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柴田権六中市場合戦の事其弐
今は亡き斯波義統の家臣であった由宇喜一は、まだ十七、八歳だったのですが、湯帷子のままで突撃し、織田三位の首級を挙げました。
左京は若い喜一を殊の外気に入り、絶賛しました。側室に迎えるつもりのようです。
「純粋に武勇を褒め称えたのだ!」
少年愛にはまりそうな左京は真実を追求する事に余念がない地の文に切れました。
元を正せば、義統が清洲の織田氏に逆らったのが始まりですが、主君を弑逆した因果は瞬く間に現れ、義統の死からわずか七日で首謀者達は討ち死にしました。
天道に背いた者達の悲惨な末路はこれから先の左京の宿命を暗示しています。
「不吉な事を申すな!」
未来が見えている地の文に怯えながら切れる左京です。
「そうなんですか」
正室の樹里は笑顔全開です。
(樹里様の膝枕は天にも昇るような心持ちになる)
左京は思いました。そのまま本当に天に昇ればいいのにと思う地の文です。
「うるさい!」
率直な物言いの地の文に切れる左京です。




