偽善者の空想論。
いつからだっただろう、求められる言葉を言うようになったのは。
いつからだっただろう、笑顔を貼り付けるようになったのは。
いつからだっただろう・・・人から依存されることを求めるようになったのは。
私がいなくても楽しそうに笑っている家族に疎外感を覚えた。
私がいなくても楽しそうに笑っている友人達に疎外感を感じた。
そんな人たちを見て、私はどうしようもなく独りだと思った。
疎外感、疎外感。疎外感疎外感疎外感・・・次に来るのは、単純な恐怖。
『独りになりたくない。』
重いだろう。あぁ、とても重い。
あぁどうしようもなく重く、暗い人間なのだ。私は。
ある時一人の同級生が泣いているのを見かけた。声をかけた。
同情心からではない、ここで彼女を救えばまた彼女も自分を見捨てないだろうと考えたからだ。
ただの利己的意欲、独りよがりな空想論。
「先輩は凄いと思います。」
「あぁそうか、ありがとう。でも、君にそう言わせるような要素はどこにもないと思うな。」
にこりと笑えば、王子サマもにこりと微笑み返した。
焚き火を囲んでの和やかな会話なはずなのに、そんな暖かな空気ではない。
「暴走しかねない信者たちの手綱を、しっかりと握れていることです。」
「信者なんて・・・そんなものはいないよ。
私によく話しかけてくれたり、困っているところを助けてくれる人たちのことを言っているのかな?
あの人達は、私に善意を返してくれているだけだよ。」
困った笑みを浮かべながら、そう言った。
彼らの行動は全て、欲しい言葉を貰いたいがための善意だ。
助けてくれるのも、好意を持っていると思い込んでいるのも、それは依存しているだけ。
手綱など握れてはいない。好意が害意に変わるのはたやすいのだから。
ぎりぎりの理性が、彼ら彼女らのそれを抑えている。
独り占めしたいと、オカシな独占欲や嫉妬を隠そうともしない人間もいる。あの双子も、霧絵も。
「とっくに本性がバレている僕に、そんな態度をとるんですか?」
往生際が悪い。とでも言いたいんだろう。
偽善者であると、本音を言ってくれと思っているんだろう。
解っている人間からすれば、この態度はとても気持ちが悪いだろうから。
「君に、私の何がわかるの?」
お決まりのセリフを言ってやろう。
これは解って欲しい人が吐く言葉だ。一人の人間を、理解できるはずもないのに、それを期待する言葉。
けれど私が微笑みながら言った、その真意を頭の良い彼なら正しく理解してくれるだろう。
そして、私を今も保護という名目で監視し続けている依存者達は、曲解するだろう。
まだ未熟な王子サマは、その監視には気がついていないようだ。
壁に耳あり障子に目ありを忘れない主人公です。




