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秘められし力

意識が戻ったと聞きつけた孝之が駆け付けてくれた。


孝之「もう大丈夫なのか?あん時はまじでビビったからな。でも、ほんとに出来たなんて驚きだよな!」


旬「でもこのありさまだからな…。」


孝之「もうあんな事するの止めた方が良いよな。」


旬「何言ってんだよ。俺はコントロールしてこの力を使いたい。」


孝之「けどまた昏睡状態になったり、なんか後遺症とか出たらどうすんだよ。」


旬「だからコントロールするんだよ。あの時小さな石が粉々に砕け散ったの見ただろ?握り潰す事なんて普通の人間なら不可能なのに粉々に出来たんだぜ。」


孝之「まぁ…確かにそうだけど。」


旬「それに精密検査受けたけど、どこにも異常は見られなかったみたいだからな。」


孝之「お前の体だからこれ以上言っても仕方ないだろうけど…。」


旬「けどなんだよ?」


孝之「実はあの後、俺も旬と同じように今日まで試してたんだよ。だけど何にも起きなかったからなんで旬だけなんだろうって考えててさ。」


旬「見た目の悪さじゃねぇの?笑」


孝之「ふざけんなよ!」


二人「あははははは。」


孝之「ん?今何か言ったか?」


旬「は?なんも言ってねぇけど。」


孝之「じゃあ空耳か…。まぁこんなに元気なら大丈夫そうだな。じゃあ俺帰るわ。」


旬「そんなことよりあの不良達まだ金せびってきてんのか?」


孝之「あぁ…まぁでも金渡せばそれで済む話しだしさ、お前は気にするなよ。じゃぁな。」


孝之の背中は悲しげだった。俺に気を遣わせないようにいつも明るく振る舞っているのだろう。そんな気がした。

次の日から能力のコントロールを始めた。まずは軽くて壊れやすいものが良いだろうと思い、冷蔵庫から氷を一つ取り出した。氷の中心の白くなっている結晶に集中する。自分の心臓の鼓動が聞こえる。辺りの音は一切聞こえなくなった。氷がピシっと音を立て真っ二つに割れた。それと同時に頭痛と吐き気に襲われた。だが風邪の初期症状程度だった。


旬「粉々にならず今度は割れたか。」


割れた喜びや驚きはこの時は感じなくなっていた。むしろどのようにコントロールすれば良いのかとばかりかんがえていた。全治三か月の為、時間はある。ゆっくり行こう。そう気楽に考える事にした。練習を終えるとインターネットで超能力についてかたっぱしから調べ上げた。この力は念動力(サイコキネシス)といって物体を動かすことなどが出来るらしい。また調べて行く内に超能力者のいる町では色々な超常現象が起きるとも記されており、また超能力者同士は引力の様に引き寄せられ合うとも記されていた。


旬「要するに類は友を呼ぶって事か…。普通に考えれば俺だけ特別って訳じゃないからどっかに似たような人とかいるんかな?でも下手に話したら変人扱いされたり、どっかの研究施設なんかに監禁されそうだしな。」


海外ドラマなんかではお決まりのパターンだった為、どう対処すべきかおのずと分かってはいた。入院生活が一か月程した頃、孝之の様子がおかしい事に気が付いた。急に振り返ったり、何度も聞き返したりと少し異常だったのだ。


旬「もしかしてお前まだ挑戦してんのか?」


孝之「まぁ…毎日試してはいるんだけど全くダメだな。それよりか幻聴みたいなのが聞こえ出したりで精神的におかしくなっちゃいそうだな…。」


旬「もしかしてその幻聴って何かに集中してる時に起きたりしてないか?テスト中とか石に集中してる時とかさ。」


孝之「ん~それより集中してない時のが聞こえるんだけど…。」


考え込みしばらく二人とも黙り込んでしまっ

た。


孝之「あ!トイレ…?今トイレって微かに聞こえたぞ!」


旬「え?まじかよ…今俺トイレ行きてぇなって考えてた所なんだよ。」


見つめ合う二人。思わず笑い出す。

孝之「なんで俺がこんなに深刻に悩んでんのにトイレ行くこと考えてたのかよ。」


旬「でもさ、お前も不安定だけど能力備わってんじゃん!」


孝之「どんな?」


旬「テレパシーだろ!そんな事もしらねぇんかい。結構有名な方でしょ。双子がシンクロしたりするのはテレパシーが潜在的に備わってるからとかよく聞くしさ。」


孝之「でもお前三日間も昏睡状態になった程なのに俺なんともないぞ。」


旬「多分俺は無理やり能力をこじ開けだそうとしたのが原因だと思ってさ。この一か月で実はここまで出来るようになったんだわ。」


花瓶やコップが音を立てて割れだす。


孝之「うわっ!なんだよこれ。」


旬「あはははは。俺だって!」


孝之「まじかよ。なんともないのかよ。ってそれより花瓶割りやがってせっかく買ってきた花ぐちゃぐちゃになってんじゃん。」


旬「それより花瓶なのかよ!もう割れる事自体に慣れすぎだろ。」


孝之「でもさ、なんで旬の声は微かにだけど聞き取れたんだろうな。」


旬「多分俺の念が強いからじゃないか?」


孝之「念?能力のことか?」


旬「それもそうだけど、愛情や嫉妬・妬みや怨み行き着く先は殺意だって念だと思うぜ。」


孝之「まじかよ。色んな奴の心の声聞いてたら頭どうにかなっちまうよ。」


旬「だからコントロールするんだよ。俺は集中すると能力が発揮されるが、孝之は逆で無心になると能力が発揮されるんだよ。」


孝之「じゃあこの力をコントロール出来る様にしてみるよ。」


旬「とりあえず念の強い俺の心を見舞いにくる度聞いてみろよな。所で今俺なんて考えてると思う?」


深呼吸をする孝之。


孝之「ふざけんなよ。早く帰れってなんだよ!見舞いにわざわざ来てやってんのによ。」


旬「お!聞こえてんじゃん。笑」



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