正義の鉄槌!
不良五人組がよくたむろしているゲームセンターへと向かった。案の定発見。それとなく目の前を歩く。
不良「おやおや~。誰かと思えば正義のヒーロー気取りだったへなちょこ君とお財布君じゃないですか。こんなとこ来て何してんの?目障りだから出てけよ。」
孝之『…どうする?何すれば良いんだ?』
旬『怒らせて喧嘩に持ち込んで正当防衛と行こう。』
不良達を無視してゲーム機の前に座る。ニコニコしながら二人でゲームを始めた。
不良「おい!人の話し聞いてたか?表出ろ。」
旬「はい。分かりました。」
ゲームセンターから出され裏路地へと連れて行かれた。こっちにとっても好都合だ。挨拶代わりに腹部を蹴られた。孝之もボコボコにされていた。
孝之『…痛いよ。いつまでやられりゃ良いんだよ。』
旬『じゃあそろそろ俺の出番だな。』
倒れながら、不良のリーダーの足に意識を集中させる。その時、バキバキっと鈍い音が鳴り不良のリーダーの両足の膝下辺りの骨折れ皮膚から突き出した。バランスを崩し地面に倒れ込む。
不良「うわぁぁぁ!痛い痛い…足がぁ。」
あまりの激痛にもだえ苦しみ泣き叫ぶ。周りの不良達は一体何が起きたのか全く理解出来ていなかった。不良の左端から順に骨を砕いて行く。グシャリ、バキバキ、聞き慣れない音が辺りに響く。さっきまで強気だった不良達が泣き叫び倒れている。この瞬間をどれ程待ち望んだ事か。起き上がりその場を立去ろうとする。
不良達「待ってくれ助けてくれよ。救急車よんでくれ。頼むよ。」
あれ程までに強気だった不良達が手の平を返したように懇願してくる。胸の中がスカッとした。だが悪党では無い為、救急車を呼ぶ事にした。叫び声を聞いた周りの通行人達が群がり始めた。
通行人「何?どうかしたのか?うわっひどいな!救急車呼ばないと。」
旬「もう呼んだんで大丈夫ですよ。」
平然としている旬と孝之に通行人は不思議そうにしていた。十分程で救急車と他の通行人が通報したのかパトカーも到着した。すぐに不良達は担架で運ばれ病院へと連れて行かれた。パトカーから警察が降りてきて現場検証を始め、俺と孝之は事情聴取を受けた。
警察「一体何があったのか説明してくれるかい?」
旬「僕達は彼らに暴行されてて倒れてたら急にあんな事になってよく分からないんです。」
それから数十分程質問攻めにあったが、知らぬ存ぜぬで通した。警察も仲間内の喧嘩と見て捜査を始め俺らは解放された。孝之の家に着いたが興奮が止まらなかった。病室で溜まっていたストレスが一気に吹き飛んだ。
旬「見たかよ。良い気味だよな。俺の怪我に比べれば可愛いもんだよな。」
孝之「少しやり過ぎたんじゃない?骨突き出てたぜ。でも泣いた顔は笑えたな。」
旬「だけどこれじゃあダメだな。」
孝之「何が?もう仕返しも済んだじゃん。」
旬「でも顔がわれたら、活動に支障をきたすし、そう何度も警察に見つかってたら怪しまれるからな。こんなんじゃ意味がない。」
悪を裁くにはそれ相応の覚悟と決意が必要であり、隠密で活動しなければ警察のやっかいにも繋がり面倒になる。やはり二人では限界がある。最低でも情報を入手できる能力者、そして、情報を操れる杏奈さんが必要不可欠であると。
旬「孝之。やっぱり杏奈さんはサイキッカーズには必要だ。それと被害にあった被害者の情報を入手出来る人材もな。杏奈さんの方は任せて良いか?」
孝之「まぁ良いけど、そのもう一人にはあてでもあるのか?」
旬「俺の兄貴なら最適だな。」
孝之「あぁ確かに!笑」
俺の兄貴は六つ年上の二十歳。だがいわゆる引きこもりというやつで家から出た事は見た事が無い。欲しい物があれば俺が買い出しに行く感じだった。部屋からも滅多に出てこない。食事は母親が部屋の前に置き扉をノックするシステムだ。俺の買い出しも同じ家の中にいるのに部屋から携帯にリストが届くシステムだった。兄は小さい頃から優秀だった。尊敬出来る兄だったが優秀過ぎるあまり親の重圧も凄く周りからの期待もあり、押し潰されてしまい現実から逃げ出しネットの世界に住んでしまった。
家に帰り兄の部屋の前に立つ。
旬「俺だけど話しあるから部屋に入れてくれない?」
兄貴「…。」
何度言っても鍵が開く事は無く返事さえないしまつだ。鍵に集中し開けた。
旬「よっ!兄貴。」
兄貴「旬!どうやって入った?出てけ!」
旬「兄貴の力を借りたいんだよ。」
兄貴「うるさい!出てけ!」
無理やり押され部屋から出されそうになった為、能力を発動させ扉を閉め鍵をかけた。
兄貴「え…?」
突然の弟の訪問に理解出来ない現象に混乱してる様子だった。
旬「兄貴!兄貴には話すけど、俺超能力が使えるんだよ。」
兄貴「ば、馬鹿言ってんじゃないよ。」
周りの物を一斉に宙に浮かせた。
兄貴「えぇ!なんかのマジックだろ?…。ほんとに力があるなら俺を浮かせてみろよ。」
言われるがまま兄貴を天井まで浮かせた。
兄貴「うわっ!分かった分かった。もう降ろしてくれ。」
旬「なんだよ浮かせっていったり降ろせっていったり。笑」
今までの経緯を時間をかけ説明した。兄貴はネットの世界に生きる人間だった為、現実より非現実的な事にすぐに対応出来た。
兄貴「ふーん。良かったな。これで思いのままだな。なら俺が情報を入手する役割をすれば良いんだろ?」
旬「出来るの?被害者の個人情報や加害者の個人情報とか調べられるの?」
兄貴「そんなん朝飯前だ。俺はハッカーだからな。この世の中の情報なんて余裕で操作出来るぞ。あと警察無線の傍受も必要だな。」
旬「ハッカー?引きこもりのニートだと思ってたよ。笑」
兄貴「これでも悪徳業者の口座から恵まれない子供達の施設や病気で大金が必要な家族に匿名で送金してんだぞ。」
旬「それって犯罪じゃね?笑」
兄貴「弱気を助け悪を砕くんだろ?悪い奴は懲らしめないとな。でも、旬とこうやって会話出来る日がくるなんてな。昔はよく遊んだのに心配かけたな。」
旬「良いよ。兄貴が元気そうで良かったよ。」
旬「これで情報は操作出来る。あとは孝之がどうなってるかだな心配だから様子聞きに行くかな。」
甲良潤 年齢二十歳 性別 男 性格 内気
特技 ハッキング