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おどり御張行の事其肆
左京は、尾張の国の半分は手に入れられたはずなのですが、河内(木曽川・長良川河口域)辺りは、荷之江の入道の服部友定が奪って、左京の手には入りませんでした。
智多郡(現在の愛知県知多郡)には今川軍が侵入し、残りの二郡についても、時は乱世、必ずしも左京に従っている訳ではないのです。
そんな訳で、いろいろな事が左京の思う通りにはなっていませんでした。
要するに人望がないせいだと思う地の文です。
「うるせえ!」
率直な意見を述べただけの地の文に切れる左京です。
「そうなんですか」
それにも関わらず、樹里は笑顔全開です。
「御方様」
そこへドロント一味が戻ってきました。
「シリーズが違うわよ!」
いよいよボケ始めたと思われる地の文にくノ一の一人の葵が切れました。
「如何した?」
何故か葵ではなく、配下の美咲に尋ねる左京です。
「勘十郎行京様、ご謀叛の兆しにございます」
美咲は苦笑いして告げました。左京はギョッとして樹里を見ました。




