこにでもいるし」

「敵ってそんな、大げさな」

キッパリと首を横に振る悠理に呆れ顔を向けると、その横で琉唯君が同じ様に首を横に振っていた。

「あの人の城だから、ここ」

………信用ないね、陽仁さん。

でも、子供が言うとより説得力があるね。なんでだろう。

さらに、職員さんも遠い目をしてるんだけど。………なんでだろう。


「え……っと、よろしく?」

「ん」

「大丈夫です。何があっても僕が護ります」

ここまで言われるほどの、「なに」をしたんですかねぇ?陽仁さ〜〜ん??





知りたいような、知りたくないような。


複雑な気持ちのまま案内された先は、病院の診察室みたいな空間だった。


そこで前びらきの手術着みたいなものを渡されて、衝立の陰で着替える。

と、身長、体重、視力に聴力、血液検査ナドナド。

学校の身体測定っぽい物を受ける。

なんか、ちょっと懐かしい感じだね。


と、思ったら全身のMRI撮られた。

初体験だよ。ビックリ。

なんか動けないように全身拘束っぽくされたんだけど。

輪っかみたいなのにくぐるんだけど、なんかSFっぽくてテンション上がったのは秘密。

側から見てるのと、実際に自分が受けるのは大違いだった。良い体験だったし、何かに活かせたら良いなぁ〜〜。


なんて。


のんびり歩いてたら不意に背後より抱き上げられた。

職員さん忙しそうだし、MRIの検査室から悠理達が待ってる部屋まで直ぐだったから、1人で帰ってたんだよ。

こんな所で、危険もないだろうしって、軽く考えてたんだけど。

いやぁ、人間、驚きすぎると声が出ないんだね。

と、いうか固まっちゃったさ。まぁ、直ぐに立ち直りますよ?アラフォーの図太さをなめちゃいかん。


「お待たせ〜〜。本当にちっちゃくなってるんだねぇ。不思議〜〜」

さて、叫ぼうかと改めて息を吸い込んだ時に、非常に聞き覚えのある声がして、途端にプシューっと力が抜けた。


「陽仁さん、変質者っぽいです。いきなり背後から抱き上げるとか、完全にアウトですから」

肩を落として注告しつつ、首をひねって背後を仰ぎ見れば、案の定そこには笑顔の陽仁さんがいた。


「え〜〜?ひどいなぁ。これでも急いで来たんだよ?トラブった研究途中で放り投げるなんて、僕にしちゃ異例だよ?」

唇を尖らせて抗議されるけど、議論の場所はそこじゃないし。

は〜な〜し〜て〜〜。

ジタバタ暴れるも、以外に逞しい腕はビクともしない。


「や〜〜、ウチは男の子ばっかりだったから、女の子って新鮮。こんなだったかなぁ?骨格自体がなんか違うよね〜〜。華奢な感じ?」

そして、興味の対象が他所に飛んでるし!

骨を確認しているのか全身を触られる。

診察ちっくな触り方でイヤらしさとかはないけど、そこ、くすぐったいから!


「ちょっ!はるっ……とっ、さ……。くすぐったい!くすぐったい……からっ!」

子供の皮膚は薄いから、感覚も敏感なのか、いつもより、かなりくすぐったい。

さっきとは別の意味でジタバタ身悶えるも、逃げられないし。


半ば悲鳴のような声で笑いながらも暴れていると、不意にヒョイと抱きとられ、陽仁さんの後頭部にハリセンが翻った。

って、ハリセン?!


スッパァーン!!


良い音とともに、陽仁さんが頭を抱えて座り込む。

「いったぁ〜〜!今のでアイデアが2つくらい飛んでった!」

「変質者の考えるアイデアなんて知りたくもありませんから、大丈夫です」

叫ぶ陽仁さんを琉唯君が絶対零度の視線で見下ろす。


ちょっと、父親に向けて良い目じゃないかなぁ〜〜って思うんだけど、怖いから突っ込みません。

なんか気温まで下がってるような気までするし。

ブルブル。


「なんか声がすると思ったら、なに捕まってんの、母さん」

そして、呆れた顔をしないでくれるかな?悠理。

完全に不可抗力だから!

私のせいじゃないから!


「すみません、この変態とチョット話があるので、2人は先に部屋に戻っててくださいね?」

そして、ニッコリ笑う琉唯くんの目が怖いです。

目が笑ってないから!


「ちょっ!待って!置いてかないで」


悠理も怖かったのか速やかに踵を返してた。

背後から呼び止める声が聞こえるけど、ごめん、私は無力です〜〜。

ある意味自業自得なので、おとなしく説教受けてくださ〜〜い。





読んでくださり、ありがとうございました。

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