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武衛様御生害の事其弐
邸の裏口では、柘植宗花という者が打って出て斬りまくり、これも目を見張る大活躍でした。
しかし、邸を囲む屋根の上から弓衆が矢継ぎ早に矢を射ました。
そのあまりの数に守護の家来衆は抗し切れず、邸に火をかけました。
守護である斯波義統を始めとして、一門、家臣の皆数十人が腹を切って果てました。
侍女達は堀に飛び込み、泳ぎ切って助かった者もおりましたが、溺れて死んだ者もおりました。
非常に悲惨で某◯川◯二さんの怪談話になりそうだと思う地の文です。
川狩りの最中にその異変を知らされた嫡男の岩竜丸は湯帷子のままで、左京を頼って那古野まで逃げてきました。
左京は二百人扶持を給して天王坊に住まわせました。
尾張の守護は織田氏の主君でありますが、お飾りに過ぎず、実権は織田氏にあります。
その織田氏に無謀な反抗を企てたので、神仏の加護もなくむざむざと命を落としたのでした。
これからどうなるのかと思うと身がすくむ気がする地の文です。




